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甘える君に恋してる #14

○○にキスをしてから数日後。


毎日、○○に会う度に意識しちゃってる。


□□「帰るぞ、○○ー」


つまらない授業が終わって……


っていうか私が勉強についてけないんだけど……


もう放課後。


いつも通り、○○は机で爆睡。


もちろん、私の肩に頭を乗せて寝るときもあって……


ドキドキを必死に抑えようとしてたら、前の席の2人に笑われた。


何もかも、○○のせいなんだからっ!


□□「ひかる、こいつ起こして?何回呼んでも起きねー」


ひかる「あ、うん……○○、○○たらっ」


○○のこと起こすのなんて、毎日のことだったのに……


いつもよりドキドキうるさい私の鼓動。


これにはね、この前のキスの他にもう1つ理由があるんだ。


○○「……んっ……なに」


……な、何って……


ひかる「もう帰る時間だよ?」


いつもこうやって起こしてるんだけどな……


保乃「いつになったら私らでも起きてくれるのー」


□□「だよな?」


確かに……


保乃と□□でもちゃんと起きて欲しいかな。


○○「……そっ」


やっと把握したのか、だるそうにカバンを持って立ち上がる。


そんな○○の姿でも、かっこいいと見とれてしまうのは……


なんでだろう。


それだけ、○○が好きってことかな?


○○「何ぼーっとしてんの、ひかる」


ひかる「あ、ごめんっ」


○○に呼ばれて、はっとする。


カバンを持ってみんなのあとをついていく。


放課後の学校は、教室に残る生徒の声と、部活の声が響きわたる。


こんな雰囲気も好きだったり。


保乃「もー、ひかるったら」


ひかる「……へっ?」


いつの間にか、前を歩いていた保乃が私の隣に来ていた。


しかも、呆れ顔で私の隣を歩いてる。


保乃「へっ?じゃないで。何回も呼んだのにー」


そ、そうなの?


ひかる「ごめん、保乃」


保乃「ええけどさー?」


本当にごめんなさい……


保乃「ね、今日のひかる、ずっとぼーっとしてない?」


保乃、よく見てるね?


授業中もそうだし、休み時間もぼーっとしてることが多かった。


ぼーっとっていうか、考えごとしてたっていうか……


ひかる「……うん、そうかも」


いや、そうなんだけど。


保乃「それってさ?」


にやりと笑う保乃。


保乃は全て知ってる。


保乃「今日、お泊まりだから?」


ひかる「……っ///」


保乃「うわ、図星やー」


ずっとあの日のキスのことを思い出してしまうのもそうだけど……


今日は、○○の家にお泊りなんだ。


私のお母さんとお父さん、○○のお母さんとお父さん。


私たちの親はとっても仲がいい。


だから、こうやって旅行に出かけたりするんだよね、私たちを置いて。


私は、ひとりで大丈夫だって言ってるんだけど……


お母さんが○○の家に行きなさいってうるさくて……


ひかる「仕方ないでしょ?」


仮にも、私の好きな人の家にお泊りなんだから。


○○の家に泊まるなんていつぶりかな?


小学生の時以来?


だから、余計に緊張する。


保乃「ま、楽しんできな?そして、ね?」


ひかる「……な、なに?」


ね?ってなんですか、ね?って…………


ニヤニヤしながら言う保乃たがら、絶対変なこと考えてるよ。


保乃「告白…しなよ?」


や、やっぱり…………


ひかる「…む、無理だからっ」


そう、無理無理っ!


私には出来ないよ。


保乃「大丈夫っ!」


いやいや、どこから出てくるの、その自信!


全っ然大丈夫じゃないからっ。


○○「あっ……」


□□「どーした、○○?」


前を歩いていた○○が、いきなり立ち止まる。


○○「先生に呼ばれてんの忘れてた」


ひかる「そーなの?」


保乃「あー、その時、ひかる、上の空だったからねー」


あ、またぼーっとしてたんだ。


どうやら、毎時間寝てるから、先生に呼び出しをくらったらしい。


それも、そうだよね。


○○「ちょっと戻るわ」


気づいた頃には、もう半分くらい帰ってきていたけれど、面倒くさがりながらも○○は来た道をもどっていった。


すれ違いざまに、


○○「先、俺ん家行ってて?」


そう、耳元で囁かれた。


○○の息がかかって、私の顔は赤くなる。


□□「あ、ひかる、泊まりなんだってなー?」


ひかる「……えっ」


な、なんで、□□が知ってるの?


って犯人は1人しかいないけど……


私の隣で笑ってる人。


絶対犯人は保乃。


□□「がんばれよーっ」


□□の応援もきっと保乃と同じ意味。


そんな、応援されてもっ……


ひかる「……無理だって言ってるのに」


保乃「そんなの、わからんやろ?」


わからないんだよ、保乃っ。


保乃「じゃあね、ひかる」


ひかる「うん、またねー」


いつもの分かれ道で、保乃と□□とわかれる。


とりあえず私は荷物を取りに家へ帰った。


ひかる母「ひかる、おかえり」


ひかる「ただいまー」


家に帰るとまだ、お母さんとお父さんは家に居た。


って言っても、ちょうど出るところだったんだけれど。


ひかる母「出るときは鍵閉めて……ちゃんと○○君の家に行くのよ?」


ひかる「わ、わかってるからっ」


過保護すぎるよ、お母さん。


そんな、私、大丈夫だから。


ひかる母「じゃあ、行ってくるわね?」


楽しそうに飛び跳ねながら、家を出ていったお母さん。


つくづく、私よりお母さんのほうが子供なんじゃないかって思うことがある。


今みたいにね?


ひかる「いってらっしゃーい」


そんなお母さんの背中に向かって、声をかけた。


ひかる「さてと……」


私も準備しなきゃね。


このままいてもいいんだけど……


後でお母さんに何を言われるかわからないから。


ひかる「いってきまーす」


昨日あらかじめまとめておいた荷物を持って、誰もいない家に言う。


誰もいないから、帰ってくる筈がないんだけど……


これが、小さい頃からの習慣になっている。


――ピンポーン


隣の○○の家には、すぐに着く


「はーい」


ベルを鳴らすと、すぐに誰かが出てきた。


この声はきっと……


「ようこそ!久しぶりです、ひかるさん」


私のことをひかるさんと呼ぶのはただ1人。


○○の妹の……


ひかる「久しぶり、理子ちゃん。」


理子ちゃん。


中学3年生。


一言で言うと……


赤ちゃん?


とにかく、可愛くてモテるんだよね。



理子「ひかるさん、すごく可愛くなりましたね。」


ひかる「ありがと。理子ちゃんもかわいいよ。」


理子「嬉しいです。あ、リビング行っててください。」 


ひかる「うん、お邪魔しまーす」


久しぶりに足を踏み入れる、○○の家。


懐かしいなぁ。


ひかる「あれ、理子ちゃんは?」


理子「私はテストがあるので」


あ、そろそろテストの時期?


ひかる「そっか、頑張って!」 


理子「ありがとうございます!」


にこっと微笑んで、自分の部屋へと行った理子ちゃん。


偉いよね、理子ちゃん。


可愛くて、勉強できて、笑顔も抜群で……


あの性格なら、もう完璧だよ。 


着替えとその他もろもろが入った、ちょっぴり重たいかばんを持ってリビングへ向かう。


ひかる「お邪魔しまーすって、誰もいない……」


がらーんと静まっている○○の家のリビング。


余計なものは一切無くて、綺麗に整えられている。


ひかる「……っしょ」


荷物を床に置いて、近くにあるふかふかのソファに座る。


本当に静かだなぁ。


「ひかるっ」


ひかる「きゃっ」


いきなり、何っ!?


後ろから巻きつけられる腕。


「早いね、ひかる」


いつの間にか腕は離されて、誰かが私の隣に座る。


ひかる「あれ?○○、早かったね?」


そう言うと、ふにゃっと笑った。


「違うよ、ひかる」


違う?


ってことは……


ひかる「もしかして……●●?」


●●「そう、当たりーっ」


●●は私と同じ高校2年生。


同級生がなんで○○の家にいるの?って思う?


実は、●●は○○の双子の弟。


顔も声も背も……


何もかもそっくり。


こういうの一卵性双生児だっけ?


●●「いつまで間違えんの?何回も会ってんのに」


だから、間違えてしまう。


でも、性格は違う。


○○は甘えん坊さんだけど、


●●は超俺様で…… 


そう言ったら、何されるかわからないけどね?


ひかる「ごめんね?●●」


●●「別にいいけどさー」


親にも間違えられるし、と呟く●●。


そうなんだ。


お母さんにもお父さんにも…。


すごい似てるもんね?


●●も保乃と□□とも仲良しで。


同じ高校に来たら良かったのに。


○○とは同じ学校には行きたくないとか言って、私たちより1つ偏差値が高い高校に入学した。


いちいち間違われるのが嫌みたいで。


きっと、一緒ならもっと楽しかったかもしれないのに。


そんな●●にも、理子ちゃんにも、久しぶりに会った気がするなー。


●●は○○と似てるからそんなに驚かなかったけど……


すごく大きくなってる。


って、私、おばさんみたい……


○○、早く帰ってこないかなー。





投稿57作目です。
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