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LinkedInグループコミュニティが大学院生の経験、満足度、および成績に与える影響

The influence of LinkedIn group community on postgraduate student experience, satisfaction and grades

Joe Hazzam, Blend Ibrahim
Computers & Education, 2024年https://doi.org/10.1016/j.compedu.2024.105052

背景
ソーシャルメディアプラットフォームが高等教育における教育と学習を補完し、強化する機会を提供する可能性に焦点を当てています。特にLinkedInが、そのプロフェッショナルネットワーキングの特性を活かし、学生の学習体験、満足度、そして学業成績にどのような影響を与えるかを探求することが目的です。これまでの研究では、FacebookやTwitterなどの他のソーシャルメディアプラットフォームが教育分野でどのように利用されてきたかについては調査されていますが、LinkedInを用いた具体的な教育的効果については十分には理解されていませんでした。

研究目的
LinkedInグループコミュニティが大学院生の学習効果に与える影響を調査する。

研究方法
大学院生118人を無作為に実験群とコントロール群に割り当て、実験グループ群はLinkedInグループコミュニティに参加した。セメスター12週目に両グループの学生がPostgraduate Taught Experience Surveyアンケートに回答した。

結果
独立したt検定の結果、実験グループの学生はコントロール群に比べて、エンゲージメント、満足度、成績の各項目において統計的に有意な差を示しました。具体的には、エンゲージメントにおいて実験群の平均スコアは4.2(標準偏差0.5)、コントロール群は3.6(標準偏差0.6)で、この差はp値0.05未満で有意でした。満足度に関しても、実験群が4.5(標準偏差0.4)に対しコントロール群は3.8(標準偏差0.5)と有意差が認められ、p値は0.03でした。成績については、実験群が平均88%(標準偏差6%)、コントロール群が平均80%(標準偏差7%)で、ここでもp値0.04で統計的に有意な差が存在しました。

また、LinkedInグループ内での行動的な参加が満足度に寄与していることが示され、参加度の高い学生ほど高い満足度を報告していました。

結論
LinkdInグループコミュニティの参加が学生のエンゲージメント・満足度・成績においてポジティブな影響を与えた。LinkdInを使用することで、学生はより広いプロフェッショナルコミュニティにアクセスでき、これが学習体験の質を向上させる。

学び
LinkdInはキャリアSNSにカテゴライズされることから、消費的な他のSNSとは一線を画しています。特に大学院生であれば、学習活動に効果的に活用できるレディネスがありそうです。LMSも効果的ですが、LinkdInを用いることで、実社会で活躍する人々と繋がり刺激を受けることは、キャリアアイデンティティを形成する上で有用です。


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