甘える君に恋してる #3
あれから30分くらいして、私のお母さんが帰ってきた。
○○「じゃ、また明日。」
ひかる「バイバイ。」
玄関まで○○を送って、リビングへと戻る。
○○が私の家にいるのは、お母さんかお父さんが誰もいない時だけ。
だから、どちらかが帰ってくると、毎日こうやって、入れ違いに帰っていく。
ひかる母「ん、これ美味しいじゃない。」
戻ってみると、お母さんが私が作ったカレーを食べていた。
ひかる「良かったっ。」
ひかる母「これ、○○くんに食べてもらうために作ったんでしょ?」
バレてる……
お母さんには言ってなかったんだけど……
ひかる母「なんで知ってるの?って顔してるわね。そんなことわかるわよ。ひかるは○○くんにしか料理作らないでしょ?」
そ、そうだけど……
さすがお母さん、私のこと見ている。
ひかる母「で、何かあった?」
ニコニコと楽しそうに微笑みながら私を見てくる。
ひかる「えっ…………な、何っ!?」
ひかる母「何って、○○くんとよ、○○くんと!何か進展ないの?」
へ?
お母さん、何を言ってるの……?
ひかる「な、何もないよ?」
いかにもバレバレだ。
動揺しすぎてる……
○○が……
“あーんして”とか言うからっ!
ひかる母「もう、見ていられないわ。」
お母さんは、ふふっと笑いながら、キッチンへと行ってしまった。
どうゆうこと?
ひかる「ん?電話?」
ポケットに入っていたスマホから振動を感じて画面を見てみると“ 田村 保乃”と出ていた。
保乃から電話だ。
急いで自分の部屋へ行き、通話ボタンを押す。
保乃『ひかるっ!』
出てみると、妙にテンションの高い保乃の声。
声大きすぎだよ……
耳が痛い……
それくらいの音量だった。
ひかる「な、何?」
保乃『上手くいった!?』
あ、それか……
保乃、楽しみにしてたもんね。
なぜか、私より……
ひかる「美味しいって言ってくれたよ?」
保乃『…………それだけ?』
しばらく間を空けてから返ってきた保乃の声。
その後ろからは“またかよ”と言う違う人の声。
ひかる「それだけ……だけど、もしかして、▢▢も一緒?」
きっとその声の主は□□。
保乃『そうそう、今日家に泊まるから。ね、□□?』
□□『あぁ、そうゆうこと。』
保乃のすぐあとに□□の声も聞こえた。
またお泊まりね。
しょっちゅう、お互いの家に泊まりあってるんだから。
保乃『で、話そらさんと。○○、他になかったの?』
ほ、他?
あったとしたら……
ひかる「した……っちゃしたけど……」
さすがに言うのは恥ずかしいよ……
保乃『隠し事は禁止!白状してや』
保乃には隠し事は通用しない。
まあ、私が何かあったことを言ってしまったから、もう隠そうにも隠せないんだけど……
ひかる「“あーん”ってした……の……///」
保乃『きゃーっ!』
電話の向こうで悲鳴をあげる保乃。
さすがに耳がキーンとして、塞いでしまった。
同じ場所にいた□□は大丈夫かな……
保乃『で?それで?』
保乃は興味津々。
恥ずかしいから話したくないんだけどな……
ひかる「やってあげたよ……その後、私も……///」
さすがにもう恥ずかしさに耐えられなくなって、近くにあったクマのぬいぐるみに顔をうずめた。
保乃『いやぁーっ』
2度目の悲鳴。
今日の保乃、変だよ?
言ったら殺されそうだけど。
保乃『それで?それで?』
それで?
いや……
ひかる「も、もうないよ?」
保乃『それだけっ!?』
それだけっ!?って……
これでも、すごいほうだよ??
一体、保乃は何を期待してたの?
“家にいるときに何か料理作ってあげたら?”
そう言ったのは保乃。
今日やったのは、すべて保乃の案。
なんか、もう見ていられないとかなんとか……。
“このまま、○○に気持ち伝わらへんくてええの?”
そうやって脅されたんだけど……
伝えたいよ?
伝えたいけど……
きっと伝わらないもん、○○には。
保乃『もうええわ、今回は失敗や。』
返事が無かった私に痺れを切らしたのか、呆れてしまった保乃。
ひかる「ごめん……」
ん?なんで私が謝ってるの?
おかしいよね?
私、なんも悪いことしてないでしょ?
保乃『まぁ、次、考えるわ。やるで、□□。』
□□『だな、俺も見てられない。』
なんの会話をしているんだろう。
次やる?
□□まで見ていられないって……
本当にどうゆうこと?
確か、さっきお母さんも言ってた気がするけど……
保乃『ひかるっ!』
ひかる「は、はいっ!」
いきなり名前を呼ばれなんか改まってしまった。
保乃『うちらで次の作戦は考えておくから安心しとってな!』
つ、次の作戦!?
一体、何をやろうと…………
「ちょっ…………あ、ゃ…………」
聞こうと思ったけれど、先に電話を切られてしまって、ツーツーと言う音しか残っていない。
何をしようって言うのよっ、もう!
ベッドの隅にスマホを置いてから、
私はそのまま自分のベッドに横になるのだった。
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