『M-1』の採点 2024年はどうだったのか〜令和ロマン優勝のキーマンは海原ともこさん、柴田さんや若林さんも存在感
今年も盛り上がったM-1グランプリ。20周年となる記念大会となる漫才頂上決戦を制したの昨年の優勝コンビである令和ロマン。史上初の2連覇を達成しました。
これまでM-1審査員の顔だった松本人志さんがいなくなり、2015年以来の9人での審査となった2024年のM-1グランプリ。20周年を迎えたM-1は2001年〜2010年を第1期、2015年からのM-1を第2期とするなら、その2期の終幕といえる大会だったように思えます。
史上初の2連覇を達成した令和ロマンのケムリさんは優勝のインタビューで来年は出ませんと発言していますし、令和ロマンの引っ張るM-1は今年で終わりでしょう。審査員が9人になったのも、松本さんが審査員にいないのもM-1復活初年度の2015年以来ということを考えれば、2025年からは第3章となる気がします。
これまでの700点満点から900点満点になった今大会。各審査員の審査について分析してみたいと思います。
得点のバラつきがあったのは誰だ?
M-1グランプリ2024の各審査員の得点の表ですが、以下のようになります。
表にある標準偏差とはデータのばらつきを見る指標で、大きいほどばらつきがあります。それぞれのコンビに点差をつけたことを示します。
その標準偏差で見ると最も大きかったのは3.307のNON STYLEの石田さん、続いて3.266のアンタッチャブルの柴田さん、そして3.071の華丸大吉の大吉先生となります。逆に1.549の「海原やすよ ともこ」の海原ともこさん、1.780のナイツ塙さん、1.889のオードリー若林さんはコンビごとの得点差はつけていませんでした。
NSCの講師を務め、今回の審査員の中でも存在感を見せた石田さん。トム・ブラウンの審査の際に個人としては高い点をつけたいが、お茶の間の人の目ではどうかということで88点と厳しい点をつけていました。その厳正な審査は神回といえるM-12024にひとつの芯を与えていたのではないでしょうか。
今回の審査員でのキーマンは海原さん?
次に今回の審査員の中で、順位に大きく影響を与えたキーマンを導きだします。
上記の表は、もしその審査員がいなかった場合、実際の順位とどのくらいの差があるのかを示したものです。
この表で見ると、最も全体の順位に影響を与えたのは大吉先生となります。
今回優勝した令和ロマンの決勝進出に大きく影響を与えたのは海原ともこさん。海原さんを除外した得点でみれば、令和ロマンは4位になってしまいます。
ファイナルラウンドでは文句なしの漫才コントを見せた令和ロマンですが、少し点数が違えば2連覇はなかったのです。
凄みを見せた審査員の柴田さん、若林さんの審査
2024年のM-1はバッテリィズ、令和ロマン、真空ジェシカ、エバースの4組とそのほかの6組では点数に大きな隔たりがあります。
ではその4組の抽出した表を見てみます。
この4組も1位のバッテリィズは861点と、2位の令和ロマンとは11点差がありますが、2〜4位は1点差の僅差でした。
この上位4組を実際の順位と同じく点数をつけたのはアンタッチャブルの柴田さん。得点差を大きくつけながらも、冷静にみていたところはさすがです。
そのほかの審査員はそれぞれが3位以内につけたコンビはバラバラでした。
4位のエバースに最高得点をつけたのは塙さん、2位にしたのは若林さん、石田さん、中川家の礼二さん。
3位の真空ジェシカに最高得点をつけたのは大吉先生、塙さん、山内さん、2位にした人はいませんでした。
2位の令和ロマンに最高得点をつけたのは実は海原さん一人だけ。海原さんが今回の優勝のキーマンだったといえます。
最後に今回新審査員となった若林さんについての面白いデータを見てみます。
ここから先は
仕事とボクと1年戦争〜戦力外になったライター漂流記
フリーランスライターとして働く44歳の私が直面した、突然の仕事喪失。安定を失い、途方に暮れながらも新しい道を模索する日々を綴ります。ただ明…
よろしければサポートお願いします。 書きたいものはあるのですが、なかなか手に付かない時があります。そんなとき、貴方のサポートがあれば背中を押してもらえます。 けして文才があるタイプではないですが、10本に1本は面白いものを出せます。 その後押しをお願いします。