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甘える君に恋してる #11

ゴホゴホッ


体がだるい…………


○○母「○○ー?大丈夫なのー?」


下から、母さんの声がする。


過保護かっつーの。


○○「大丈夫……ゴホッ」


○○母「ちゃんと、ご飯食べて寝るのよー?」


わかってるって…………


本当はもう学校に行ってなきゃいけねーけど…………


昨日の雨に濡れたせいだな。


おかげでこの通り。


熱は高そうだ。


何もせずに、ただボーっとしていると、


昨日のことが頭によぎる。


俺の前から、走り去っていったひかる。


それを止めなかった俺。


バカだよな。


あのまま、


ひかるが見つからなかったらどうしたんだろうか。


きっと、引き止めなかった俺を恨んだんだろうな。


俺…………


ひかるに嫌われちまったか?


普通、嫌いになるよな。


俺だって、何度かひかるに告白しようとしたこともある。


でも、出来なかった。


男として、ダメな奴だよな、俺。


ひかるとの関係が崩れるのを恐れてる俺がいる。


女かよ…………


○○「はぁー」


誰もいない家の中で、俺のため息だけが響く。


少し寝るか…………


そう思って目を閉じてみるけど…………


なかなか、寝付けない。


そんな時、


ピンポーン


玄関から、呼び鈴が聞こえる。


なんだよ、こんな時に……


見に行こうと、体を起こしてはみたけれど……


だるくて思うように動けない。


頭もガンガンするし、やべーかも。


ゆっくりと立ち上がって玄関へ向かう。


○○「はーい」


ひかる「ひかるです」



は?


確かにひかるって言ったよな?


俺は、夢を見てんのか?


あ、熱が高すぎて、頭おかしくなってんのか……


昨日のことがあったのに……


ひかるが俺のところに来るはずねーだろ。


第一、今の時間は学校じゃねーか。


ひかる「○○……?入るよ?」


俺の名前を呼ぶひかるの声。


ひかるの声が聞けるだけで、幸せだ……


夢から覚めなきゃいいのにな……


うっすらと目の前にひかるの姿が見えた後、


ひかる「○○っ!」


俺は、そんな声を聴きながら深い闇に落ちた。



***



○○「………っ」


ここ……どこだ?


あ、俺の部屋か……


風邪ひいて、学校休んだんだっけ……


それより、いつの間に寝てたんだ?


ひかる「○○…起きた?」


え……


○○「ひ……か、る?」


なんで俺の部屋にひかるが……


びっくりして起き上がろうとするけれど、上がらない。


ひかる「だめだよ、寝てなきゃ」


そう言って、ひかるは俺を止める。


ひかる「まだ熱高いね?」


俺の額に手を当てて確認するひかる。


○○「ねぇ……なんでここにひかちゃんがいるの?」


ひかる「覚えてないの?私が来たの」


あぁ……


なんとなく思い出した。


これ、夢だっけ?


ひかる「あ、今おかゆ作って来るから……待ってて?」


○○「待って、ひかる……」


無意識に俺は、ひかるの手首を握って引き止める


夢なら言ってもいいよな?


○○「ひかちゃん、……キスして?」


ひかる「なっ…………何言って…………」


それからの俺の記憶はない。


きっと……


そのまま、また寝てしまったんだろう。


ただ……


俺が眠るその瞬間……


俺の唇にやわらかい何かが当たったような気がした。




投稿54作目です。
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