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能「皇帝」に思うこと その13

宇髙姉弟

私には姉と弟がいる。姉は能面作家で、弟は能楽師だ。この能楽一家は間違いなく亡父の影響を受けたわけで、父が他界した後も皆一所懸命に跡を継いでそれぞれ活動している。

2017年撮影 宇髙姉弟(左長男・竜成、中央長女・景子、右次男・徳成)

竜成の会に使用する能面は第一回目から姉の景子が制作をしてきた。今回も全ての使用面は姉の作品になる。

弟は全公演に出演し、制作サイドとしても関わってくれていた。(ちなみに上部の写真「蝉丸」(第七回竜成の会)には姉の打った面「十寸髪」と蝉丸役の徳成が写っている)

こういった姉弟で作り上げる公演も竜成の会ならではの事で、自分にとっては当たり前の事ながら、能楽界でも珍しい組み合わせと言える。特に能面作家の姉を持つ能楽師は宇髙兄弟ぐらいではないかと思っている。

能を観る事

能を観るという事は、あまり日常的な事ではないかもしれない。どっちかというと縁遠いし、どこでやってるのかすら知らない方が多いと思う。

前述の通り、その昔は野外で行われていた事が多かったので人の目を引く事も多かったに違いない。実際、夕暮能の時は多くの人が足を止めて公演を観ていた。

今は能楽堂という専用空間で上演される事が多い。この能楽堂という所に足を踏み入れる経験は、いわゆる非日常的な体験なのだと思う。

人は能を観る事で何を得るのか。実は能楽師は能を観る事よりやる事が多いので、そこをもっと研究すべきだと思っている。しかし、ひとつ言えるとすれば、自分と向き合う時間になる、という事だ。

他者の人生と向き合ったり、まだ見もしない世界を見る事で自己と向き合う。そんな時間でもあるのだ。だから楽しみ方は人それぞれだと思う。

目の前に起こっている事をある程度把握したい人は事前に予備知識を入れていくと良いと思う。

竜成の会では、上演されるメインの演目の詞章(歌詞やセリフ)と現代語訳、そして謡の音源を無料ダウンロードできる。

また、自分の感性に任せて楽しみたい方は、ただ能楽堂に足を運ぶだけで良い。是非、自分にあった楽しみ方を見つけてもらいたいと思う。

つづく

第八回竜成の会「皇帝」ー流行病と蝋燭ー

令和5年5月28日(日)14時開演

絶賛発売中!
チケットはこちら
https://teket.jp/1133/20033

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