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これからのテーマはエビデンスを積み重ねること
こんにちは。
今回も僕のnoteを開いていただき
ありがとうございます!
ここまで3回にわたり、
「プレミアムPRP皮膚再生療法」についてお話ししてきました。
論文のPRSアクセプト、ベストペーパーアワード2016受賞により
PRP治療の風向きが変わり、当院への集中攻撃も落ち着きを見せたものの、
そこで終わらないのがこの業界の難しさです。
今回は、僕が考えるPRPの今後、
そしてテーマについて、お伝えできたらと思います。
■PRP療法は「弱く推奨しない」?
1年以上かけて作成した
「プレミアムPRP皮膚再生療法についての医学論文」がPRSにアクセプトされ、さらにベストペーパーアワード2016を受賞したことで、
これまで散々浴びてきた否定的な意見は激減しました。
聖心がPRPの治療を本格的にスタートした2008年当初、
注入部位が膨らみ過ぎるという、合併症の発生率は3~4%でしたが、
ドクターたちと、4年間かけて改良してきたことで1%未満に減少。
さらに改良を重ねて慎重に治療することで0.5%を切るまでになりました。
それでも、否定的な意見が完全に払拭されたわけではありません。
JSAS(日本美容外科学会)、JSAPS(一般社団法人 日本美容外科学会)、形成外科学会、皮膚科学会、美容皮膚科学会が合同で出している美容医療診療指針(令和3年度改訂版)というものがあります。
そこでは、FGFを添加したPRP療法は
「行うことを弱く推奨しない」
と評価されています。
なぜ、このような評価なのか。
僕は、これを「エビデンスが少ないから」だと考えています。
FGF添加PRP療法は、膨らみ過ぎといった見た目のマイナスはあるものの、
重篤な合併症は今のところありません。
一方、ヒアルロン酸はとても良い治療ですが、
顔に注入すると皮膚壊死や最悪の場合、失明するケースがあります。
それにもかかわらず、美容医療診療指針での評価は、「行うことを強く推奨する」なのです。
ヒアルロン酸治療が世界中で行われおり、エビデンス(論文数)は膨大。
失明という重篤な合併症がありながらも、
「強く推奨する」という評価を得ているのは
エビデンスの数によるものだというのが、僕の見解です。
■次の目標はエビデンスを増やすこと!
実際、治療が評価されるためには、
エビデンスの蓄積は重要です。
すべてが論文で解決できるわけではありませんが、
九州大学時代の訓えでもある「臨床と研究の両輪」で考えれば、
エビデンスを重ねていくしかありません。
ですから、聖心美容クリニックのこれからのテーマは、
もっと多くの論文をこの世に生み出すこと、なのです。
鎌倉ロジック=杉町ロジック!
FGF添加 PRPに関する論文は少ないので、
“ポイント10の英文論文”をつくろうと、
聖心全体で4つの英文論文を作成する動きが始まっています。
もちろん、論文の著者は聖心の各ドクター。
僕が全面的にサポートし、3~4年のうちにはアクセプトを含めて、
完成させたいと思っています。
■チャレンジの先に美容医療の前進がある
欧米をはじめ、韓国、中国のドクターは
美容外科でも多くの論文を書いています。
しかし、日本においては、
美容外科に関する論文を書く先生が少ない現状があります。
といいますのも、
日本の大学では美容外科に関する研究が少ないため
開業医が臨床をしながら論文を書くしかないのです。
日々の診療に追われて、論文を作成するのは簡単なことではありません。
それでも、チャレンジしないといけない。
僕はそう思います。
そこに美容医療の前進があると思うのです。
美容外科をひとつの学問として捉えるのであれば
「論文」という形を残していくことは大切です。
ですから、聖心のドクターには、
1編でもいいから論文を書いてほしいと思っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
医療技術が評価されるためには、
エビデンスがいかに重要であるかを
ひしひしと感じています。
万全で、副作用のない治療なんて世の中にないはずです。
しかし、いかに副作用や合併症を減らしながら
効果の高い治療法を提供できるかに、
医療従事者は挑戦しないといけません。
美容外科領域に留まらず、
医学の進歩に欠かせないのは、医師たちの熱意ではないでしょうか。