22/7 13thシングル「YESとNOの間に」超個人的ライナーノーツ
22/7がグループのアニメ以外への初めてのアニメタイアップという個人的にはあまりにも嬉しすぎるニュースと共に2024年夏を共に駆け抜け、秋のアニバーサリーも彩った13thシングルをプレイバック!
YESとNOの間に
念願のアニメタイアップということでどんな曲が来るのか…!とワクワクしながら初解禁されたTVアニメ「ATRI -My Dear Moments-」のPVを見たときの感想は、明るい!!盛り上がる!!と今までのナナニジ楽曲の雰囲気を良い意味で壊してくれそうなアニメソングがやってきてくれて、もの凄く嬉しかったことを覚えています。
何より初解禁がアニメのPVというのもアニメソング大好きな自分としてはもう堪らないものがあって、2024年夏をアニメと共に駆けるのが楽しみで仕方なかったです。
アニメソングとしての話は後述するとして、楽曲の話。
「Whatcha doing?」から始まり「よっしゃー行くぞ!」と、今まで優しく背中を押してくれる楽曲が多かったナナニジが、背中を押すどころか元気に引っ張っていってくれる勢いまで感じるその明るい曲調は、タイアップでここまで…!と表現の幅広さを魅せてくれた12thシングルを経てナナニジが改めて走り出そうとしている意思を感じて熱い気持ちになりました。
22/7というグループ名自体、円周率の近似値=無限に続く可能性が込められていて、そんなグループがYESとNOの選択肢ではない道を進め!というメッセージを提示してくれるのはまさしく先に続く可能性を感じさせてくれますし、そのテーマでアニメタイアップという道を見せてくれたのも本当に嬉しかったです。
グループの物語としては2024年夏の全ての出演フェスで披露されました。
初見のお客さんにもわかりやすいアップテンポかつ知名度のある表題曲という、フェスで大きな武器になる1曲を手に入れたのはとても大きかったかなと。
セットリストのどこに入れても楽しいノリを作れる曲というのはナナニジ楽曲にもいくつかありましたが、やはり表題曲かつアニメソングという圧倒的な知名度と歌詞のメッセージ性の強さ、ギターフレーズとセリフから始まる爆発力が今までの楽曲とは比べものにならないほどの盛り上がりを生んでくれている気がします。
涼花萌ちゃん、神木みかみちゃんの卒業を見送る曲にもなりました。
人生は長そうでホントは短い、なんて言われたら、やってみたいことに挑戦しようとしている妖精さんの決意を固めるには十分だったのかな、なんて思ったり。
毎日かわいくやさしい妖精さんの旅立ちを、今までのナナニジ楽曲のなかでも限りなく明るいこの曲で見送れたのは、とても良かった気がします。
ここからアニメソングとしての話。
まずはATRIというアニメがひと夏の物語を描いた作品であること。それを実際の夏に放送するという季節のシンクロ具合から生まれる気持ちの高まりを後押しするように、元気さとちょっぴりの切なさを帯びた夏の物語の終わりにぴったりな曲になっていて、後半の少し辛くなるような展開に入っても、可愛いアトリちゃんたちの映像が癒しを届けてくれました。
ヒューマノイドというYESとNOで判断されていくはずの思考回路の中に出てくるYESともNOとも言えない答え。
そんな答えが出てくる高性能なアトリちゃんはもはやヒューマノイドではなく人間なのではないか、という物語の根幹を想起させる歌詞はアニメとリンクしたまさしくアニメソングになっていて、アニメソングのファンとしてもとても嬉しかったなぁと。
デフォルメキャラクターたちが駆け出す映像は、昔夕方に見ていた、明日も頑張ろう!と元気が出たアニソンを思い出して感慨深くなったりもしました。
アニメで初披露された第2話の放送終了後、すぐに配信リリースされたのも嬉しかったポイント!
やっぱり今の時代、聞いた余韻そのままにすぐ探して聴けるのは大事ですからね。
何よりアニメファンに改めて今のナナニジはこんな曲歌ってるのか!と知ってもらえる機会になったのはやっぱりとっても嬉しかったです。
アニメファン的には「ムズイ」のイメージで止まっている人も多かったと思うので。
佐藤さん
タイトルが発表された時のインパクトは群を抜いてましたけど、タイトルだけで中身はまた違った角度なのでは?と思っていたりもしましたが、まさか本当に「佐藤さん」について歌った曲だったとは(笑)
曲中にも幾度となく出てくる「佐藤さん」という単語が頭から離れなくなります。
デジタル声優アイドルという偶像の更に偶像のような存在ともいえる22/7が、もの凄く現実的な「日本一多い名字」という題材を歌っているのが結構面白い点なのではと思っていたりします。
アニメタイアップシングルのカップリングかつ、キャラクターという存在もいる22/7だからこそ、ある種の「遊び」を取り入れても違和感なく許されてしまう部分があるのかな、というナナニジならではの強みも感じました。
強みという点では、歌詞とは違い決してポップなだけではないメロディーも面白く、間奏のEDM調のリズムや振り付けが不思議な違和感のようなものを生んでいて惹きつけられるポイントかなと。
「あなたのお名前は?」という印象的なセリフを望月りのちゃんが言っているのも個人的に上手いなぁと思っているポイントです。
つい答えたくなっちゃう絶妙なニュアンスと魅力がある気がします。
赤いバラの理由
セクシーユニット、蛍光灯再生計画の新曲!
声質が異なる3人の歌声が合わさったサビのハーモニーとそれぞれの歌声が際立つソロパートの対比が印象的な楽曲が多い蛍光灯楽曲ですが、今まで以上に3人それぞれの歌い方の個性を感じられた楽曲。
河瀬詩ちゃん(斎藤ニコルちゃん)の艶っぽい歌声を軸に、四条月ちゃん(一之瀬蛍ちゃん)のセクシーな高音と月城咲舞ちゃん(氷室みず姫ちゃん)のクールな低音が合わさって少し大人な世界観が表現されています。
メンバーも言っていましたが、「赤いバラ」という卒業していった蛍光灯の先輩メンバーのことも思い出されるワードが印象的。
2番のサビが終わり、ラストへ向けてのラップ調での盛り上げと落ちサビの緩急、焦燥感から一度立ち止まってまた動き出すような構成にも物語を感じて好きな部分です。
炭水化物祭り
こちらはハッピーユニット、晴れた日のベンチの新曲!
元気にわちゃわちゃ、テンションアゲアゲな3人だからこそ歌える楽曲といいますか、良い意味で一番"ナナニジしてない"楽曲なのが凄く好きなポイントでして、いわゆるキャラクターソングのなんでもあり感が詰め込まれているように感じて、アニソン好きとしてはいいぞもっとやれ!という感じです(笑)
他のユニットの2曲と比べても一番歌声に素のキャラクターたちを感じます。麻丘真央ちゃん(桐生塔子ちゃん)のおちゃらけな歌声と対照的に凄く綺麗に歌い上げる望月りのちゃん(瀬良穂乃花ちゃん)の歌声を上手くまとめあげる相川奈央ちゃん(西浦そらちゃん)の歌声、といった感じの三者三様のアプローチがクセになるんですよね、歌詞はひたすら食べ物が食べたい話をしているだけのはすなんですけど(笑)
ナナニジ楽曲にしては珍しくわかりやすいコールパート(歌詞の括弧部分やバックの掛け声)が入っているのもとっても良いですし、間奏のいわゆるヘドバンパートも曲のフックとして素晴らしい。
とにかくライブでの盛り上がりにエネルギーを注いだような1曲なので、これからの披露もとても楽しみです!
唯一の後輩のみユニットだからこその溢れるパワーで、ナナニジライブをより楽しく遊べる方向に引っ張っていってくれているのが凄く頼もしいです。
アニバーサリーライブでも感じましたが、やっぱりライブでも全体を通しての緩急って大事だと思ってて、その幅を大きく広げてくれてるのが晴れンチだなーと。
声優になりたくて
ラストはゆるふわユニット、気の抜けたサイダーの新曲!
このタイトルで一体どんな曲が来るのか…!ともの凄く気になっていたのですが、歌詞はもの凄く直球に夢を追い求める姿が描かれてまして、そういう意味ではこの曲もまた22/7というグループではなかなか表現できない楽曲なのかなと思っています。
個人的には「声優」に焦点を当てた楽曲に直球の歌詞をぶつけてくるのが非常にズルいと感じてまして、ここは考え方にもよるんですが、声優であって声優ではない部分がナナニジにはあると思うので、その部分に対して「絶対に叶う」なんて言われてしまうと、やっぱり信じて進まなきゃ…!と歌詞に見事にシンクロした気持ちにさせられてしまうなぁと…。
ミュージカルを思わせる曲調もまた声優っぽさを感じさせる要素ですし、天城サリーちゃん(藤間桜ちゃん)と椎名桜月ちゃん(織原純佳ちゃん)のダブルヒロインに対し西條和ちゃん(滝川みうちゃん)が寄り添って背中を押してくれているイメージが、メンバーの中でも特に声優という部分を意識させる2人に対してナナニジの象徴とも言える西條和ちゃん(滝川みうちゃん)からのメッセージと考えると結構熱いものがありまして、更に言うとある意味西條和ちゃんは滝川みうちゃんの声優としては完成しているところがあると思うので、そう考えると更に物語とメッセージ性が強まっていくなぁなんて深読みをしてみたり。
もう1つ付け加えるなら、このどこかメルヘンな要素を思わせるメロディーに、ゆるふわから旅立った妖精さんを感じたりもしています。
色々な意味でこれから先エモさが増していく楽曲なのは間違いないですね。
というわけで色々と今までのナナニジには無かった、恐らくここまでのグループの歴史と物語の積み重ねを経て表現できるようになった個性的な楽曲が詰まった13thシングル。
表題曲がアニメタイアップということもあって、12thシングルで見えたアーティストとしての幅広さというよりは、もっと2次元的な自由さ、キャラクターがいることで表現できるキャラクターソングとしての幅広さが存分に詰まったシングルなのではないかと思っています。
今までのナナニジ楽曲で印象的だったメッセージ性の強いセリフだけではなく、みんなで一緒に盛り上がるセリフやラップ調、掛け合い、歌い上げるようなセリフなど、より強い個性(キャラクター)を感じるような楽曲たちで、より幅広い緩急が感じられるようになったナナニジのこれからのライブパフォーマンスがますます楽しみです!
次に控えるはとっても嬉しい2作連続アニメタイアップ!
ロックという新たな表現を掲げ、ロックンゴールを目指して進む2025年のナナニジにとってもワクワクしています!
素敵な楽曲たちに出会って素敵な思い出がたくさんできた2024年でした!
ありがとうナナニジちゃん!来年もよろしくお願いします!!