1月1日火曜日
希望に輝く昭和二十七年が明けた。一年の計は元旦にありと言うが、昨夜は一時までラジオを聴いていたので寝坊してしまった。
九時に起き一パイの酒を飲み新年を祝し雑煮を食す。兄と妹は新小岩に行くので十時半ごろ出かける。父は十一時ごろ早仕舞いで帰ってきて酒を三合足らず飲み、つらつら話して寝てしまう。いい酒飲みだ。
午后からはラジオを聴いて静かにしている。浅草の興行街は相当の入りらしい。興行師共は今日儲けなければ儲ける時がないと言はんばかり。
昨年は闘病に終始したが今年は体も大分良好なので、何か良い商売をやりたい。そして毎日を楽しく愉快に暮らしたい。
働いてないで収入がないと言うことは実に淋しい事だ。それに働く喜びは病気になったものでなければ分かるまい。
鈴木さんに依頼した件がなんとか実現してくれれば良いが。
ハー坊から年賀はがきが来た。彼女はよく忘れずに年賀状を寄越す。返事出してやろう。年賀葉書、ハー坊一人とはなさけない。
静かなノンビリした元旦だった。天気も全国的に良かったらしい。