マチに働きかける暮らし - 清荒神 part 3 「場をひらく」と「INCLINE」
清荒神にきっかけの場所を「INCLINE(インクライン)」
マルシェイベントを重ねて少しづつお店が増えてきたのは嬉しいけれど、もっと多様なお店ができたらいいのに、という想いがあった.
日常的にマチに人が交流する場は生まれるにはどうしたらいいのか?設計事務所でありお店をできない僕らが、マチに対して日常的に主体的に関わるにはどうしたらいいのか?
友だちで公務員の”チャン”こと平田くんや仲間と話会う中で、清荒神参道に自分たちも場所を持とうか!という話で盛り上がった.自分がお店をせずとも場を持つことで、POPアップショップとして仲間のお店に出店してもらったり、作家さんにギャラリー展示をしてもらうことができる.
そうすることで、今まで清荒神に来る機会のなかった同世代や若い世代の人を僕らが呼ぶことができるんじゃないか.
そしてできたのが”きっかけの場所”「INCLINE」だった.
清荒神参道で空き家となった3階建てビル.たまたま情報を仕入れて内覧にいったらとても可能性を感じる!!
チャンが一大決心をして、すぐさまローンで購入(公務員の信用すごい!&すごい思い切り!)、その物件をどう使うのか検討することからはじまった.
僕がまだあまり住宅を設計していない頃だったので「経験になるやろ!」と、僕にリノベーションの設計と場所の企画を任せてくれたチャンには感謝しかない.
使い方を検討していく際にチャンと僕が大事にしていたことが、「場をひらく」ということ.つまり、建築と場をつくる過程からたくさんの人に関わってもらってもらいながら、場を育てていくことを強く意識した.
現場バー(企画から場をひらく)
まず始めたのは、現場バー.
内装を解体しただけの状態で、キャンプ用のテーブルと椅子、お酒とおつまみを用意し、友だちや地域の人と一緒に飲み会をしながら使い方を考えるイベント.さまざまなアイディアが集まった.ただの現場飲み会とも言えるけど.笑
グラフィックデザイナーもその場に参加し、INCLINEという名前やどのように場所を作っていくのかなど、オープンな企画会議だった.
このやりとりから、1階をギャラリー、2階をシェアオフィス、3階をヒラタくんの住居にするという案が生まれた.
ギャラリーには、POPアップ的にさまざまな作家さんや店が展示を行うことで清荒神にいろんな人を呼ぶことができるということを期待した.また上述のマーケットなどで知り合った作家さんたちに個展という形で出店してもらうことでより深く関係を築けたらと考えた.
シェアオフィスは、清荒神にグラフィックデザイナーや設計者などデザインができる人が少なかったので、クリエイターが集まればマチのみんなでイベントする際に、さらに魅力的なイベントにできる!仕事を共有できると考えた.また景色のいいインクラインは働き方を考える上で心地いい場所だと考えた.
たくさんの人を巻き込んで関わってほしい.
3階の住居は、宝塚市の工務店さんと仲のいい左官職人さんとで仕上げる、でも1階と2階は、マチのみんなと共有する場なのでDIY形式でみんなでいっっしょにつくりたい.イベントをしながらつくりたい.
遊びイベントを組み込みながら施工する
そんな想いを実現させるため、アーティストであり大工の、ショーキチこと野崎将太くんとタッグを組んだ.彼はチームクラプトンというDIY集団出身でみんが楽しめるワークショップ施工を得意としていた.
彼の仲間と僕らの仲間と、時にSNSや前を通り掛かって知り合った仲間と.
みんなで一緒に、作り方も現場で考え、イベントを開催しながらつくり上げていった.
InstagramやFacebook、SNSのタイムラインには、ずっとINCLINEの施工風景が流れている!そんな状況だったと思う.
手間と暇と、想いと、楽しみを重ねて場をつくることで、清荒神はすごいムーブメントが起こっているマチだ!と周囲の人に知ってもらうのと同時に、この場所で何か一緒にイベントを企画したいと思ってもらうことが狙いだった.
そうして出来上がったINCLINEビルがこんな感じ.
家とシェアオフィスと、ギャラリーキッチンと、屋上は駐車場兼BBQができるスペースで、もうワクワクしかない複合施設になった.
公務員のチャンだからこそ、ビジネスとしてではなく購入した家の一部を楽しみながら人とシェアすることで、マチ全体に楽しみが増えていく、清荒神に愛着を持つ仲間が増えると同時に、住んでるだけでいつも自分(チャン)が楽しいの中心にいる!そんな状況をつくりだした.
マチにとっても自分にとっても、嬉しい場作り、このプロジェクトは僕は企画と設計と運営なんかもさせてもらったのだけど、マチに働きかける暮らしとは、自分の楽しいを人とシェアして周りも良くなっていく.
そんな循環をつくることだと改めて感じた、この経験が僕も清荒神で新たな場作りをしたいという想いを抱くことになった.
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⇨マチに働きかける暮らし - 清荒神 part 4 に続く
次のエピソードは、awai KIYOSHIKOJINをつくった話
このシリーズは清荒神での僕の思い出と、これから清荒神で新しく始める試みのため、自分にとってのまとめ的文章です.
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マチに働きかける暮らし - 清荒神 part 1
マチに働きかける暮らし - 清荒神 part 2 はこちら