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先輩攻略戦 #2

放課後


彩「あれ?奈央、早く帰らないの?」



いつも私は誰よりも早く教室を出るから、彩が私を見て驚いていた。


奈央「うん、今日はゆっくり!」


彩「どうして?〇〇先輩は?」


少し不思議そうに見る彩。


そんなの理由は一つしかない。


奈央「たまには私を待ってる〇〇先輩を見たいな〜って。帰る約束してないのに待っててくれるんだよ!すごくない!?」


それがしたくて本当にたまーに、バレない程度にやっているんだ〜。


ほんの数回だけど、それでも待ってくれる〇〇先輩が愛おしくてたまらない。


彩「すごいとかより前に絶対先輩、奈央のこと好きじゃん」


彩は天使のような笑顔を浮かべた。


な、なんていい子なんだ…!


私を喜ばしてもいいことないぞ!?


奈央「当の本人は鈍感だから気づいてないの。」


彩「えっ、そーなの!?」


そんな私たちのやりとりを聞いた隣の席の△△が話に入ってきた。


△△「お前自惚れすぎだろ。」


奈央「いや、ホントだから!〇〇先輩、絶対私のこと気になってるよ!?」


△△「どっからくるんだ、その自信……」


呆れる△△。


いや、本気で〇〇先輩見てほしい。


△△と一緒にいたら嫉妬するんだろうな。


今度試してみようかな。


私のことしか考えられなくなるぐらい、好きになってもらうんだから!


***


その後もしばらく話していたらちょうどいい時間になったため、私は一人門へと向かった。


門に行けば壁にもたれるようにして立っている〇〇先輩の姿が!


絵になるしかっこよすぎる…!


それに門を通って帰る人たち全員が〇〇先輩を見てるしかっこいいと言っている。


みんな〇〇先輩がかっこいいってわかってるんだ。


奈央「写真、撮ろっかな…」


私に気づいていなさそうだったから恐る恐るスマホを〇〇先輩に向けてみる。


でもそういう時に限って……


○○「盗撮とか趣味悪。」


〇〇先輩はこっちを向いて私に気づいてしまう。


あと少しだったのに…!


奈央「盗撮じゃありません!こんな堂々と撮ろうとしてるんですよ!?」


○○「そっちの方が気持ち悪い。」


なんか〇〇先輩、私のこと、きもいとか気持ち悪いとか言いすぎじゃないですか!?


奈央「それはさておき、お待たせしました!」



こうなったら無理矢理話変えてやる!


○○「……遅い。」


奈央「でも〇〇先輩、私が遅い時いつも待ってくれますよね?」


○○「いつもいるはずのお前がいないからだろ。何かあったのかって。」


な、なんということでしょうか!


今の言葉をもう一度言ってもらって録音したかった!!


奈央「わ、私のこと心配してくれてたんですか!?」


○○「声でかい、うるさい。行くぞ。」


私を軽く睨んだあと、先輩は前を歩き出す。


照れ隠しですかねー?


奈央「毎回先輩より早く待てるように頑張りますね!」


って言っても、やっぱり何回かは先に待っている先輩を見たいから毎回は無理だけど。


○○「……別に、毎回無理しなくていい。」


奈央「えっ!?じゃ、じゃあ私が遅い時は毎回待っててくれるんですか!?」


○○「気が向いたらな。」


素直じゃないな〜、先輩は。


待ってくれるくせに。


冷たくするくせに優しくもするから本当どっちなんだ!ってなる。


まあ結論から言えば先輩は私が気になってるってことになるんだけど。


奈央「……ふふっ。」


○○「笑い方まで気持ち悪いんだな。」


奈央「私、〇〇先輩からの気持ち悪いは褒め言葉としてとってるんで!」


○○「どんな思考してんだ。」


奈央「〇〇先輩が好きすぎる思考してます!」


○○「……はぁ。」


最終的には呆れてため息をつかれたけどそんなの気にしない。


駅までの道はずっと隣に〇〇先輩がいる。


わざとだけど歩くスピードを遅くしてみれば、ちゃんと合わせてくれるから紳士的だ。


これで走ったりでもしたらついてきてくれるのかな?


……さすがにそれはないか笑。




投稿86作目です。
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