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なんとかピケ #02

最近、外に出ると可愛い女の子たちがもこもこの服を着ている。
思わず触りたくなる。

気温が下がってくると、急に寒さを感じてもこもこしたものを身に着けたくなる。
ヒートテックとか着たくなる。

でもさ。
今からそんなん着てて真冬どうすんのよ。

わたしは手足や首が冷える。
でも絶対「冷え性」だなんて言わないんだ。
だって、「わたし冷え性なの~」って言ってる女って、寒さに弱い、可愛い女の子を演じてるっぽいじゃん。
だからわたしは自分が冷え性のような気がしているけれど、絶対に冷え性だってことを認めないし、言わない。
「さむっ」と一言言って、仕事に戻る。
寒いと思っている、ということだけはアピールしておく。

一体これは誰に対するアピールなのか。

わたしは、「ジェラ〇ケ着る~」とか可愛く言う女が嫌いだ。
そう言ってる自分が可愛いと思っているのだ、そういう女は。
それは、「趣味?読書かな。村上春樹とかよく読むよ」と言ってまわり、村上春樹を読んでる自分がかっこいいと思っていた当時の自分と同じだ。決して村上春樹を理解しているわけではなく、(いや、むしろ全く理解できない)村上春樹が好きな、彼の世界観がわかる女だと思われたいのだ。

だから、一体誰に。

ジェラ〇ケの部屋着は、確かにかわいい。
ふわふわでもふもふで、確かにさわりたくなる。

いやでも、それ、部屋着として動きやすいのか?
寒いからもふもふ素材なのに、なんで短パン?

そんなことを考えてしまうのだ。

まだそんなに寒くないのにもこもこを着る女や、
村上春樹を理解できないのに村上春樹が好きなことを吹聴する女や、
部屋でジェラ〇ケを着る女にある、共通点。

不特定多数の誰かへのアピール。
その中にいる、特定の誰かへ届くように、仕組まれたアピール。
目の前に、その誰かがいるかどうかは関係ない。
常に誰かに可愛いと思われていないと自分を保てない危うさ。
家から駅に向かう道すがら、会社の廊下や社食、帰り道に立ち寄るドラッグストアで、その姿を不特定多数の誰かが見て、心の中でいいね!を押してくれるかどうか。

本当に思っていることは何だ。
絶対に「やっぱりまだ暑かったかな」と家出た後思い直してるだろ。
「ねじまき鳥クロニクルの、井戸に入るシーン、痺れるよね~」とか言ってるけど、いやいやなんでお前井戸に入るんだよ、が本音だし、
ジェラ〇ケなんて出まくった足が冷えてたまらないよ。

うんと我慢をしているんだ。

それでもたぶん、殿方は寒がっている女の子には何か着せたくなるのだろうし、村上春樹を読めばモテると思っているのだろうし、もこもこを着ている女の子にはかわいくて触りたくなるのだろう。
だから女の子はもこもこを着る。
理解できなくても村上春樹を読む。

でもさ。
いや、だからこそ。
せめて自分の部屋くらいは。
自分がいいと思うものを着ようぜ。
ゴムがだるんだるんのスウェットを着ようぜ。

今日の一曲はこちら

仮装よりお月見。
今宵はとても綺麗な月が。

ああ、すっかり忘れていた。
部屋でジェラ〇ケ着てる女は、すでに部屋の中に特定の誰かがいるのか。


素敵な週末を!


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