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美容外科医に必要なのは修正能力
こんにちは。
前回のnoteで過去の自分を振り返って、
いろいろなことがあったなあと、懐かしくなりました。
美容外科の世界に入って間もない頃は、失敗がつきものです。
でも、失敗があるからこそ、成長があるんですよね。
成長のためには、自分の失敗を直視しないといけません。
僕がこれまでの経験で確信しているのが、
美容外科医に必要なのは「修正能力」だということ。
今回は、そんなお話をしたいと思います。
■どんな名医も必ず失敗する
前回のnoteでもお話ししましたが、
症例を重ねていくなかで、うまくいかないことは必ずあるものです。
患者さんには手術の前に
「左右差が出たり、希望通りにいかなかったりしたときは、再手術の可能性がありますよ。」
とは伝えているのですが、
患者さんは、まさか自分がその対象者になるとは思っていません。
結果的に、「患者さんも医師どちらも不満足」
という結果になってしまうことがどうしても生じるのです。
失敗はどんなに名医でも必ずあります。
スーパードクターなら、
うまくいく例が多いかもしれませんが、
人間である以上、一定の割合では失敗を経験することになるでしょう。
僕は美容外科医が成長していく過程で重要なのは
「修正能力」だと思っています。
もし、満足のいかない結果になったら、
その原因を探り、どうしたらよいのか徹底的に考えるのです。
原因は一つではないことも多いので、
いくつもの要素を多角的に評価し、
同じ轍を踏まないように努めなくてはいけません。
うまく修正できるようになれば、
次の失敗を防げる可能性が高まります。
それが大事です。
失敗をしたら、目を背けずしっかりと直視すること。
そして、失敗を次に必ず活かすこと。
このことを、忘れてはならないのです。
■誤魔化しがきかないのが表面外科
美容外科は表面外科ですから、誤魔化しがききません。
患者さん自身が、客観的に自分の結果を評価しやすいのは、
一般の外科とは大きな違いでしょう。
昔は教育システムが不十分だったため、
いろいろな手術をやらせてもらえました。
しかし最近では、クリニックにもよりますが、
医者が初めに担当できる手術は限定されていて、
それをクリアできるかどうかで次のステージが決まることが多くあります。
なかなか次のステージに進むことできないことに耐えられず、
クリニックを転々とする医者は少なくありません。
その点においては、昔のほうが今より甘かったかもしれません。
一方で、多くの手術を経験させてもらえたからこそ、
その分思い悩むケースが増えたのは事実ですが…。
■年齢を重ねて、相手の気持ちに寄り添えるように
もともと僕は失敗を引きずるタイプではありません。
過去にはあまり執着しない性格で、
諦めは早いほうです。
そんな僕でも、患者さんのことについては別。
手術に満足できないときは、精神的に引きずりがちです。
すべての手術で
患者さんと僕の両方が満足する結果が出せるとは限りません。
うまく修正できることもありますが、
技術的に限界があって、患者さんに満足いただけないときもあります。
何をやってもダメ。
どうしても打つ手がないときは、
「どうしてできないんだろう?」と不甲斐なさを感じます。
不思議なもので、こうした患者さんへの想いは、
若い頃よりも今のほうが強くなりました。
僕はどちらかというと患者さんとよく話すタイプなので、
患者さんの気持ちが僕の中に入ってしまうのかもしれません。
これも成長の証でしょうか。
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今回も最後までお読みいただき、ありがとうございます。
思い返せば、若い時は勢いで人生を進んできた部分が多かったように思います。一生懸命に仕事をするあまり、妻に対して心無い発言をしてしまったこともあったと思います。
そんな僕ですが、歳を重ねるごとに相手の気持ちを考えられるようになってきました。妻だけでなく、患者さんに対しても精神的に寄り添えるようになり、人間関係の築き方が変化してきていることを感じます。
僕もまだまだ成長できるということですね!
毎日が多忙だと、自分を見つめる時間が限られてきます。
ときには、こうして自分の過去を振り返り、
自分のあり方を見直すことも大切にしたいと思います。