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長男は宇宙人?①

 我が家の長男は、本当に面白い。

 この地球の生き物は全部知りたいらしい。

 彼のおかげで、色々な生き物を知ることができている。彼は、食事の傍ら、常に図鑑か動画で生き物について吸収し、外に出れば、熱中症になるまで虫取りをしている。

 私たちも一緒に、さまざまな博物館、生物園、動物園、水族館、昆虫館などに足を運んだ。

 長男のおかげで、生後7ヶ月の次女を連れて、福井県立恐竜博物館にも行った。

 彼は、常に今を生きている。やりたいと思ったこと、知りたいと思ったことは、”今”じゃないとダメだ。


何やら解説中


産院で一番声の大きな赤ちゃん

 産声を上げた時、助産師さんが言った。
「この子、すっごく怒ってるわね!」

 予定日を1日過ぎても、陣痛がこなかった。初産なのでよくあることだとは思う。

 夫はやっと担当の運動会が終わり、仕事がひと段落したところ。しかしながら、翌々日から今度は京都に修学旅行に行かなくてはいけないので、明後日を過ぎるとしばらく立ち会えない。

 その夜は、満月で、お風呂に入ると、地震があった。
 なんとなく「今日生まれるのかな。」と思ったので、「今日なら、パパがそばにいてくれるよ。」とお腹に話しかけた。

 すると、陣痛が来て、19時ごろ産院に向かった。

 ところが、到着すると、陣痛が弱まって、なかなか進まない。私の覚悟もまだできていなかったのだと思うし、緊張がお腹の子に伝わったようだった。

 結局、産声を上げたのは、痛み出してから26時間後だった。

 いつも混雑している外来の待合室。日曜日なので誰もいない。がらんとしている。そこを練り歩き、唸りながら、入院エリアとをつなぐ階段を何度も昇降した。

 それでも、まだまだだった。私は、早く産まなければと必死だった。早く産まなければ、初めての出産に夫が立ち会えない。

 しかし、その気合いも折れる未知のつらさ。疲れ果てて、入院した部屋でベッドに横になった。夫はテレビを見ていた。最初は、少しイラッとしたが、その背中で「生まれる時に生まれるよ。」と言った。

 ああ、そうか。

 力が抜けた瞬間に、痛みが強くなって、破水した。

 夫の手が折れそうなほど握って、その夫を壁まで蹴り飛ばして、なんとか分娩室まで移動したが、そこから、息子の心拍が落ちて、私は酸素マスクをつけた。「赤ちゃんが苦しそうだからね。」と言われた。

 え、ちょっとやばい?涙が出てくる。とにかく息をしようと思った。若干空気がピリついていた。

 必死にわからないなりにいきんだが、最後は吸引されていた。

 真っ赤で、頭がのびて、首から下はだらんとして。器具に吸われて、タコみたいになった赤ちゃんが出てきた。

 「まだ出たくなかったのに!」「めちゃくちゃくるしかったよ。」とお怒りだった。


 ぼやける視界で見ていてそう思った。

 「この子、すっごく怒ってるわね!」

  うんうん。それそれ。


 その泣き声は、産院中に響き渡っていた。


 新生児室にうつったあとも、大きな声で泣いていたそうで、別々に駆けつけた実母と義母が赤ちゃんを見てから、私のところへきて、同じ感想を言った。

 「〇〇(長男)が1番大きい声で泣いているよ!」

 その時は、ただ元気な男の子でよかったと思っていた。

なんだよー。まぶしいしー、寒いしー。


昼間は寝ない。夜中は起きない。

 赤ちゃんなのに、昼間あまり寝なかった。
目が見えるようになると、メリーをいつまでも眺めていた。

 夜は、逆に、起きないので、授乳できず、胸がガチガチに張って岩みたいになった。

 体重は、なかなか増えなかった。
ミルクは飲まなかった。母乳しか受け付けない。

 それでも、特に問題なく、乳児健診を終えた。

 離乳食も苦労した。初めての子なので、そんなこともあるかと思っていた。

 それでも、とにかく可愛い。それだけだった。

宇宙語を話す

 一歳前に、「ねんね」などと言ったと思ったが、その後消失し、4歳手前まで、宇宙語しか喋らなかった。


 こちらが判別できる言葉は話さなかったが、2歳でアルファベットを全部書いたし、10まで数字を理解していた。

 3歳で、ひらがなカタカナがわかっていた。形は、ほとんど書けていた。

 でも、会話は難しかった。

 ただ、起きているときは、基本ずっと何か言っていた。喋り続けていた。宇宙語で。

 周波数が違う感じ。高めの音だけ拾って、テレビや大人の言葉を真似しているようだった。


これが東京かあ。


            つづく。

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たつりころも
学校の先生も保護者もしあわせになって、こどもたちが笑っている。そんな日本になるように。経験を基にした小説を書きたいと思っています。いただいたサポートで、チョコレートを食べて、執筆頑張ります!