子供への英話教育の必要性を実感した日本のものづくりの現場
アンティークの家具屋をやっていると、古くからある日本の工場や工房、そこで働く職人たちとのつながりが自然と増えてきます。ICCA(イッカ)というブランドを立ち上げて約7ヶ月、幸運にも沢山のものづくりの現場を見ることが出来ました。そこで感じたのは、
「子供に英話はやらせたほうが良いという次元ではなくやらないとまずい。」
ということです。私自身が1歳の子供を持つ親ということもあり、子供の教育への関心が高いのでこのようなことを真っ先に思ったのでした。
ICCA(イッカ)も国内に留まらずグローバルにダイナミックにやっていくことが結果的に国内のお客様へいいものを提供することにつながると考えるようになりました。
ものづくりのグローバル化
日本の人口が少なくなるに従って、グローバルな市場でビジネスができないと厳しいということはもちろんあります。また、それ以前に、日本国内のものづくりの現場はすでに瀕死の状態にあり、国内でものづくりを完結させるというのがそもそも困難な状況にあるからです。つまり、何か商品をつくるとき、海外との取引をせざるを得ないということ。
現時点で国内だけで何か新しい商品をつくろうと思っても、なかなか作れない状況ですので、自分の子供の世代では国外とのコミュニケーションが日常になっていることは容易に想像できます。
ドミノのように倒れていく日本のものづくり
私たちは、オリジナルの照明を開発するため、照明の硝子工場や真鍮の工場を回りました。しかし、出会う職人さんはみな元気がありません。理由は、アジアに顧客をとられたことで仕事が激減し、アジアとの価格競争で厳しい経営状況になっていたためです。そのため、後継者も育たず工場を畳むというケースが増えているそうです。
日本は複数の工場が分業制で役割分担をして、一つの製品をつくります。もちろん一気通貫でやる工場もありますが、製造のすべてを担うということは稀です。例えばシェードホルダーを作る場合でも部品の形をつくる工場があり、ネジ穴を掘る工場があり、ネジをつくる工場があるという具合に、一つの製品にいくつもの工場が関わってきます。なので、一つの工場がなくなってしまうと製品が仕上がらず、ドミノ倒しのように他の工場も倒れていってしまうという負の連鎖が生まれるのです。
新しいイノベーションが起こせない限り、この流れを断ち切るのは容易ではありません。すでに手遅れになっている業界もあると思います。このままドミノ倒しが続けばますます国内でのものづくりは厳しくなってきます。
Made in Japan品質の崩壊
とある職人さんの言葉がとても印象的でした。
「もう日本より海外の職人の方がうまいよ。」
ものづくりの世界では、数をこなすことで質が向上していくわけですが、その点ではアジアに軍配です。例えば金型を使って硝子を吹く技術、かつての日本は一つの金型を一人の人が一日中吹き続けていました。何回も繰り返し同じ作業をするわけですから、熟練度は高まります。それがMade in Japanの品質として評価されてきました。
今は、一人の人が一日に様々な種類の金型を使って硝子を吹きます。中には神がかり的な職人さんがいらっしゃると思いますが、一般的に考えれば製品の熟練度は下がるのでしょう。
一方でアジアはかつての日本のように熟練度を高めた職人が育って来ていることと、高齢化する日本の職人に対し、若い人たちが多いこともあり、Made in Japanの品質を上回り始めているという状況になっているそうです。
とはいえまだ、日本の素晴らしい技術を持った職人さんたちが沢山いらっしゃいます。ICCAとしてはそういった方々とコラボレーションし、出来る限りMade in Japanを盛り上げていきたいという思いです。
もちろんグローバルでの競争力をつけるため国外で販売・製造も視野に展開をしていきます。
日本のものづくりのイメージを下げるような話になってしまいました。もちろん日本でも元気で国際的に競争力のあるものづくりの現場はあると思いますが、現場をみてきて感じた事実を素直にお話しました。
自分自身の立ち振舞いと、お子様がいらっしゃる方はお子様のこれからの教育を考えるひとつのきっかけになれば幸いです。