#5 『カナルタ 螺旋状の夢』 映像人類学
教育とは何か、学びとは何かというテーマは、研究者や教育者にとって永遠の課題となっています。『カナルタ 螺旋状の夢』は、アマゾンのシュアール族を通して、我々が持つ学びの枠組みや教育の価値観に疑問を投げかけてくれる映像エスノグラフィーです。
シュアール族の人々は、アマゾンの自然と一体となり、その中での生き方や学びを継承しています。彼らにとっての教育は、テキストブックや教室での学びではなく、アマゾンの森の中での経験や、植物や動物との対話から得られるものです。これは、我々が持つ「教育」の概念を大きく拡張するものであり、異文化の中での学びや教育の形態を考える上で非常に示唆に富んでいます。
映像は、シュアール族の日常の中での学びや教育の瞬間を数多く捉えています。キャッサバ芋の調理方法、薬草の利用方法、建築技術など、彼らの生活の中での知識や技術の継承は、実践的な学びの最たるものと言えるでしょう。また、マイキュアやアヤワスカといった特別な植物との関わりは、彼らにとっての宗教や哲学、人生観を形成する大きな要素となっています。これらの学びは、教育人類学の研究対象として非常に興味深いものです。
映画の中でシュアール族の人々が語る言葉や行動は、彼らのアイデンティティや価値観、そして彼らの中での「教育」の意味を映し出しています。彼らの中での学びや知識の伝承は、継続的で持続的なものであり、その中での個人の役割や共同体の結束は、教育の本質を再考させられる要素となっています。
『カナルタ』は、教育人類学的な視点から見ると、異文化の中での学びや教育の形態を考察する貴重な資料となります。シュアール族の生活や学びの中には、我々が持つ教育の価値観や枠組みを大きく超えた、多様性と深さが秘められています。
私が最も印象深かったラストシーンです。マイキュアという薬草を使用した神秘体験の儀式の様子が描写されています。
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