甘える君に恋してる　#12

あっ………

なんか買っていったほうがいいかな？

学校から抜け出してきた私は、何も持っていない。

そう思って、○○の家へ向かう途中で

スーパーに立ち寄った。

えーっと………

熱冷ましと、風邪薬と………

あと、りんご！

○○が風邪ひいたときは、いつもりんご食べてるんだよね。

風邪薬なんかよりも、りんごのほうが風邪に効くみたいで。

よし………

これでいいかな？

お会計を済ませて、スーパーを出てまっすぐ○○の家へと向かう。

ピンポーン

ベルを鳴らしてみるけれど、すぐには出てこなくて、

しばらくたってから○○の返事がした。

ひかる「ひかるです」

昨日のこともあって、固くなってしまう。

○○が出てきても、どんな顔をしたらいい？

ひかる「○○……？入るよ？」

それでもなかなか○○は出てこなくて……

心配になって恐る恐るドアを開ける。

小さい頃から仲が良いから、○○のお母さんに鍵、もらってたんだよね

ひかる「○○っ！」

中に入ると、歩くのもままならなさそうな○○がいて……

私を見た途端、○○は倒れた。

間一髪で何とか支えられたけど……

○○をベッドに寝かせて、買ってきた熱冷ましをはる。

何度か先におかゆを作りに行こうと思ってけれど、心配で動くことが出来なかった。

元はと言えば……

私のせいだからね。

○○「………っ」

しばらくして、隣から声がした。

ひかる「○○…起きた？」

少し顔を覗いて問いかける。

○○「ねぇ……なんでここにひかちゃんがいるの？」

ひかる「覚えてないの？私が来たの」

でも、熱が高いせいかな？

○○は、私が来たときのこと覚えていないみたいだった。

ひかる「あ、今おかゆ作って来るから……待ってて？」

目を覚ましてくれて、ホッとした私は、立ち上がってキッチンへ向かおうとした。

なのに……

○○「待って、ひかる……」

○○は、私の手首を握って、私を引き止める。

どうしたのかと思えば……

○○「ひかちゃん、……キスして？」

へっ………？

ひかる「なっ…………何言って…………」

○○の目はすごくトローンとしていて、猫のように私を見ていた。

ばかっ…………

○○のばかっ……

私は熱のこもった○○の唇に……

そっと触れるだけのキスをした。

……ど、どうしよう

○、○○に…き、キスしちゃったっ……

急いで下のキッチンまで降りていく。

顔がすごい熱い。

○○の熱が移ってしまったかのように。

……よ、よし

お、おかゆ作ろっ……

気を取り戻して、キッチンを借りておかゆを作り始める。

それでも頭の中にはキスのことしかなくて……

ずっと手が震えてる。

これ出来たら、運ばなくちゃいけないよね？

どうしよう……

今度こそ○○に会えないよ……

でも、無理に○○を起こすわけにもいかなくて、

出来上がったおかゆと、すりおろしたりんごを持って、○○の部屋に向かう。

ひかる「○○……入るよ？」

幸いにも○○はまだ寝ていた。

でもおかゆを食べさせるために起こさなければならない。

仕方ない……

どうか覚えてませんように……

ひかる「○、○○…？起きて？」

○○「…んーっ…」

ひかる「おかゆ…できたから」

○○「あ、ん。ありがと」

さっきよりは、体調も良くなってるみたいで、安心した。

○○「ひかちゃん、あーんして？」

ま、また！？

ドキドキして心臓が破裂しそうだよ……

○○はさっきのような目をしてきて、また思い出す。

○○「ひかちゃん？」

ひかる「わ、わかったからっ！」

結局、いつもに増して甘えん坊の○○に負けて、あーんをする。

も、もう……

ひかる「ど、どう？」

○○「ん、おいしいよ？」

笑顔でそう答えるから……

私の顔、きっと真っ赤だよ……。

○○「ねぇ、ひかちゃん？」

ひかる「何？」

○○「ひかちゃん、俺になんかした？」

ひかる「ふぇっ？」

思わず変な声をだしてしまった。

ひかる「な、なんのことっ？」

もしかして……覚えてるの？

○○「夢……かな」

ひかる「う、うん、夢見てたんだよきっと！」

これで納得してくれたかわからないけど……

夢とごちゃごちゃになっていてくれてよかった。

ひかる「あ、りんごもあるからね？」

○○「うん、ありがと」

すりおろしたりんごもおいしそうに食べてくれて……

薬が大っ嫌いな○○だけど、なんとか飲んでくれて、

○○はそのまま眠ってしまった。

私はその様子を見届けて、自分の家へと戻った。

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