Big Muff Ram's Head 〜"THE 47"〜
まえがき
自分の制作の備忘録として残したいなと、ブログを始めてみました
あと、エフェクターの自作はかれこれ10年程やっているのですが、意見交換する友達が誰もいないので、これを機に、同じ趣味の人と交流があればと思っています
ですので気軽にコメントでアドバイスや質問などしちゃってください
〜巡り合い〜
吉祥寺
言わずと知れたfuzzの名器Big muff、、、
通過儀礼的に過去何度か作ったり、現行品を所持してたりするんですが、
今までイマイチ好きになれず、、、(ジョンフルシアンテはめっちゃくちゃ好きなのに、、、)
とくに所持している現行品を弾いても楽しくないのが原因なのですが、
そんな折、big muffのarmy greenがデザインやらフットスイッチのゴツさやらナンヤラかっこいいなと思い、吉祥寺のハードオフに数個体あると聞きつけ試奏しに行ったんです
吉祥寺のハードオフにはBiig MuffのV3が3台ほど、army greenが2台、Ram's Head(39万)が1台置いてあり、目的のarmy greenと、比較用に状態の良さそうなV3,そして店員さんにお願いして、ついでにRam's Head(39万)を試奏
とりあえずv3弾いて
(結構いいなぁ、、、)
次はその日の本命のarmy green
(もっさりしすぎてて使えねぇな、、、カッコイイケド、、、)
(やっぱBig Muffって自分が思っているほどの物ではないのかな、、、)
いーらねっ
で最後、思い出作りでRam's Head
(ヨスギル!!!!)(39万)
傾向として、V3とRam's Headはキャラクターは近いですね。
(army greenは完全に別物でした)
でも、Ram's Headの方がどこか音楽的でエネルギッシュ、、、
例えば「ド〜」って弾くと、両方とも「ド」の音自体は同じ形をしてるんですが、その『「ド」の音にまとわりつく音』が全然違うんですよね
あとRam's Headの方は普通に踏んだ瞬間、ノイズとはまた違う地響き?というか地震が起こる前に感じる、音でもなく、振動でもないエネルギーみたいなのがありました(少し褒めすぎかも、、)
あと普通に弾いてて楽しい、
で、39万円のエフェクターなど買うはずもなく、
感動と衝撃だけを家に持ち帰り、
Big Muffの歴史と、回路変遷を調べる日々が始まりました
研究
それまでは、なんとなく
トライアングルがあって〜ラムズヘッドがあって〜V3があって〜
あとはロシアナンチャラがあるんでしょ〜
ぐらいだったんですが、調べるとRam's Headだけで結構な数のバージョンがあり、正直今でも全容は把握できていません、、、
で、試奏した際、お願いして中の写真を撮らせてもらってたのですが、
それが"THE 47"って呼ばれるバージョンだということがわかりました。
なんで”THE 47”って呼ばれるかっていうと、部品の定数が大体47になってるところから来たらしいです。
(例えば抵抗が470kだったりコンデンサが0.47uだったり)
で、昔のエフェクターって、やたらと電解が使われることが多いんですよね
今ほどの容量の大きなフィルムコンデンサがまだなかったのでしょう
現代で同じ容量で比べると、電解コンデンサよりフィルムの方が、周波数特性がいい、耐圧も高い、経年劣化もしずらい、
そんな理由で電解コンデンサって今では大容量が必要な電源に2個ほど乗せて、あとは設計者のこだわりとして箇所箇所で載せる程度になっているのが現状です
Ram's Headも中を見る前は、電解コンがいっぱい入ってるんだろうな〜なんて思ってました
ところが、試奏したRam's Head"47"まさかの電解コンデンサ0個
0.47ufのセラミックコンデンサが6つ、0.047のフィルム(多分)コンデンサが2つ、あと470pのセラミックが3つ、あとトーン回路にいくつか、、
電池駆動のみの昔ながらの設計なんで、電源部のノイズ対策の電解は端折られてるとしても、0.47uのセラミックが乗ってる、っていうかそもそも0.47uのセラミックを見るのが初めてでした、、
セラミックの使い所って、オペアンプの位相補償とか、ラジオ電波拾っちゃうのをグランドに逃したりとかしか使わないし、そもそもセラミックってピコオーダーだし、あって3900pとか?しか見ないし、エフェクター作る時はセオリー的にセラミックは振動でなるからあまり使わなかったり、、、
それをまさかカップリングで使ってるなんて思いもよらず、、
ある程度回路収集も終わり、バージョンの変遷も調べ終わったところで、自作するか!と
そこでまず作る前にに色々考察
〜考察、設計〜
オリジナル考察
一旦オリジナル回路図載せておきます
こちらの回路図は
に掲載されていた回路図を写し直した物です(ありがとうござます)
このRam's Headがよかった理由をいくつか挙げると
1、部品の経年劣化
2、コンデンサにセラミックを使ってる
3、トランジスタがFS36999(廃盤)
4、抵抗がカーボンコンポジット
5、電源が電池駆動のみで、ノイズ除去のコンデンサが入っていない
6、ビンテージっていうプラセボ
などなど、出たところで、
「1」は抵抗の経年劣化の度合いは低いと見て、コンデンサは劣化するとハイ落ちしたりしたりするので影響は大きそうです、これはアキバで古いコンデンサを集めれば解決しそう。
一番影響が大きそうな「2」、スイッチ踏んだ瞬間のなんともいえないエネルギーはこのセラミックの影響ではないかなと思っています。
(踏んだ瞬間の振動と、音をコンデンサが振動で拾って、めちゃくちゃミクロな世界でフィードバックしているのではないかと)
ただ問題は0.47uの巨大なセラミックコンデンサなんて売ってないって事。
アキバの住人に聞いても、0.47uは規格にないからどこもないんじゃないかな?って返答で、、まぁそもそもアキバって国産部品の卸売りなので、海外規格のものってあんま置いてないんですよね、結局ネットが頼りに、、
本家のコンデンサはPHILIPS_CRL capacitorの0.47u
売ってっるところを探すと、、、
オリジナルと同じものがebayにあった!
一個30ドル!送料4325円!
バカ高い!
最低6個必要で、古い物だし、容量へばってそうだから10個ぐらい買ったら、、、5万ぐらい!
セラミックコンデンサって大体10円とか、容量デカくても数百円程度なのにね、、
ってなわけで作戦変更
Ram's Headの評価って別に"THE 47"だけが高いわけではなく他のバージョンも人気があるんです 、
で、回路を見ると、カップリングコンデンサの容量って0.1uからのバージョンもあるんですよね、
そもそも0.47uのカップリングで後ろのグランド落ちてるのが100kとかなのでカットオフ周波数って3hzとかだし容量多少小さくても問題ないでしょ?
等々、定数変更の理由を見つけて、セラミックコンってことだけ考えて、アキバで歩き回ってなんとか0.22uの古いコンデンサをゲット@350円
その次「3」
トランジスタ、FS36999が乗っているのは割とレア個体で他は2n5188だったりとか
こればっかりは両方廃盤なので、諦めるしかないですね
ここの諦めは結構早くて、そもそもBig Muffにおけるトランジスタの音の支配率ってそんなに高くないんじゃないかな?って思ってます
一般にFuzzって言われるものは「トランジスタの動作点を超える振幅をさせて無理やり歪ませる」って回路が基本なので、トランジスタそのものが音の全てと言っても過言ではないのですが、
Big Muffの設計は、増幅後の波形が元の波形の±0.7vを超えるとダイオードが波形をフィードバックする形で歪みを発生させています
つまりあまりトランジスタに無理をさせてないっぽいんですよね、
もちろん最終段のアウトプットバッファーで歪みが増えてたり、トランジスター自体の周波数特性は影響あれど、、、
正直、クリッピングダイオードの方が歪みかたに対して大きく貢献していると思います、ってなわけで「3」はオリジナルと同じ部品はなけれど、手持ちのトランジスタを色々乗っけ変えていい組み合わせを探してみようかなと〜
「4」、これは今でも手に入るので、購入
正直、カーボンコンポジットとカーボン抵抗をブラインドテストにかけられたら当てれる自信がないので気休め程度に捉えています
(金ピにしたら少しレゾナンスが強調されるというか、音像がくっきりするように感じてますが、これも思い込みかも、、)
「5」、じつはここも大きな影響あるんじゃないかなと、、
オリジナルの回路でいくと電源側と、グランドが交流的に見てショートしてないんですよね。だからどうだって原理的説明はできないのですが、オーディオ設計でも電源を変えると、音はかなり変わるので、経験則的に影響があるのではと思っています
(完成後、ノイズ除去の電解を乗っけたり、それをスイッチでon/offしてみたりしようかなとか)
最後「6」こればっかりは己に問うしかないですね
(僕はどちらかというとビンテージエフェクターに懐疑的な立場です)
では次、自作の設計、、、
自作設計
上の考察と、諦めを踏まえて回路変更
トランジスタはひとまず手頃な2sc1815
0.47uのセラミックはアキバで買った0.22uへ
その他コンデンサは0.047uがオレンジドロップ、
0.012uと0.039uはトロピカルフィッシュ
470pはセラミック
エフェクターオンにした時のバチーンノイズを消す1M(R23)
電源の突入電流用に100Ω(R24)を追加
〜制作〜
レイアウト
レイアウトは下記の通り
かなり余裕をもってます
ってのも、よく使ってたHAMMONDの筐体の音って音あんまし良くないなって思ったのが始まりで、奥行きと飽和感が減ったり、出て欲しいところが出なかったり、、じゃぁ何かいい筐体探すかって感じでいくつか筐体を試したんですが、歪みとの相性に絞れば、ケースは薄い方が、大きい方が僕の音の好みだとわかりました。
で、大きい筐体使うなら頑張って小さなレイアウトしなくて良くない?ってなったのでレイアウトも余裕もって作ってます
部品
抵抗
100 x4
1.2k x1
2.7k x1
7.5k x2
12k x2
33k x3
100k x4
470k x4
1M x1
コンデンサ
470p x3
0.0039u x1
0.012u x1
0.047u x2
0.2u x5
POT
A100k x3
トランジスタ
2sc1815 GR x4
ダイオード
914 x4
あとは、、
3PDT
パイロットランプ用LED
フォンコネクタ
9V電源用 コネクタ
ケース
などなど、
まぁ部品の剪定と、レイアウトができれば制作なんて流れ作業のようなもの
〜完成〜
感想
早速音を出してみると、、、、
ノイズが、少し多い気が、、?(気が)
でも、音はというとめちゃくちゃいいです
まだチューニングしきれてないので、この後電源の電解コンやら、トランジスタの乗っけ変えやらゆっくり遊んでいきたいなと思いますが、
初手、音出した段階で、めちゃくちゃFuzzで、もっていたv3リイシューと弾き比べてもあからさまにいいです、
v3リイシューは、チョーキングやロングトーンで粘る時は「Big Muff 」の音が出るんですが、コードを弾いたらダンゴになるし、ローエンドは絶妙に伸びてないし倍音もあまりない、、、、
それに比べて今回作ったのは、巻弦にピックが当たった瞬間の食いつきや、6弦解放をならしっぱで上の方のフレーズ弾いても分離してるし、そもそも歪み方のブリブリ感や倍音の伸び方が圧倒的に良くなりました
なにより弾いてて楽しい、、!
ってな感じで、一旦完成まで漕ぎ着けたので、この記事はここまで
あとがき
結局完成したのは”THE 47”ではないのですが、弾き比べできるBig Muffをいくつか比較した上で、かなりビンテージのチューニングに肉薄し、優劣をつけるというよりは好みの問題のレベルかな?といった感じの完成度です
まだ外装ができていなかったり、改良や改造、別パーツで製作したり基盤を発注してみたり等々、
色々したいことはあるのでまたそに機会に記事にできればと思います
ここまで読んでいただきありがとうございます
自作や設計を始めたばっかりの方の質問や、上級者のダメ出しなどお待ちしておりますので気軽にコメントいただければと思います