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この裏切りは・・・

ずっと僕は勘違いをしていた。
僕は君を裏切った。ずっとそう思っていた。
君の一番そばにずっといると言葉にして誓ったのに、僕は君を裏切って、僕は彼の娘と結婚した。
「おめでとう」と笑う君の顔が見れなくて、「おめでとう」の言葉が信じられなくて、あれ以来、僕は君の一番そばから少しずつ距離を置いた。

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今までと少しも変わらぬ笑顔を向けながら、君は少しずつ僕から遠ざかり、仲間と共に笑い合う。
そうか、君が僕を裏切ったんだ。
だから僕は寂しくて、彼女との日々が愛おしくなったんだ。
君は僕を必要としていないんだ。
初めからそうだったのか?
腹が立った。怒りというより君を恨んだ。
君がそうして僕を裏切ったからこういう結果になったんだ。
僕は君から一番遠い場所に立つことに決めた。
それを君に告げると、君は大きな瞳をいっそう大きく瞠いて、じっと僕を見た後に、ゆっくりと瞼を閉じて俯いた。
「そうか。仕方ないよね」
そう言って再び開いたその瞳は、今までと全く違った色をしていた。

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君から離れて随分経った。
君の話は噂で聞く。聞かないつもりでも誰かしら僕に伝えてくる。
元気だと、病気をしたと、仕事で会ったと、楽しそうにしていたと。
君の話を聞くたびに、君との日々を思い出す。
あんなに楽しく輝いた日々は他にはないと思い出す。
思い出すたび苦しくなる。
そしてようやく気がつく。
君が僕を裏切ったのでは当然なく、僕が君を裏切ったものでもない。
僕が僕自身の思いを裏切ったのだ。

君に謝らなければ。
君にもう一度会いたい。

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君に会おうと決めた時、君の話が流れてきた。
君はもう此処にはいないと。
仲間にも誰にも何も告げずに、君は此処から旅立ったという。
もう君には会えないのか?謝ることもできないのか?
ずっと一緒にいるはずだった、ずっとそばにいるはずだった、僕と君との距離はあまりにも遠過ぎる。

君もまた君の思いを裏切っていたのかい?
だから君はいなくなってしまったのかい?
その答え知ることは、もう決してないのだけれど。

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