【伝書鳩パーティー】#毎週ショートショートnote
「あれは何?」
「あぁ。あそこは鳩を飼ってるの」
屋根の上から小屋が見えている。屋根の上につけて置いてるところもあれば、あの高さまでの階段をつけた小屋を設置しているところもある。
「なぜかこの辺、鳩を飼っている人多くてね」
「ふうん」と頷いても納得していないのがバレたのだろう。
「鶏を飼うのに鶏小屋を用意するでしょ?それと同じこと」
「あの高さに?」
「鳩は飛ぶから」
「え?飛ばすの?」
「伝書鳩だからね。戻ってくるわ。明日の朝とか見れると思うよ。みんなきちんと帰ってくるの。見事な編隊組んでね」
「ほら見て」
翌朝空を行く鳩たちを見た。20羽以上はいる。
「あ」
向こうからもかなりの数の鳩が来た。
ぶつかることも、大きく回避することもなくふたつの群れが交差する。
「うわぁ」
「ラッキーだったわね。伝書鳩パーティーを見れるなんて。ちょっとしたタイミングだと思うけど、どこで見れるかわからないの」
鳩たちは乱れることなくそれぞれの空に飛んで行った。