RMSの悲劇
RMSがよくなかったのは、資本元のレミーマルタンよりも美味しいブランデーを作ってしまったことだった。
それはそうだろう、あれだけこだわったアルマニャックはそうはない。対抗できるとしたらポールジローくらいじゃなかろうか。
父が帰国して一週間後、僕はRMSに電話していた。
ブランデーが切れた。だから在庫確認の電話を入れたのだ。
ところが何か様子が異う。
いつもはゆったりしているのに、何か慌ただしいのだ。
『ああ、いつもの日本人ね』
もうなじみになってしまった受付のおばあさんが言う。
『あなた、大変よ、うち今在庫整理(リクイデーション)してるの』
「在庫整理?」
思わず聞き返した。
『そうなの。うち、潰れるのよ。早く来ないと何にもなくなっちゃうわよ』
それはいかん。
僕は電話を切ってすぐに車(チューンしたVWゴルフだからそこそこ速い)に飛び乗った。
そのまま銀行に行き、ドライブスルーのATMで有り金を全部引きおろす。
札束を抱えて僕は一路ナパへと走り出した。
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