親知らず恩知らず
人間が生きている間に逆転しない関係が、親。
どれだけ歳を取っても親は親、子供は子供。
親が百歳になって、子供が八十才でも子供に見えるのだという。この関係は死ぬまで続く、また、この関係は恩でも同じ。
親から与えられた恩の関係も逆転しない。
天上天下唯我独尊という言葉にもある、
この世に生まれた人間にしかできないことをさせていただけているのは
親の恩でしかない。
しかしながら、自分の真の姿はどうだろう。心の姿はどうだろう。
まだ何も知らなかった頃から何でもしてもらえた。
親になんでもしてあげているだろうか?
『自分は親にしてもらった覚えがない』と言う人もまた、
恩の意味が曖昧な人のセリフなのだと気がついた。
受け取るばかりが多くて、返せるものは少ない。
返すどころか、さらに恩なんて知るか、当たり前だとばかりに
恩着せがましく、せびったり、ごまかしたり、裏切ったり、嘘をついたり。
これは悪を重ねているとしか思えない。
思えないというか、厳然たる事実でしかない。
この逆恩を積み重ねている人間は最後はどうなるのだろう。
最後は死ぬ時だ。死ぬ時がチャラなんて都合のいいことはあるのか?
勉強していない人が、点数を取れないように、
逆恩の人々が人生を終えるときに、悪い報いが返ってこないわけがない。
人生いつ来るかわからない抜き打ちテストに怯えている人間の本当の姿が見えるのではないか。
どんなに明るい人でも寂しさが見え隠れする。寂しさがなければ笑えない。笑えるのは寂しいからなんだろう。
寂しさの根源はまさに、死後どうなるかわからない心なんだと思う。
もし、この抜き打ちテストのテスト対策ができていれば、怖いものは何もない、何も後悔することはない。自分の死後がない、と主張する人も、死に対する無知から逃げているだけだ。死後自分がどうなるかわからないから、今現在苦しいのではないか。
他の動物とは違う、
人間のみが、先人の知恵から、死後の世界を学ぶことができる。