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ケガをしている時の目標設定って難しくない?という話
やっぱりスポーツをする上でケガをすると凹みます。
しかし、凹んでいたとしても「次、何をするか?」は考えて動かないといけません。
とはいうものの、長期間ケガをしている時は目標設定をするのも難しく感じてくる時があります。
今回は、目標設定の方法論や、しっかりとした解決策が書いてあるわけではなく、私が過去たくさんケガを経験しながらプレーをしてきて感じた事を書いています。
1.ケガはいつ完治するのか読めない
私はラグビートップリーグのクボタスピアーズでプレーをして12年目となりますが、入団以来6回手術をしています。
手術をした際は、最短でも復帰まで約3か月、最長だと試合に出場したのが2年振りだった事もあるので、合計で考えると結構な期間プレーができませんでした。
ケガっていつ治るのか本当にわからないんですよね…。
例えば、野球やサッカーだと「◯◯選手、靭帯断裂で全治8ヵ月の重症」等が報道される場合もありますが、この8ヵ月というのは、あくまで目安で、自分が本当にその期間で完全な復帰ができるのかはわかりません。
実際に当初は「大体これくらいの期間でプレーできる」と話していたのに歩くのすら痛かった事もあります。
また、学生等で常駐のトレーナーやチームドクターがいなくて、十分なサポートを受けられない場合は更に長い時間がかかる場合もあるでしょう。
このように長期間リハビリをしていると、先が見えなすぎてメンタルが揺さぶられる事が増えてきます。
実際に私は結構ダメージを受けていました。
普段そんなにお酒は飲まないのですが、飲んでいる時は痛みを感じないでいられるので、つい調子に乗って飲み過ぎてしまったり、ちょっと生活が乱れたりして家族に迷惑をかけてしまった時期もありました。
2.目標設定について
普段、目標設定ってしていますか?
どんなカテゴリーでもスポーツをしている方は、自発的であれ、「先生やコーチに言われたから」等の外発的理由であれ、多くの選手が1年、半年、3ヶ月、1ヶ月、1週間、今日1日等、期間は違えど目標設定を行っていると思います。
(目標設定の方法については、私が解説するよりもGoogle先生に教えてもらう方がわかりやすいと思いますので割愛します。)
目標設定をする目的は、【求めている結果・ゴールに対して、自分はどう行動するのか?】を明確にする事です。
その結果、
・やるべき事にフォーカスできる
・失敗したとしても、次の手に生かせる
・積み重ねる事で心に余裕が生まれて自信になる
・やるべき事がわかっている、準備している事でメンタルが安定する
等のメリットを享受できます。
今まで全くしていない選手は、やってみても良いかもしれません。
困った時に役に立ったりします。
3.ケガをしている時の目標設定の難しさ
ケガをしている時にも「何にフォーカスするのか?」という目標設定は必要だと感じていますが、それ自体がストレスになってしまう事もあります。
ひとつ目のストレスは、「プレーができない事により選手として成長できていないと感じてしまう事」です。目標とのギャップですね。
元気にプレーをしている時には、目標設定する際の良いイメージはたくさん出てきます。
例えば、
「自分が目指しているのは〇〇だから、チーム練習にプラスして◇◇をする」
「前回の試合で〇〇ができなかったから、修正する為に、□□を試してみる」
「試合に出る為に、〇〇のスキルが必要だから、その練習をどれくらいする」
これらが本当にゴールに近づく為に最適な行動かどうかはわかりませんし、確実に最短で成長する訳ではないのですが、失敗しても学ぶ事は多く、身体が元気で練習ができるのであれば試行錯誤をしていく事ができます。
ケガをしているとこの試行錯誤できる機会が減少します。プレーができないから仕方がないので、映像を見たり、やっている選手に話を聞いたりと、できる事はありますが、自分が実際にプレーができない事に対するフラストレーションが溜まってきます。
ふたつ目のストレスは、「先が見えなくて何を目標にすればわからなくなっていく事」です。
ケガをしている時の短期的な目標としては「復帰する」が最も大きなゴールであり、その為に何をするか?と言えば「リハビリ」が最優先事項です。
しかし、上記の通りケガと言うのは厄介なもので、トレーナーとコミュニケーションを取り、「ここの筋肉、この動きを改善したいからこんなトレーニングをしよう」となって、それを続けても痛みが全く変わらないという事もあります。
それでも最適な方法を探し続けて、それをやりきって復帰する選手もいますが、全員がそういう訳ではありません。
時間が進んでいく中で徐々に「マジ変わらんわー」となってきて、どう行動するかを考える事もしんどくなってきます。
ありがちなのは、目標⇒「早く復帰する」しか思い浮かばなくなってきて、じゃあ何するの?というのは自分自身でもよくわからなくなっている状態になってしまう事です。
3.自分にできる事を探してみる
上記のように「復帰する・した後」の自分の事にフォーカスしすぎると行き詰まる事もあります。
もちろん最優先するのは復帰なので「やるべき事」は大きくは変わりませんが、「やらなきゃいけない訳ではないけど、やったら良いかもしれない事」に目を向けてみる事で心のバランスが安定して、結果的にリハビリの効果があがるかもしれません。
私がそのような時期を迎えていた時に、
「じゃあチーム・チームメイトの為に何ができるか?何をしたらチームのゴールに近づくか?チームの一体感を生む事ができるか?とか考えてみたら?」
と言う感じの事を言われました。
これを言ってもらえたのは結構助かりました。
コーチングの勉強を始めたきっかけはこれに近い感じですね。
やはり選手としては「自分が試合に出て勝利に貢献する事」が一番ですが、自分がプレーをしていなくてもチームは進んでいます。
プレーができない中で、自分が周りに何を与えられるのかを考えて実行する事で、自分自身の居場所だったり、チームメイトとの繋がりだったりを感じる事ができて気持ちはだいぶ安定したと思います。
4.根本的な解決ではないけど成長できる
正直これは根本的な解決ではないです。
結局は自分自身のケガが良くなって復帰ができないと同じ事になります。
しかし、漫然と与えられたリハビリメニューをこなして回復を待つよりは、この機会に別の事を考えて見るのも、結果的に助けになるかもしれないです。
私自身は、ケガの間は選手としてのONフィールドでのパフォーマンスは停滞したと思いますが、OFFフィールドでの人間的な成長には繋がったのではないかなと思っています。
最近SNS等で「優しい」と言ってもらえる事が増えたのもケガのおかげで多少人間性が成長したからかな?と思います(笑)
5.まとめ
私のラグビーに対する基本的な考え方としては、「楽しく」やるのが一番です。
「楽しく」というのは、色々な捉え方ができますが、やはり「チームが一体となって勝つ事」だと思います。
そりゃ自分が出てれば最高ですが、出てなくても「楽しい」と思えるようにするのも自分次第です。
ただ、私の場合は、ラグビーが好きと言う前提の上、仲の良いチームメイトやサポートしてくれる周りの環境や、既にキャプテンやFWリーダーを経験していたという状況があったから、幸運にもたまたまこの考えがマッチしただけで、全員がそれを受け入れて何が何でもやり続けないといけないという事はないです。
スポーツ以外にも楽しい事はたくさんあります。
気分が沈んでしんどい時は少し違う事をしてみたり、競技から離れてみる事も必要だと思います。
アスリートは、「プレーヤーでいる事」が時間的にもメンタル的にも大きなウェイトを占めているので、ケガをして長期間プレーができなくなると不安定になります。
今、元気にプレーをしている選手も、明日ケガをするかもしれません。
そんな時に助けになるように、元気なうちから色んな準備をしておいたら良いかもしれないですね。
※書いていたら結果的にメンタルヘルス的な話になっていったので下記宣伝です。
日本ラグビーフットボール選手会が取り組んでいる、「よわいはつよい プロジェクト」と言うのがあります。
アスリートのメンタルヘルスケアの啓発や啓蒙活動を行っていく予定のようです。
興味のある方はリンクを貼っておくので覗いてみて下さい。
「よわいはつよいプロジェクト」https://yowatsuyo.com/
以上
ありがとうございました。
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