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わたしの就職活動奮闘記

【本稿の意義】

私は2021年の7月に就職活動を始め、2022年の8月後半に最終的な入社先を決めた。期間としては長いが、途中半年間ほど就職活動を中断した。2021年の11月に当時行きたかった会社から内定をもらい満足したつもりだったが、2022年6月末に、より行きたいと思える会社に出会い就職活動を再開したのだ。

私は大学の専攻を活かせるかどうかという軸で会社を選んでいた。母校である東京外国語大学南アジア専攻の後輩や大阪大学南アジア専攻の方の中で、同じような考えを持って進路に悩んでいる人がいるのではないだろうか。(上記二校の関係者は無料版を差し上げるので個別に連絡ください。)

どうしたら専攻語を活かせる仕事につけるだろうか?どうしたら高い確率で専攻地域に携われることができるだろうか?

私もこの問にかなり苦しめられた人の一人である。そこで一年間考えてひねり出した私なりの解をみなさんに共有することで、もしかしたら一人くらい参考にしたい人がいるではと考えた。


【免責事項】

この免責事項はすべて書き終わったあとに振り返って、書いている。なぜか十数人の友人からの閲覧希望を受け、チキンの私はとても怖くなった。もう一度読んでみると、このノートはかなり視野狭窄だな、という印象を持った。このように考えている人は多くないだろうし、私の様な考えをしていない人が間違っていると言いたいわけではない。。それぞれの正解がある一方で、こんな考えもあるのかと一人でも思ってくれたらこれ以上うれしいことはない。

これで十分に保険をかけられたので、ヘルメット着用のうえ、続きをどうぞ。



【なぜ専攻をキャリアにつなげたいか】

私が面接で言っていたことは「インドビジネスの専門家として日本企業に貢献する」という私の人生の目的だった。

私は大学でウルドゥー語を専攻していて、教授がウルドゥー語の通訳をしているのをみたとき素直に「かっこいい!」と思った。これをきっかけに専攻を仕事に生かしたいと思うようになった。

単に教授のウルドゥー語力に憧れたわけではなく、きっと専門知識をもって人の役に立つ(通訳)構造が意味のあることに思えたのだった。それまであくまで趣味として語学に打ち込んでいた私にとって、他人に価値を提供する武器として専門知識を持ちたいと学問への見方が変わった瞬間だった。

しかし、私がウルドゥー語の通訳者になりたいと思うことはなかった。通訳はとても価値の高い仕事でかっこいい。しかし価値を提供する範囲が狭いと思った。

就職活動に突入し自己分析をする中で、専門性を活かす世界をビジネス世界へと拡大させたいと思った。つまり、商流の高いところで言語文化の専門性を発揮できれば、その結果として社会に大きな影響を与えられると思った。



【就職活動での取り組み】

私がしていた就職活動は、自己分析企業分析、インターン、OBOG訪問、面接対策の5つに分解できる。最も重要なのは自己分析と企業分析であり、他4つは割愛して意識の高そうな記事や参考書に任せようと思う。

【自己分析】自己分析に関して結論から言うと人生の目的論という自己分析法に従った。Utsuさんというユーチューバーの言う通りにしたのでそのままおすすめしたい。簡単に説明すると、今まで20数年積んできた経験から、これからやりたいことを“仮決め”していく作業だ。

ホワイトカラーの労働というのは、可能性が無限にある。対比として、技術者は社会で提供する価値が明確だからこそ、道に迷うことは少ない。たとえば原子力についての研究者は、就職活動では原子力発電所など、選択肢は限られてくる。

選択肢が限られるのは悪いことではない。その証拠に、文系の就職活動は選択肢が無限すぎて迷っていたら就職活動が終わっていたなんてケースも少なからずある。なぜ選択肢が無限にあると、人は迷うのか。

他の選択肢を捨てきれないことが大きいのではと私は考える。今はラーメン屋を開きたいけど、もし10年後銀行とか安定した職に就きたくなったらどうしよう。こういった具合で、転職に有利な会社が最近の就職先として人気だ。(コンサル、外資金融、メガベンチャーなど)。もちろんこれらに所属する人が皆そういった思考だということは意味しない。

しかし、将来やりたいことが変わるかもしれないから、その後転職しやすい会社に入ろうとするのは私にとっては賢い判断とは言えない。人生は無限ではない。そのリミットがある時点で、今暫定でやりたいことを仮定していくしかない。

例えば、やりたいことがないからコンサルに入るのはよく聞くが賢明ではない。なぜならコンサルはいろんなビジネスの側面に携われるが、コンサルとしてのかかわり方はかなり限定的だ。あなたはコンサルタントとして働くわけだから、その役割を求められるのは当たり前のことだ。急に営業をしたり、経理として仕訳を切ったり、工場管理をしたりすることをお願いされるわけではない。

コンサルタントとして身についた能力は問題解決だったり経営に関する上流工程に関するものだ。コンサルタントとして成長したから自然に営業がバリバリできるようになるわけではないのだ。この時点で、コンサルに入ったから選択肢が担保されたわけではなく、コンサルタントとしての方向性に限定されていくことを認識しなければならない。マッキンゼーに入った人とリクルートに営業で入った人では、三年後に営業ではリクルートの人が圧勝するのは疑いがない。

これに対する想定される反論は、経理をやりたいと思って入社したが、もしあとから営業やりたいと思ったらどうするのか、というものだ。しかし、人生はそういうものだ。私だってインドキャリアがいいのではと強い仮説をもって入社先を選んだ。これが絶対に正しいとは思っていない。インドの飯が合わな過ぎて1か月で日本に帰ってくる可能性もある。仮説は裏切るものだ。しかし、今一番やりたいことをやってみて、なにか違ったらまたゼロからやり直しというわけではなく、間違っていたことが次なる仮説をさらに強力なものにさせるのだ。間違えることはいいことだ。

仮説をもって検証する行為は、次のような良い点がある:自分の興味という強いモチベーションをもって能力を高めていけること。興味はないがコンサルに入った人と、興味を持って入った人ではその能力の伸びは大きく違ってくるだろう。つまり、やりたいことは何か、無理やりでも仮説をもつことは、逆説的に市場価値なるものは高くなるものだと考えている。

まとめると、この自己分析法を悪く言うと、自分の可能性を限定していくことだ。ただ、就職活動そのものが可能性を絞っていくことなのだから、「市場価値」という曖昧なものではなく、自分のやりたいことを優先させるべきだ。

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Utsuさんのユーチューブhttps://youtu.be/OoUDiK3PgBk



【企業分析】企業分析に関しては二つ作業をした。①上場している会社であれば会社HPに掲載されているIR資料を読んだ。どのような財務体質なのか、リスクがあるのか、事業をもっているのか。基本的な戦略や事業内容はこの資料ですべてわかる。②読んでいていわからないことや疑問に思ったことをOBOG訪問や面接での逆質問で聞く。

大事なのは、自己分析をしてやりたいことが明確にすること。その視点をもって、企業での活躍をイメージしたりする。OBOG訪問であっても逆質問であってもやりたいことを絡めて疑問をぶつけるといい評価をもらえた記憶がある。

IR資料であったりOBOG訪問であっても、自分のやりたいことを中心に見ていく。やりたいことを自己分析で明確にできていないから、「どこをみたらいいのかわからない」という状況に陥る。面接でもやりたいことをそのまま話していたらあなたのオリジナリティは自然と出来上がっていく。

自己分析で出来るだけ鋭いナイフを手に入れて、会社をそれで刺すイメージだ。(わかりにくい)



【就職活動での絶望】

やりたいことと企業をつなげることが重要と上に書いた。しかし、そう書いたものの私はある問題にぶつかった。

あれ、行きたい会社がないんご。

私のやりたいことは「インドビジネスの専門家として日本企業に貢献すること」である。この人生の目的に合いそうな選択肢を羅列してみる。

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私はインドへの思いが強い。海外で活躍する、というあいまいとしたものではないのだ。同じ思いを持って日系企業に入社した先輩はメキシコ担当になったそうだ。メキシコではウルドゥー語は通じないのだ!北インドでなければ私の強みは生かせない。

日本は総合職採用という制度を採用している。日本の企業は就職ではなく、就社を勧めている。この企業に入ったら一生経済的にめんどう見てあげる代わりに、企業を優先する人生を送ってね。あなたのやりたいことベースではなく、企業の都合に服従してね。あ、でも終身雇用はもう無理ね。という制度だと私の目に映った。

こういった採用制度では私のやりたいことを達成するために3つの壁を乗り越えないといけない。配属ガチャと駐在地ガチャ、ジョブローテーションだ。内容は文字通りなので詳しくは書かないが、説明会に出ても私をわくわくさせる企業は全くなかった。入社できても配属ガチャでインドにこだわれなかったらせっかく持った仮説を検証できない。

そういった中で、私はインドにキャリアを限定することが最優先事項であると考えた。総合商社やメーカーなど興味が失せた。ちなみにこれらの会社には適材適所という概念がなく、インドが得意な人がいれば逆に東南アジアに行かせるというジェネラリストを育成しようとするようだ。インドビジネスのスペシャリストになりたい私は正反対の性格であることがよくわかるだろう。

私はここでインドでのキャリアパスを決めるために、インド財閥である日本タタコンサルタンシーサービシズというITコンサル企業が選択肢として浮上してきた。インドに100%関わることができるのでファーストキャリアとしてこの会社に入社して、その後転職を繰り返しながら人生の目的に近づいていこうと考えた。

日本TCSは夏休みの8月にワンデイのインターンに参加した。やはりお互いに相性が良く、メンターにインドの話をしたらウケていた。その後特別選考に呼ばれ二回の面接後に内定をいただいた。面接でもインドの地域研究をしていると話したら関連した雑談になったが、合格した。



【専攻にこだわる必要があるのか】

その後私は就職活動をするのをやめた。暇つぶしにしていた就職活動は、スカウト型のアプリを通して面談をしていたくらいだった。トヨタ自動車やMS&ADなどの面談をしていた。

地元のbrotherという優良企業と面談していたら、良い質問をされた。

「なぜそこまでインドにこだわるのか。もしかしたらロンドンのほうが合っているかもしれないじゃないか。いろいろ経験してみて決めたらいいのでは?」

人生の節目であるし、いったん立ち止まってなぜインドにそこまでこだわる必要を感じているのか整理して考えた。

議論の構造は、「日本企業に総合職として入社しやりたいことに関係のない上から降ってきた仕事に一日の大半を費やす」VS「学生の時にやりたいと思った仕事について後戻りできない道を行く」という無理やり二項対立でとらえた。

たしかに面談者のいうように、もしかしたら私は専攻のせいで進路を限定してしまっているのではないか?総合職というガチャに身を任せれば、思ってもいなかった素晴らしい経験を積めるのではないか?

しかし私はこう考える。今やりたいことがあるのは人生で数少ないかけがえのないことである。面談者の言うようにほかの可能性のために総合職でガチャに身を任せても、際限のない「可能性」しか残らないのではないか。なにより、意思決定を自分でしないこと(意外と大人でも多いのだが)は選択を他責してしまうリスクがあると思う。

入社した後、私の事を知りもしない人事が私の進路を決めるのはこの上ない苦痛だ。私は他人に人生を預ける思考はしない。自分のキャリアくらいは、自分の意思と能力で切り開いていきたいと考えた。よくいわれるように、やった後悔は存在しないが、やらない後悔は一生心に残る。

自己分析でも書いたように、自分の仮説を優先すべきだ。半ば消極的に日本TCSへの入社を決めた私は、今やりたいことはネットフリックスとユーチューブだという仮説を持って、ずっとスマホをいじっていた。



【絶望の中で見えた光】

2022年6月、大学のキャリアセンターからのメッセージが届く。日系シンクタンクのインド拠点の説明会についてだった。募集していたのは企業の戦略立案をし、CEOなどの経営者にお仕えする部門だ。その会社はデリーに拠点を構え、インド工科大出身等のインド人エリートをまとめて案件を遂行していく。もちろんインド人のマネジメントだけではなく、入社してからは当然コンサルタントとしての成長を求められる。

一般的には、現地採用と聞くと私は二つ悪い側面を思いつく。一つは待遇の悪さ。基本的に日本企業のインド支社というのは予算がないので現地で働きたいという変わり者に好待遇な環境を用意しない。もう一つは成長度の低さ。基本的に期日を守れないインド人のリマインダーとしてオフィスに存在している気がする、と現地採用の方のブログにも書いてあった。

しかし、コンサルタントは労働集約的な仕事なので、インドにしてはおろか、日本と比べてもかなり良い待遇を用意してくれているのと、当初の目標だったインドキャリアを早い段階から限定できる。人生の目的に100%近く合致したことを前提に、給料も成長度も東京オフィスと同程度、むしろより良い条件を提示してくれたのが即決の決め手だった。

インドにおける現地採用の注意点

以下にインド現地採用をリサーチしているときに出会った記事を共有する。

参考①https://www.namaste-nozomiiir.com/post/about-myself

参考②https://naina717.com/2018/05/10/tufs-hindi/

参考③https://palette-in.jp/interview_kddi/

参考④https://www.kandagaigo.ac.jp/kuis/news/20748/



【総括:私の選択は正解だったのか】

今現段階では、私の選択が正しかったのかはもちろんわからない。きっとわかるのは数十年先だと思う。私の就職活動は、最後に大学に来た求人に乗っかっただけで、たまたま正解に近そうな選択肢が向こうからやってきただけだ。むりやりこじつけるなら、私がやりたいことを明確にしたことで、求人を見つけることができたというものだ。会社ランキングなるもので会社を選んでいたらこの求人を見ても気にも留めなかったと思う。

振り返ると、広い視野で丁寧にあらゆる選択肢を吟味すべきということだ。私自身就活中どんな可能性も網羅的に検討したつもりだったが、現地採用という形はほとんど考えていなかった。考えようとはしていたが、シングルマザーに育てられたこともあって、仕送りしないといけないことから現地採用の待遇は受け入れられないと、勝手に選択肢から消していた。

リサーチはきっと終わることがないので、みんなも就活では苦労することもあると思う。しかし、私の選択はかなりレアで、みなさんにとっても新しいものなのではないかと思う。

この記事をここまで読んでいる皆さんからの意見や感想を歓迎するとともに、こういった将来についての深堀を希望しています。どんなことでも連絡してくださいね。

入社後の展望については次のノートで公開しようと思います。




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