見出し画像

君と迎える初めての冬

1月3日、冬の冷たい空気の中、理子は彼氏の小池◯◯と一緒に地元の神社へ向かっていた。

薄い朝焼けが空を染め、吐く息は白く、冷たい風が頬を撫でていく。

地元の神社へ向かう参道は、朝の冷え込みにもかかわらず多くの人の活気で賑わっていた。

理子の息が白くなり、顔には少し赤みが差している。


厚手のコートを羽織っているが、それでも寒さが体に染みる。

ポケットには去年の厄除けのお守りが入っている。

付き合って1年目の二人にとって、初めて迎えるお正月だった。

そして今日は、◯◯の誕生日でもある。

今年の願い事は何にしようかと考える一方で、理子はサプライズを用意しているため、少しそわそわしながらも、彼に気づかれないように平静を装っていた。

理子「今日は寒いね。」

自然を装いながら、体を少し丸めて小走りで行こうとすると、◯◯は微笑みながら手を差し出した。

◯◯「待って。走ると転んじゃうよ。」

彼の優しい声とともに手を握られ、理子は少し赤らめながらもその手を握り返し、

理子「分かってるけど、早くお参りしないと!」

急ぐ理由を悟られないように理子は笑顔を見せた。

◯◯「そんなに慌てなくても、時間はあるから。」

◯◯は理子の手をしっかりと握りながら歩調を合わせてくれた。



神社に到着すると、境内はすでに多くの参拝客で賑わっていた。

鈴の音や手を合わせる音が混ざり合い、厳かな雰囲気が漂っている。

理子と◯◯はまず、手水舎に向かい順番に手を清めた。

理子「冷たっ!水、氷みたいだよ。」

◯◯「まぁ、冬だからね。ちゃんと清めないと罰が当たるよ。」

理子「わかってる…はい、次は◯◯の番。」

その後、二人は鈴を鳴らし、順番に手を合わせた。

理子は『◯◯が健康で、今年も一緒に笑顔で過ごせますように』と心の中で願い事をした。

ふと横を見ると、隣で真剣に祈っている◯◯の横顔が、なんだかいつもより凛々しく見えた。

彼の存在に改めて安心感を覚え、自然と笑みが浮かんだ。



参拝を終えた後、2人はおみくじを引くことにした。

理子は中吉だった。

理子「いい感じ!『努力が実る』って書いてある!」

理子が言うと、◯◯もおみくじを開いた。

◯◯「あっ、俺、大吉だ。」

理子「えー!誕生日だからって、運まで持っていくなんてズルい!」

◯◯「まぁ、俺は理子が隣にいるだけで十分幸せだけどね。」

◯◯は軽く笑いながら、理子の頭を優しくポンと叩いた。

その仕草に、理子は少し頬を赤らめた。

理子「もう…///」



参拝を終えた後、二人は◯◯の家へ向かった。

理子がこっそり準備していた誕生日パーティーを開くために。

そのために◯◯の姉の美波さんにも手伝ってもらっていた。

◯◯には「今日は◯◯の家で過ごしたい」とだけしか伝えてなかったので、理子の心は期待と緊張でいっぱいだった。


◯◯の家に着くと、リビングにはささやかな飾り付けが施されており、テーブルの上には理子の手作りの料理とバースデーケーキが置かれていた。

◯◯は驚いた表情を浮かべていた。

◯◯「これ…理子が?」

理子「そうだよ!誕生日なんだから、特別にね!飾り付けは美波さんにお願いしたけど、食事は私が用意したの!何日も前から計画してたんだから!」

理子は胸を張りながら誇らしげに言った。

◯◯「…ありがとう。まさかここまで準備してくれるとは思わなかった。」

◯◯は照れくさそうに笑った。

パーティーでは、理子が用意した手料理を食べながら、二人だけの時間を楽しんだ。

食後、デザートでケーキを食べることに。

ケーキに立てたろうそくを吹き消し、理子は◯◯にプレゼントを手渡した。

理子「◯◯、誕生日おめでとう!はい、プレゼント!」

◯◯「これ、何だろう?」

◯◯が包みを開けると、中から彼がずっと欲しいと言っていた時計が出てきた。

◯◯「え、これ…俺が前に言ってたやつ。」

◯◯は驚きと嬉しさが混じった表情で理子を見た。

理子「そう!仕事頑張ってるし、◯◯に似合うかなって思って。」

◯◯は少し黙った後、「ありがとう。本当に嬉しい。」と言いながら理子をそっと抱きしめた。

理子「えっ、ちょっと!そんな突然…///」

◯◯「いいでしょ。誕生日くらい。」

理子は戸惑いながらも、その腕の中で静かに微笑んだ。



夜が更け、◯◯は理子を家まで送っていった。

外は相変わらず冷え込んでいて、二人の吐く息が白く広がっていた。

◯◯「今日はありがとう。本当に最高の誕生日だった。」

理子「どういたしまして。でも、来年もまた盛大にお祝いするからね!」

◯◯「期待してるよ。でも、その前に。来週は理子の誕生日でしょ?だから、楽しみにしてて。理子にとって特別な1日にするから!」

◯◯は微笑みながら理子の手を取った。

その言葉に、理子は笑顔でうなずいた。

理子「うん!」

冬の冷たい風の中、二人の心は温かい時間で満たされていた。

理子は就寝準備をしているとき、ふと窓の外を見ると、満天の星が静かに輝いていた。

理子「来週も、これからもいい日になりますように」

そう願って眠るのであった。



初詣と誕生日が重なる特別な1日は、二人の絆をさらに深める日となったのだった。





投稿38作目です
今回はわたあめさんの企画 #わたあめのわたはわたるのわた の参加作品です。
わたあめさんは本日が誕生日ということで、こういう話になりました。
※最後の写真は個人的に好きなお気に入りのものにしました。
ぜひ感想などお待ちしてます。

いいなと思ったら応援しよう!

たっつー
よろしければ応援お願いします!