#01 レフェリーの引退に思うこと
こんにちは。
今日は研究とは関係の無い話題ですが、先日行われた明治安田生命J1リーグ最終節を現地で観戦して感じたことを書いていこうと思います。
横浜F・マリノス対川崎フロンターレを観戦して
12月4日(土)に行われた明治安田生命J1リーグの最終節、横浜F・マリノス対川崎フロンターレを日産スタジアムで観戦しました。試合は得点王争いをする両チームのストライカーが1点ずつを決めて引き分けに終わりました。リーグの1位と2位の対戦であり、とてもエキサイティングでなぜ両者がその順位にいるのかを示すようなゲームだったと思います。
さて、試合内容はこれくらいにして、スタジアムで感じた空気感について書いていきたいと思います。
まず私のサッカーとの関わりですが、私はマリノスサポーターで、Covid-19以前は現地で観戦することも多々ありました。しかし、この2年間はほとんど現地観戦はできず、久しぶりの日産スタジアムでした。
このゲームは最終的に3万人超の観客が訪れて、Covid-19以前の雰囲気が少しずつ戻ってきたのかなというような高揚感が感じられました。
旗振りが解禁になり、選手入場前のマリノスのゴール裏はトリコロールの旗で埋め尽くされていてとても美しい光景でした。
後半、フロンターレに先制されるもすぐ同点に追いついたわけですが、同点後のスタジアムは手拍子が作る熱気に包まれていました。ゴール裏の太鼓が止まっても手拍子が鳴り止まない場面もあり、声が出せない中でも3万人超のスタジアムが発する熱気、一体感は相当なものだなと感じました。この2年間、観戦における様々な制約がある中で、Covid-19以前とは異なる、良い意味で新たなホームスタジアムの空気を感じました。様々な制約の中でもクラブとして良い方向に進んでいる、とスタジアムに流れていた空気が示しているようでした。
試合終了のホイッスルの後で
そして、無事に試合は終了し、今シーズンも終わりだなと思っていた時でした、この試合の感想を書き残そうと思ったのは。
この試合の主審を担当した家本レフェリーは、今シーズン限りでのトップカテゴリーの審判員を退くことを表明していました。つまり、この試合は家本レフェリーにとってのラストマッチだったわけです。
近年は、レフェリーの200試合や300試合といった節目のゲームを祝うことが増えてきましたが、レフェリーの引退セレモニーを目にしたことはありませんでした。
この試合では、試合終了のホイッスルとともに、一旦整列をした両チームの選手たちが、家本レフェリーの花道を作り始めました。それを見て、2階のゴール裏で観戦していた私は自然と立ち上がって拍手を送っていました。周りにもそのような方は大勢いらっしゃったと思います。
程なくして、両チームから記念のユニフォームが渡されて、家本レフェリーとご家族、両チームが入り混じっての記念撮影。そして、家本レフェリーへのメッセージが掲げられた両ゴール裏へ家本レフェリーが走ってきて拍手に応える。その間、私は拍手を止めることもなく、ただただその素晴らしい空間に立ち合い、その中の1人であるという幸せを噛みしめていました。
レフェリーの引退セレモニーで感じたこと
私は物心ついた時からマリノスが好きで、20年以上Jリーグを見てきました。贔屓のクラブがあるので、当然勝ち負けには拘ります。勝てば嬉しいし、負ければ悲しい。贔屓のクラブが違えば相容れないこともあります。何より私にとってはマリノスこそがかけがえのない存在です。
しかし、今回、この素晴らしい空間に立ち合い、改めて実感したことがあります。
他クラブの選手やサポーター、そして試合を円滑に進めるレフェリー、試合を運営するスタッフ、あらゆる人がJリーグを構成していて、それぞれが大切な仲間なんだなと。
Jリーグは前に進んでいる
4、5年前であれば、レフェリーの引退だからと自然と立ち上がって拍手をすることは想像できなかったと思います。私はあくまでマリノス中心のJリーグウォッチャーであり、内心レフェリーを批判することはよくありました。さらに、試合が行われるのが当たり前であり、その裏にいる人々の存在は考えてもいませんでした。当然他のクラブはただの競争相手でした。
しかし、この2年、試合が開催されること、スタジアムに観戦に行けることの尊さを常に感じています。Covid-19により引き起こされたここまでの状況はひとつのクラブだけで乗り越えられるものではなかったと思います。リーグ全体で乗り越えていくべき難局だったと思います。
まだ声は出せないにしても、ようやく3万人超の観客がスタジアムに戻ってきて、今回のようなエモーショナルな空間を敵味方関係なく共有できた。Jリーグはまた前に進み始めた気がします。
ジャッジリプレイが私に与えてくれたもの
近年、Jリーグや各クラブはSNSなどを通じて試合運営やチームの裏側を発信するようになりました。私自身、運営スタッフやチームスタッフの存在を認知し,その役割を理解できるようになってきました。
そして、今回のレフェリーをみんなで送り出そうという一連の流れは、2018年から始まった「ジャッジリプレイ」の影響がとても大きいと思います。「ジャッジリプレイ」は現在、DAZNで毎週火曜日に配信されています。私も毎週見ています。
「ジャッジリプレイ」が配信される前は、感覚的にレフェリーの判定に悪態をついていました。しかし、「ジャッジリプレイ」を通して、ルールを認知し、理解して、レフェリーの神業的なスキルを認知し、理解できました。
そして、試合を円滑に進めるレフェリーの素晴らしさに共感しました。
判定に悪態をついたり、レフェリーを批判することはなくなっていったと思います。「ジャッジリプレイ」は私のサッカー観戦に伴う行動を変えてくれました。
今では、レフェリーのナイスジャッジを探すのが習慣になりました。
このような人は私だけではないでしょう。だからこそ、サポーターからもレフェリーを送り出そうというムーブメントが起きたのだと思います。
また、このような経験を与えてくれた「ジャッジリプレイ」の出演者の皆様、製作者の皆様へは感謝してもしきれません。
Jリーグの文化は成熟しつつある
ところで、経営理念の浸透には、いくつかのステップがあるそうです。以下のWebページでは、6つのステップをあげていました。
Jリーグや各クラブがSNSなどを通じて試合運営やチームの裏側を発信することで、少しずつJリーグや各クラブの理念がサポーターにも浸透しているように感じます。「ジャッジリプレイ」はその代表でしょう。選手やサポーターがレフェリーをリスペクトしようとする文化ができつつあること。これはJリーグが築いた財産だと思います。
最後に
家本レフェリーの引退セレモニーを現場で目撃し、書かずにはいられず、長々と書いてしました。
最後に、あのような素晴らしい時間を経験できたことに感謝をしたいと思います。
そして、家本レフェリー長い間お疲れ様でした!
ではでは、今日はこれくらいで。