見出し画像

甘える君に恋してる #1

設定:高校2年生、5月くらい


「ふぁ………………。」


眠たい……。


すっごく眠い。


目をスリスリと擦りながら教室まで歩く。


「あっ、ひかる、おはよっ!」


そうしているうちに、教室に到着。


元気に挨拶してくるこの子は、私の親友


田村保乃。



身長が高くて、私と比べたら10センチ以上の差がある。


身長のせいもあるかもしれないけれど、保乃はモデルのように


美人でとっても綺麗。


本当に羨ましいくらい。


「おはよ、保乃。」


そして、眠そうに返事を返す私


森田ひかる。



「ったく、今日も眠そうだな、ひかるは。」


ひかる「あ、□□!」


□□「うるさいなぁ、もう。」


眠いんだから仕方ないでしょ?


窓際の私の机にカバンを置き、ストンといすに座る。


さっきの彼は乾□□。


髪は少し茶色がかってて、スラッと伸びる身長。


顔もそこそこよく、一般的に言うとイケメン。


だから、小さい頃からモテモテである。


でも、今では保乃の彼氏。


保乃と□□は私の幼なじみ。


でも、私達3人の他に、幼なじみはもう1人いる。


□□「アイツ、今日も遅いな。」


ひかる「いつもでしょ?」


もう1人の幼なじみはいつも遅刻寸前。


まぁ、遅刻はしたことは無いんだけど。


□□「おっ、来たんじゃね?」


ドアの方には見慣れた人影。


□□「おはよ。」


「はよ。」


素っ気ない返事。


いつもそう。


もう1人の幼なじみはあまり話をするような人ではない。


ひかる「おはよう。」


近づいてきた幼なじみに私も挨拶をする。


「おはよう。」


私にはなぜかちゃんと返してくれる。


そんな幼なじみにキュンとする。


□□「また、ひいきかよ。」


「そんなことしてねーよ。」


不機嫌そうに、カバンを降ろしてから、またこっちに向かってくる。


「ひーかちゃん。」


ひかる「ひゃっ…………○○っ?」


甘えながら後ろから抱きついてくる。


もう1人の幼なじみは、金子○○。


そして、私の好きな人。


好きになったのは、物心がつき始めた5歳頃。


○○は小さな頃から、私に抱きついてくる。


そして、甘えてくる時だけ私を『ひかちゃん』と呼んでくる。


端から見たらカップルのように見えるのだろうか。


でも、私達は付き合っていない。


ずっと私の一方的な片思い。


きっと○○は私のことなんとも思ってないはず。


抱きついてくるのも、ただの小さな頃からの習慣だから。


それでも私は毎回、抱きついてこられるたびに心臓が飛び出てしまいそうなくらいドキドキさせられる。


□□「お前ら……。」


呆れたような目で見てくる□□。


そんな目で見られても……。


保乃「イチャつくんはよそでやってくれへん?」


保乃までっ!!


そんなこと言われても、


ひかる「○○が離れてくれないんだもん。」


ぴったりと私にくっついて、きつく、でも優しく抱きしめる○○の腕はどうやっても離れない。


こうやって、抱きついてくる○○は、


まるで子猫みたい。


名字に『ねこ』って入ってるし。


それに、そんなこと言ったら、○○が不機嫌になっちゃいそうだし。


□□「毎日そんなことしてんのに、付き合ってないのが不思議だ。」


保乃「ほんまやで……。」


……だってさ、私は○○のこと好きだけど……


ひかる「○○はなんとも思ってないでしょ?」


少し首を捻って、後ろにいる○○に訪ねる。


○○は、私の首に顔を埋めるだけで、何も返事は返ってこない。


ほら。


なんとも思ってないでしょ?


そんなことよりも、顔を埋めてることで、私の首に当たる○○の息で、身体が熱くなる。


保乃「2人とも鈍感なんて…………。」


□□「世話が焼けるよ、本当。」


□□と保乃は、また呆れているご様子。


2人とも鈍感って、どうゆうこと?


その意味はわからない。


○○「俺は、鈍感じゃねーよ。」


○○が埋めていた顔をあげて、次は私の肩に顔を置いていった。


今、横を振り向けば、○○の顔とぶつかってしまいそう。


そう考えるだけで、顔が赤くなる。


そんな、私たちを見て、ため息をつく2人。


なんで?


なんで、そんなに呆れてるの??


先生「始めるぞー?」


そんなとき、担任が教室に入ってきた。


先生が見えたとたん、パッと○○が離れる。


解放されて嬉しいような、悲しいような。


やっぱり温もりが無くなるのが寂しくて、○○を目で追ってしまう。


○○「何?」


え、ば、バレたっ!?


ひかる「ううん!何もっ!」


とっさに嘘をつく。


そんな、言えないよ。


離れて寂しいだなんて…………。


そんな中、みんな自分の席につく。


って言っても、


私は窓側の一番後ろ。



隣は○○。


私の前が保乃で、私の斜め前、つまり○○の前が□□。


だから、席についても近くに居るのは変わらない。


しかも、この学校は、2人で1つの横長の机を使う。


だから、そう、すっごく近くに○○が居る……。




時は過ぎて、授業中。


クラスのほとんどの人が寝ている。


って、やばいよね、私たちのクラス。


そして、前の2人はと言うと……


見ていられないほどのラブラブっぷり。


毎日、見ているとは言えども…………


これは、見ていられない。


だってね?


授業中に机で見えないと思って、下では手をつないでいる。


ひ、ひどいときには…………


キスをするときだって…………


私はこんなに頑張ってるのに…………


隣の○○は…………


スヤスヤとお眠りになっている。


しかも、私の肩の上で………。


寝るときくらい、机の上で寝てよっ!もう!


耳のすぐ近くで聞こえる○○の寝息。


もう、心臓の音、静まれっ!


ドキドキして、授業もまともに聞けないんだから。


前の2人のイチャつきよりも、隣の○○の方が気になって仕方がない。


だから、テストの点数だって


いつも、下から数えた方が近い。


これは言い訳にしかすぎないけど…。


いや、でもでも!


ドキドキさせる、○○が悪いんだよ!!


こんなに授業中寝てて、聞いていない○○はいつも学年トップの成績。


なんで、こんなにも違うの??


テストが近くなると、毎回教えてくれるんだけどね。


面倒くさそうだけど……


でも、○○は教えるのが上手いから、すごく助かってる。


まぁ、思ったように点数が上がらないのが悩みだけど……。




そんな、ドキドキな時間も過ぎていき、


もう放課後。


○○は相変わらず寝ている。


さすがに今は机の上だけどね?


□□「また、○○は爆睡かよ……」


保乃「ほんま、ようこんなに寝れるわ……」


□□も保乃も呆れ顔。


そういや、今日、呆れられてばっかり?


ううん、毎日だったっけ。


ははっと苦笑いを返してから、隣で気持ちよさそうに眠る○○を起こす。


ひかる「○○、○○ったら、起きてよっ!!」


○○の身体を揺すって起こす。


○○「んっ?」


寝起きの○○はさらに不機嫌になるから気をつけないといけない。


ひかる「もう、帰るよ?」


まぁ、私が言えば言うことは聞いてくれるんだけど……




投稿44作目です。
今月はこの物語を長編として書く予定です。
(あやめもしらぬ恋シリーズはまたいずれ)
ぜひ感想などお待ちしてます

いいなと思ったら応援しよう!

たっつー
よろしければ応援お願いします!