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甘える君に恋してる #7

ついさっき○○が帰って、私はベッドにダイブ。


“4人で遊びに行かない?そ、その、○○と私と保乃と□□と”


さすがに“Wデート”なんか言えなくて……


遊びに行かない?


そうなってしまった。


昔は4人で遊びに行くなんて、いつものことだったし……


ただ、高校生になった今はそんなことなかったわけで……


遊びに誘うだけなのに、すごく緊張した。


ひかる「疲れたぁーっ」


制服を着たまま、ベッドに顔を埋める。



〜♪


それと同時に鳴りだす私のスマホ。


画面には、“田村 保乃”と出ていた。


ひかる「もしもし?」


保乃『作戦の内容決まったで。────』


電話に出てすぐ言われた言葉。


“2人きりになったら告白しなさい”


ひかる「えっ…………」


思わずスマホを落としそうになる。


私の思考は完全に停止状態。


いや、だってね?


突然告白しなさいだなんて……


今まで、○○は全然甘えてくるだけで、


私に興味なんてないだろうし……


この幼なじみっていう関係を壊したくなくて、想いを告げることをずっと避けてきた。


それなのに、


今突然言われたって無理だよ……


ひかる「ほ、保乃?い、意味わかんないよ……」


私にそんな勇気ないよ……


保乃『頑張ってなーっ!』


ひかる「ちょっ………」


保乃はそれだけ言って電話を切ってしまった。


ひかる「どうしよっ……」 


誰もいない部屋からは返事は返ってこない。


そんな言えないよ。


保乃も□□も私のこと考えてくれてるのはわかるけど……


どうしたらいいの?



***



時は過ぎて、日曜日。


あれから私の頭の中では保乃の言った言葉がずっとぐるぐる回ってて………


結局、そのまま。


保乃と□□にもこたえたいし………


だからといって、○○に告白する決心もつかない。


でも、それより今は……


ひかる「大丈夫かな…………」


私は鏡とにらめっこ。



ひかる「これは……違う。これ?うーん……」


服を鏡の前で合わせては、次の服。


遊びに行くってだけだけど、仮にも保乃と□□に言わせれば“デート”。


何を着てけば良いんだろう。


保乃からは、何処へ行くのかも教えてもらってないし……


何度か聞いてみたけれど、お楽しみっと言って教えてくれなかった。


ひかる「これにしようかな?」


決めたのは、お気に入りのワンピース。


少し肌寒くなるらしいから、それに上着を羽織る。


今日は珍しく、髪も巻いて、化粧もしてみた。



なんだかんだ言って、ちゃんとやっちゃってるじゃん、私。


ひかる「ねぇ、お母さん、変じゃない??」


下に降りて、お母さんにもチェックをしてもらう。


ひかる母「もう、心配症ね?ひかるは。」 


って言われても……


変なカッコじゃ嫌でしょ?


ひかる母「可愛いよね、お父さん。」


ひかる父「ん?似合ってるぞ、ひかる。」


まさか、お父さんにも聞くなんて……


可愛いとか似合ってるとか……


私はそう思ってなくても、そう言われるとなんだか嬉しい。


ひかる父「なんだ、デートか?」


不機嫌そうに付け足して言うお父さん。


ひかる母「あら、お父さん、ひかるはもういい年頃よ?」


いや、お母さん、何を言ってるの……


しかもデートって………


あながち間違ってはいないんだけどね?


ちょっと違うよ。


4人で遊びに行くだけ。


そう、それだけ。


ピンポーン


玄関からインターホンが鳴る。


ひかる母「みんな来たんじゃない?」


待ち合わせは私の家。


みんなで迎えに来るって言ってたから。


時間もそろそろだったし。


保乃「ひかるーっ!」


ドアの向こうから聞こえる保乃の声。


すごい楽しそう……


ひかる「待ってー、今行くっ!」


ワンピースに合うヒールの高いパンプスを履く。


ヒールは私の背が低いから必須。


ひかる「お、おはよっ」  


ドアを開いて、挨拶をする。


いつものように保乃と□□は腕を組んで立っていた。



本当、いつでもバカップルなんだから……


その2人の後ろに、ズボンのポケットに手を入れてだるそうに立っている○○。


何も話さないでただ立ってるだけなんだけど……


やっぱりかっこいい。


保乃「なに?○○に見とれてるの?」


小声で私に耳打ちしてくる保乃。


わかっているのか、となりで笑う□□。


ひかる「な、何言ってるの!?」


ぱっと○○を見るけれど、聞こえてなかったみたい。


それを見てほっと胸を撫で下ろす。


まぁ、こっちに興味も無さそうなんだけど……


ひかる「うるさいよ、2人とも。」 


□□「いや、だってよ?」


笑いをやめない2人。


もう…………


○○「いつまでコソコソしてんの?」


うわっ……


○○、すごい不機嫌。


ひかる「い、いこ?」


慌てて早く行こうと提案する。


仕方ないな、と渋々保乃と□□は足を進めた。


行き先も知らないから、ついて行くことしか出来ない。


そう言えば、○○はなにか聞かされてるのかな?


ひかる「ねぇ、○○?」 


私の隣を歩く○○に声をかける。


○○「なに。」


返してきてくれるだけいいけれど……


私にもこんなに冷たいのはなかなかないかも……


それだけ、不機嫌ってこと。


今、保乃と□□が○○に話しかけても返事しないかも……


まぁ、いつものことだけど……


ひかる「今日の行き先……知ってる?」


なんか不機嫌すぎて怖いけど……


恐る恐る聞いてみる。


○○「知らない」


ひかる「そっか……」


やっぱり知らないか。


なんかね、2人のことだからなんか企んでる気がするんだよね。


それから、2人について行くこと30分。


最寄駅から電車で2駅離れたところ。


ここは見覚えがある。


私たちがまだ小さな時


よくここ通った気がするな。


保乃「思い出した?」


□□と腕を組んて歩いている保乃が振り向いて言う。


ひかる「うん」


思い出したよ。


この道。


ここを笑顔で走り回りながら笑顔で通っていた私たちの姿。



そして、この先にある今日の行き先であろう目的地。


ひかる「遊園地……じゃない?」


保乃&□□「「…………あたりーっ!!」」


保乃と□□はクイズ番組のように正解を言うまで間をあけたけれど、間違える筈がない。


何度もここには来たから。


○○を見ると、やっぱり不機嫌だけど、きっとわかっているはず。


保乃「実はな〜フリーパスも取っておいたで〜!」


ちらっと私たちに見せる保乃。


準備良すぎじゃない??


おかげで、乗り物には自由に乗れるし、乗り放題だけど。


小さい頃から遊園地が大好きだった私たちにしたら、嬉しいこと。


保乃「はい、□□っ」


□□「ありがとう、保乃」


保乃「ひかるの分」


ひかる「ありがとっ」


□□も私も保乃からフリーパスを受け取る。


保乃「はい、これ○○の」


さっきからの笑顔のままで○○にも手渡す。


○○「ありがと」


ひかる&□□「「あ、喋った…………」」


□□と声がかぶる。


それだけ、私以外の人と○○が話すのは珍しい。


○○「話したら悪い??」


ひかる「ううんっ!」


私たちは全力で否定する。


隣で保乃は嬉しくて飛び跳ねるし……


気持ちはわかるんだろうけど、そんな保乃を見て□□は嫉妬してるみたいだし……


私たちは何かと忙しい。


保乃「それじゃあ、行くでー!」


保乃の掛け声に合わせて、


おーっ


と声をあげながら私たちは遊園地へと向かった。


○○は流石に声はあげなかったけれど。




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