やっぱり吸いたくなるチョウセンアサガオ 【広瀬香美 編】 幸せをつかみたい
あー、チョウセンアサガオの花が咲いている。いい匂いがするんだよな〜嗅ぎたいなぁ〜。
ちょい待った。
以前、ネットで調べたら、こう書かれていた。
やばい、やばい。うかつに手を出すんじゃない!
中毒事例
やめよう、取って匂いを嗅ぐなんて絶対にダメだ!
やめろ!やめるんだ!匂いを嗅ぐんじゃない!
スゥー、ああなんていい匂いなんだ!芳香剤のようにとても癒される香りだ。スゥー、ああいい匂い『カ・イ・カ・ン』
いかん、いかん、めまいがしてきたぞ。あれ、なんだかとても眠いんだ💤グウ……
フゥアゥ、フゥアゥ、フゥアゥー
「あー頭が痛い。一体これで何度目だろう?まったく、もう!」
「ここはどこなの。山の中?」
「あっ!あなたは、もしかして」
「そうです。広瀬香美です」
「歌唱力抜群の広瀬香美だぁー。なぜこんなところにおいでなさったのですか?」
「公園を散歩しながら、歌の練習をしていたの。大きく息継ぎをしたら、何かを吸ったのかしら?気がついたらこの場所に」
「チョウセンアサガオの香りを吸ったのですね。それで、ここにタイムリープしたのでは」
「タイムリープ?やだぁ、この後、生徒さんにレッスンを教えないといけないのに」
「まあまあ、焦らずに。ここで歌を唄えばいいじゃないですか?」
「えっ?」
「広瀬さんのあの歌がいいです。サッカーに例えるとゴール前にボールが回ってきてノーマーク、ひと蹴りさえすれば点を取れる場面のことですよ」
「えっ?」
「もう知ってるくせに!徹底的チャンス、徹底的」
「失礼な人!こんなところで歌うわけないじゃない!それも歌の題名を言いなさいよ。なによ、徹底的って」
1フレーズだけ歌うクレ村長
「忘れない あれは去年 恋のはじまり」
つられて歌いだす、広瀬香美
「いつかぁ きっとと言ったじゃない 予定は未定 よくある話よね
てっーーーてきっチャンスゥっ 幸せぉーーーーー つかみたい
ハッピィエンド 期待してる
ふたりのもの〜〜〜〜ーーーーーーー
がぁたぁりぃーーーーーーーーーー」
パチパチ👏パチパチ👏パチパチ👏
「さすがです!広瀬さん。これぞプロの歌唱力だ!」
「もう、あなたって人は。それにしてもエコーがとても響くのね、この場所は」
「自然のエコーですからね、お金はかかりません」
「なんて素晴らしいの!」
「歌を聞かせてくださってありがとうございました。広瀬さんの歌には生命力が感じられるんです」
「生命力?」
「本当に歌が好きだからこそ、人の魂を揺さぶることができる。その根底には、ありがとうという感謝の気持ちですね。感謝の気持ちって人に届くものなのです」
「なるほど」
「ところで、ぼくの好きな格言を聞いてください」
「は、はい!」
「技術的なことも大事だけど、すべてのはじまりはご自身の心なのです」
「まあ素敵な、お言葉ありがとう」
「最後に、もう一度あの歌が聞きたいです」
「え、何の歌?」
「例えるのなら、野球の試合で9回の裏ノーアウト満塁、スコアは1対0。打席には自分が立っている場面のことです」
「はあ?さっきは勢いで歌ったけど今度は歌いません」
「徹底ですよ、徹底的チャンス」
「歌いません!」
「いや、あなたは歌います」
「歌いませんったら」
1フレーズだけ歌うクレ村長
「忘れない あれは去年 恋のはじまり」
つられて歌いだす、広瀬香美
「いつかぁ きっとと言ったじゃない 予定は未定 よくある話よね
てっーーーてきっチャンスゥっ 幸せぉーーーーー つかみたい
ハッピィエンド 期待してる
ふたりのもの〜〜〜〜ーーーーーーー
がぁたぁりぃーーーーーーーーーー」
パチパチ👏パチパチ👏パチパチ👏
「歌ってしまった……」
「ある一言を聞くだけで体が勝手に反応することをトリガーといいます。歌の1フレーズを聞いて体が反応してしまったのではないでしょうか。体の骨の髄まで歌を唄うというセンサーが体の中にあるのでしょう、さすがプロです」
「まるでサイボーグのようね、でも人を幸せにするのなら、サイボーグでもなんでもいいわ」
「ひ、広瀬さん...」
「あ、あれれ、なんだか目まいがしてきたわ」
「いかん、歌唱力がありすぎるため、体内にチョウセンアサガオの毒が回りやすくなっているんだ」
「ミズグチさんありがとう。歌うことって人を幸せにするものなのね、あらためて歌の大切さを知ったわ。そろそろ帰らないといけない、さようなら」
タイムリープする広瀬香美
「広瀬さーん!」
「ミズグチさーん!」
フゥアゥ、フゥアゥ、フゥアゥー
そこにはもう、広瀬香美の姿はなかった
あっ夢か。危うく現実逃避しそうになりました。みなさんもチョウセンアサガオには、くれぐれも気をつけてくださいね(╹◡╹)
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