あなたは10年以上使われている肌着を見たことがありますか?
昔、清掃会社で働いていた時の話だ。
その清掃会社には年齢は50代で動き方はチャップリン、顔は
アインシュタインに似ているⅭさんがいた。
Ⅽさんはパチンコにお金を費やすので月末は
いつもお金がなかった。
その日の昼の休憩時間もため息をついて
更衣室から出てきた。
上着の制服をぬいでなぜか民族衣装
みたいなシャツを着ていた。
変わり者のⅭさんだから自分でシャツを作った
のだろう。それにしても首元がダルダルだ。
いや、ダルダルのレベルを超えている。
なんだろう?花魁みたいに胸元が見えそうだ。
ドン・キホーテに出てくる女性の民族衣装
にも似ている。
何があったんだ一体?
◆自分で引っぱった。
◆ケンカをして引っぱられた。
◆サッカーの試合をして相手のDFに
引っぱられた。
◆自分で引っぱった。
月末でお金がなく、発狂寸前なので多い
にありえる。
◆ケンカをして引っぱられた。
温厚な人間なのでつかみ合いのケンカは
しないと思われる。
◆サッカーの試合をして相手のDFに
引っぱられた。
点取り屋の才能は無さそうなのでそもそもDF
に引っぱられない。
よし、Cさんに聞いてみよう。
「なかなか珍しいシャツを着てますね?どこで売ってるんですか?」
「これ、肌着だよ。なんかおかしいか?」
肌着!ちょっと薄い黄色になっている肌着。
首元が伸びきっていてシャンプーハットにも似ている。
「こんな肌着みたことないですよ。何年着ているんですか?」
「・・・・・・」
「Cさん10年以上たってるんじゃない?はっはっはっ」
チョコレートを食べているパートのおばちゃんが
口をはさんできた。
この肌着はどれぐらい洗濯機に回され続けたのだろう?
後にも先にもこの肌着にはめったにお目にかかれは
しないだろう。
ジーッとCさんの肌着を見ていると繊維が無くなって
きているのか、肌が透けて見える。シースルーネグリジェ
みたいになっている。
驚きだ。
もし今、その肌着が見れるのであれば1000円出してもいい。
それぐらいの価値はあるだろう。
あなたなら、いくらまで払えますか?