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甘える君に恋してる #21

先生「お前ら、ちゃんと勉強してるかー?」


夏休み目前。


授業中に先生の口から出た言葉。


私からは冷や汗がこぼれ落ちる。


……忘れてた、テストの存在。


クラスの男子からは、


「やってねーよー」


と言う声が飛び交う。


私もその1人だ……


私はテストが出来る方では……ない。


どちらかというと、出来ない。


いつも、下から数えた方が早い。


どうしよう……


補習なんて受けたくないし……


保乃「あ、その顔はやってへんのやな?」


ひかる「…………」


図星すぎて何も言えない。



□□には、バカだな、と笑われた。


本当は、バカじゃないしっとか言い返したいところだけど……


テストに関しては、□□の方が上。


私、○○、保乃、□□の中では、私が1番頭が悪い。


保乃「まぁ、また○○に教えてもらえばええんとちゃう?」


ひかる「そ、そうだけど…………」


毎回、テストのたびに○○に勉強を教えてもらってるけど……


毎回、結果を出せてない私。


なんか、すごく申し訳ない……。


今もぐっすり寝てる○○が、なんで成績トップなのか知りたいくらい。


授業も聞いてないし、テスト前なんて私に付きっきりで自分の勉強できてない筈なのに……


本当に脳みそ取り替えたい。


一度でいいから、100点なんて数字、取ってみたいよ…。


そんなこと、私にとったら無縁だけど。



――キーンコーンカーンコーン


授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響く。


「きりーつ、礼」


今日の最後の授業が終わった。


保乃「もー、ひかる大丈夫?テストもうすぐやで?」


いつもの帰り道でもテストの話。


ひかる「わかってるんだけど……教科書見てもわからないんだもん」


先生が黒板に書いて説明してるけど、その説明でさえもさっぱり……


□□「○○、今回もひかるやばそうだな?」


○○「わかってる。今日からみっちり教えるから」


□、□□……そんなはっきり言わなくても。


本当のことだけど……


それよりも、○○のみっちり教えるっていう方が怖い。


○○はいつも、テスト勉強の時はスパルタだ。


***


○○「……ってこと。わかった?」


ひかる「うーん」


時は過ぎて、お勉強タイム。


リビングのテーブルに教科書やらノートやら参考書やら……


ずらずらと並べて、○○先生によるお勉強タイムです。


○○「本当バカ。授業ちゃんと聞いてる?」


ひかる「聞いてるけど……」


わかんないんだもん。


○○「ひかるは理解力無さすぎ」


ひかる「ごめんなさい……」


本当に……ごめんなさい。


もっと理解力があれば…………


こんなに見やすい○○のノートを見せられて……


保乃も□□もわかりやすいって言う○○の説明聞いてるのに…… 


私には、さっぱり。


どうしよう……このままじゃ補習決定だよ。


夏休みまで学校には行きたくない。


○○「じゃあ、お仕置きね?」


ひかる「へっ?……んっ」


キ、キス!?


○○「間違える度にお仕置きだから」


えっ……


ひかる「そんなっ……」


間違えないとか無理だよっ!?


○○「間違えなきゃいいでしょ?」 


それが無理なんだよーっ。


それから、間違えないなんてできるはずもなく、何度も甘いキスを落とされる。


それを繰り返すこと1時間半。


○○「ねぇ、ひかちゃん」


私の髪に指を通しながら言う。


今はちょっと、休憩中。


さすがに集中力が続かないから。


それに、何度もキスされて、心臓が持ちそうにない。


ひかる「……なに?」


いきなりスパルタ先生の○○が甘えん坊になる。


○○「もし、ひかちゃんがテストで俺に勝ったらデートしよっか?」


へっ?


デ、デート!?


そう言えば、保乃と□□とWデートした時以来、デートはしてない。


○○と2人でなんて、全くない。


ひかる「……本当?」


○○「嘘じゃないよ?」


にこっと微笑む○○に、胸がきゅんとする。


でも、喜んだのもつかの間。


○○「ひかちゃん、ちゃんと聞いてた?」


ひかる「ん?」


そう言われて、よくよく○○の言葉を思い出す。


“もし、ひかちゃんが……”


あ…………


このあと……


“テストで俺に勝ったらデート”


ひかる「む、無理だよ!!」


成績トップの○○に勝つ!?


○○「総合とは言わないよ?どれか1つでいいから」


それでも!!


○○が1番私がテスト出来ない事わかってる筈なのに!


ひかる「そうゆう問題じゃないよっ」


○○「そうゆう問題なの。決まったからには勉強やるよ?」


ひかる「………っ!」


決まってないよーっ!!


○○「これ間違い。これは、こうしてこう解くの。はい、もっかい」


ひかる「はい……」


○○「また間違ってる……お仕置きね?」


それから、デートと言う名のご褒美のために、必死に○○の甘いスパルタ授業を受けた。


ひかる「……疲れたよ、○○」


久しぶりにたくさん勉強して、体も頭もくったくた。


もう瞼も重くて、いつでも寝ちゃいそう。


○○「眠いの?ひかちゃん」


ひかる「うん……」


さっきが嘘のようにまた甘えん坊○○になる。


○○「じゃあ、今日は寝よっか?」


○○はパタンと教科書を閉じた。


ひかる「うん…………ふぇっ?」


その瞬間、ふわりと宙に浮く私の体。


ひかる「ちょ、○○??」


○○「ベッドまで運んであげる」


いやいやいや。


歩けるよっ!!


お姫様だっこなんて、はずかしすぎるよっ! 


ひかる「だ、大丈夫だからおろしてっ!」


○○「いーや」


いやじゃなくてっ!


もーっ。


私の部屋に着くと、ぱふっと音を立てて、ベッドに私をおろした。



ひかる「……っ?」


私をおろしたかと思うと、一緒にベッドに寝る○○。


○○「だめ?」


ひかる「……い、いやっ」


○○「嫌なの?」


ひかる「そうじゃなくてっ」


隣にいると、心臓がうるさいのっ。


○○「もう、1ヶ月以上も毎日一緒に寝てるのに?」


ひかる「そーだけどっ」


同居を始めてから、かれこれ1ヶ月半。


毎日、私のベッドで一緒に寝てる。


それでも私の心臓はなれてくれないの。


私を後ろからぎゅっと抱きしめてくる○○。


ひかる「毎日、毎日………飽きないの?」


毎日、同じように私を抱きしめてくるから。


○○「飽きないよ。このままが良い………」


そう言って、さらにぎゅっと私を抱きしめる。


○○のばかっ。


ひかる「好きだよ、○○」


そんな、○○が好き。


○○「俺も」


頑張るから、テスト。


見ててね、○○。





投稿65作目です。
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