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夏の終わりに咲く花は

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いつの頃からかそこに咲いていた花は、日々顔を変えて咲き続ける。
春。
咲き始めた頃は穏やかに晴れていたのだろうか?
気まぐれに強い陽がさしていただろうか?
強い雨を受けたかもしれない。
風が仲間を攫っていったときもあっただろう。
やがて夏。
強い陽射しも、吹く風も、雷鳴轟かせ降る雨も、花々たちを輝かせるためにあるものに過ぎない…はず。

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代わる代わりに咲く花は、あの日の花と違う花とは誰も気付かず眺めている。
たとえ気が付いていたとしても、誰もそれを口にはしない。
そして、少しずつ花は色を変え、少しずつ花は終わりへと向かう。

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夏の終わりに咲く花は、纏った憂いに気付くことなく揺れている。
夏の終わりに咲く花の、憂いに気付かぬふりをして、人は花を見てはため息落とす。
夏の終わりはすぐそこにある。

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