見出し画像

やっぱり吸いたくなるチョウセンアサガオ 【広瀬香美 編】 幸せをつかみたい



あー、チョウセンアサガオの花が咲いている。いい匂いがするんだよな〜嗅ぎたいなぁ〜。


ちょい待った。


以前、ネットで調べたら、こう書かれていた。

毒植物で、経口後30分程度で口渇が発見し、体のふらつき、幻覚、妄想、悪寒など覚醒剤と似た症状が現れる。(Wikipediaより)


やばい、やばい。うかつに手を出すんじゃない!


中毒事例

家の畑から引き抜いた植物の根を使って調理したきんぴらを食べた人(2名)が、約30分後にめまい、沈鬱となり、以後瞳孔拡大・頻脈・幻視等の症状を呈して入院。ゴボウと「チョウセンアサガオの根」を間違えて採取・調理し食べていた。(Wikipediaより)


やめよう、取って匂いを嗅ぐなんて絶対にダメだ!



やめろ!やめるんだ!匂いを嗅ぐんじゃない!


スゥー、ああなんていい匂いなんだ!芳香剤のようにとても癒される香りだ。スゥー、ああいい匂い『カ・イ・カ・ン』

いかん、いかん、めまいがしてきたぞ。あれ、なんだかとても眠いんだ💤グウ……


フゥアゥ、フゥアゥ、フゥアゥー


「あー頭が痛い。一体これで何度目だろう?まったく、もう!」

「ここはどこなの。山の中?」

「あっ!あなたは、もしかして」

「そうです。広瀬香美です」

「歌唱力抜群の広瀬香美だぁー。なぜこんなところにおいでなさったのですか?」

「公園を散歩しながら、歌の練習をしていたの。大きく息継ぎをしたら、何かを吸ったのかしら?気がついたらこの場所に」

「チョウセンアサガオの香りを吸ったのですね。それで、ここにタイムリープしたのでは」

「タイムリープ?やだぁ、この後、生徒さんにレッスンを教えないといけないのに」

「まあまあ、焦らずに。ここで歌を唄えばいいじゃないですか?」

「えっ?」

「広瀬さんのあの歌がいいです。サッカーに例えるとゴール前にボールが回ってきてノーマーク、ひと蹴りさえすれば点を取れる場面のことですよ」

「えっ?」

「もう知ってるくせに!徹底的チャンス、徹底的」

「失礼な人!こんなところで歌うわけないじゃない!それも歌の題名を言いなさいよ。なによ、徹底的って」


1フレーズだけ歌うクレ村長

「忘れない あれは去年 恋のはじまり」

つられて歌いだす、広瀬香美

「いつかぁ きっとと言ったじゃない 予定は未定 よくある話よね

てっーーーてきっチャンスゥっ 幸せぉーーーーー つかみたい

ハッピィエンド 期待してる

ふたりのもの〜〜〜〜ーーーーーーー


がぁたぁりぃーーーーーーーーーー」


パチパチ👏パチパチ👏パチパチ👏


「さすがです!広瀬さん。これぞプロの歌唱力だ!」

「もう、あなたって人は。それにしてもエコーがとても響くのね、この場所は」

「自然のエコーですからね、お金はかかりません」

「なんて素晴らしいの!」

「歌を聞かせてくださってありがとうございました。広瀬さんの歌には生命力が感じられるんです」

生命力?

「本当に歌が好きだからこそ、人の魂を揺さぶることができる。その根底には、ありがとうという感謝の気持ちですね。感謝の気持ちって人に届くものなのです」

「なるほど」

「ところで、ぼくの好きな格言を聞いてください」

「は、はい!」

地上のあらゆる所有のなかで、自分のハートが最も貴重なものである』

(「フランクフルト学者報知」1772年8月)

「技術的なことも大事だけど、すべてのはじまりはご自身の心なのです」

「まあ素敵な、お言葉ありがとう」

「最後に、もう一度あの歌が聞きたいです」

「え、何の歌?」

「例えるのなら、野球の試合で9回の裏ノーアウト満塁、スコアは1対0。打席には自分が立っている場面のことです」

「はあ?さっきは勢いで歌ったけど今度は歌いません」

「徹底ですよ、徹底的チャンス」

「歌いません!」

「いや、あなたは歌います」

「歌いませんったら」

1フレーズだけ歌うクレ村長

「忘れない あれは去年 恋のはじまり」

つられて歌いだす、広瀬香美

「いつかぁ きっとと言ったじゃない 予定は未定 よくある話よね

てっーーーてきっチャンスゥっ 幸せぉーーーーー つかみたい

ハッピィエンド 期待してる

ふたりのもの〜〜〜〜ーーーーーーー


がぁたぁりぃーーーーーーーーーー」


パチパチ👏パチパチ👏パチパチ👏

「歌ってしまった……」

「ある一言を聞くだけで体が勝手に反応することをトリガーといいます。歌の1フレーズを聞いて体が反応してしまったのではないでしょうか。体の骨の髄まで歌を唄うというセンサーが体の中にあるのでしょう、さすがプロです」

「まるでサイボーグのようね、でも人を幸せにするのなら、サイボーグでもなんでもいいわ」

「ひ、広瀬さん...」

「あ、あれれ、なんだか目まいがしてきたわ」

「いかん、歌唱力がありすぎるため、体内にチョウセンアサガオの毒が回りやすくなっているんだ」

「ミズグチさんありがとう。歌うことって人を幸せにするものなのね、あらためて歌の大切さを知ったわ。そろそろ帰らないといけない、さようなら」

タイムリープする広瀬香美

「広瀬さーん!」

「ミズグチさーん!」

フゥアゥ、フゥアゥ、フゥアゥー

そこにはもう、広瀬香美の姿はなかった

あっ夢か。危うく現実逃避しそうになりました。みなさんもチョウセンアサガオには、くれぐれも気をつけてくださいね(╹◡╹)

よろしければサポートお願いします☺️