好きな子と飲み会を抜け出した話
年末ということもあり、この時期は飲み会も多い。
今日もまたサークルのメンバーで飲み会が開かれていた。
飲み会の途中、同い年のサークルメンバーで密かに思いを寄せている久保史緒里に誘われ、一旦店の外に出た。
史緒里「さむいね〜」
◯◯「ね、中は暑かったのに」
史緒里「いやー上着持ってくればよかった」
◯◯「うわ、それな」
史緒里「抜け出しちゃったね」
◯◯「うん笑」
史緒里「なんかドキドキしてきちゃった」
◯◯「なにそれ笑、酔ってる?」
史緒里「うん。そりゃ酔ってるよ?」
◯◯「へえ、酔ってるんだ笑」
史緒里「でもね、私、全然顔に出ないの。赤くないでしょ?」
◯◯「確かに、真っ白笑」
史緒里「触ってみて?」
◯◯「えっ!?」(距離近!!)
史緒里「いいから笑」
そう言って史緒里は俺の手を頬にあてた
◯◯(やっば!肌柔らか!!)
史緒里「ほら、全然熱くないでしょ?」
◯◯「うん、冷たい笑」
史緒里「そうなの。なんかね、全然熱くなんないの」
◯◯「へぇ~」(めっちゃドキドキした…)
史緒里「てか、この後どうする?」
◯◯「どうするって?」
史緒里「みんなのとこ、戻る?」
◯◯「んーーまだ2人で居たいかも」
史緒里「フフッなにその顔笑」
◯◯「別に普通だし!笑」
史緒里「…本格的に抜け出す?」
◯◯(やっば…なにその上目遣い)「そうしよっか」
史緒里「わかった。じゃあ上着と荷物取ってくるね。バレない様に別々で」
◯◯「うん」
史緒里「まずは私から!」
そう言って史緒里は店に入っていった
◯◯(やばい今日最高かも)
史緒里が戻ってきたあと、俺も荷物を持って外へ出た
史緒里「抜け出しちゃったね」
◯◯「ね、やっちゃった笑」
史緒里「私ね、飲み会抜け出すの初めて」
◯◯「そんなの俺もだよ笑」
史緒里「ほんと?」
◯◯「うん」
史緒里「よかった。初めて同士だね」
◯◯「そうだね笑」(やばい緊張する…)
史緒里「あのさ…」
◯◯「うん?」
史緒里「…手、繋いでいい?」
◯◯「まじ?いいよ」
史緒里「エヘヘやった」
◯◯(やば…!)
史緒里「あのね」
◯◯「うん」
史緒里「◯◯の近くにさ、私以外の女の子が近寄るの妬いちゃうんだけど…」
◯◯「なんだよそれ笑」
史緒里「…はやく私のになんないかなーって思ってる」
◯◯「…それ、どういう意味?」
史緒里「フフッどういう意味でしょーか笑」
◯◯「おいっ笑。本気にするよ?笑」
史緒里「…まあ、酔ってるけど、…本当だから」
◯◯「…ほんとずるいわ」
史緒里「ねぇ、終電ないけど、この後どうしよっか?」
◯◯「どうするって言われても…」
史緒里「ねぇ、終電ないからさ…◯◯の家行ってもいい?」
◯◯「えっ…マジで?」
史緒里「◯◯の家ってここから近いでしょ?…だめ?」
◯◯「だめじゃないけど…いいの?」
史緒里「もちろん。私が行きたいって言ってるんだから。」
彼女の言葉にドキッとしながら、二人は歩いて◯◯の家に向かうことに。
家に到着し、部屋に入ると、史緒里がきょろきょろと周囲を見回す。
史緒里「思ったより綺麗にしてるんだね」
◯◯「普段から人が綺麗にしてるだけだよ」
史緒里はコートを脱いでソファに座り、少し落ち着いた様子。
史緒里「なんか、こうやって二人きりになるの初めてだね」
◯◯「そうだね…サークルとか飲み会で話してる時と全然違う感じする」
史緒里「それって、いい意味?」
◯◯「もちろん」
冷えた体を温めるため二人で温かい飲み物を飲みながら話し込む。
史緒里「私、こういうの憧れてたんだよね」
◯◯「こういうの?」
史緒里「なんか、好きな人と二人でまったりする時間っていうの?」
◯◯「えっ、好きな人って…」
史緒里「…何でもない!」
少し照れた史緒里の顔を見て、◯◯は思い切って聞いてみる。
◯◯「…史緒里さ、俺のことどう思ってるの?」
史緒里「…それ、言わせる?」
◯◯「やっぱり、俺が言うよ」
史緒里「えっ?」
◯◯「…俺、ずっと史緒里のことが好きだった。だから、今日一緒に抜け出せたのが本当に嬉しかった」
史緒里「…◯◯…」
◯◯「史緒里が俺をどう思ってるか分からないけど、伝えたかったんだ。ずっと言いたかったけど、なかなか勇気が出なくて…」
史緒里はしばらく黙っていたが、やがて柔らかい笑顔を見せる。
史緒里「…なんか、ずるいよ。そんなの聞いたら私も言うしかないじゃん」
◯◯「えっ?」
史緒里「私もね、ずっと◯◯のことが好きだった。今日抜け出したのも、その…一歩踏み出してみようと思って」
そう言いながら、史緒里は少し恥ずかしそうに目をそらす。
◯◯「…マジで?」
史緒里「マジでだよ」
二人は自然と視線が合い、ぎこちなくも心の距離が一気に縮まる瞬間を感じる。
◯◯「じゃあ…これから俺たち、カップルってことでいい?」
史緒里「うん、もちろん!」
そうして二人は照れ笑いしながらも、お互いの気持ちを確かめ合う夜となった。
投稿33作目です
今回はジョーカーさんの企画 #道化師の七並べ の参加作品です
初めて久保ちゃんをヒロインで書きました
ぜひ感想などお待ちしてます!