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第二回遼遠小説大賞ここまでの振り返り②

開催期間も残り1ヵ月弱となりましたが、みなさま進捗いかがでしょうか。なぬ、挫けそう? 書けると思って書けば書ける(かもしれない)。応援してます。

さて、2回目の振り返りです。

振り返り

新しく集まった5作品について振り返る。

コンディションによって人間がポメラニアンになってしまう「ポメガバース」の世界観で、自分を殺した男に転生した男の話を描いた藤泉都理さん『あだばなは、設定のてんこ盛り感にもかかわらず余白の美しい作品だった。話は全然違うが、前回の参加作『どこまでも』と似た印象を受ける。つまり、屏風絵にスッと花が咲いていて、余白も含めて絵画として完成しているという印象を。男×男の強火感情に藤泉さんの作家性を感じる作品でもあった。

南沼さん『雨上がりに匂いたつは、「Web小説の中では」というエクスキューズのいらない傑作だ。丁寧に積み重ねられた「私」の生活描写があるからこそ、外からの人間の訪れそれ自体が、「女」に「男」が入って来るという印象を持たせる。昭和40年代の女と男を描きながらも、バランス感覚が現代的な作品でもあった。

七兎参ゆきさん『陽だまりのにゃんこ ~勘違いも甚だしぃ~はこれでいいのだと思う。シリーズのようなので、このまま書いてもらえればと思う。大変思い切りの良さを感じた。こういう作品で我に返らないのは大事である。さもなくば書けなかっただろう。これ以上こちらから何か言う必要があるだろうか。

黒石廉さん『胡蝶は南米でフィールドワークをする駆け出しの研究者の話を描きながらも、不思議とどこか「私小説」という印象を持たせた。物語を読んでいるうちに、知らず知らず作者の内密な部分に立ち入ってしまっている感覚を持つ。そしてそれでいながらこの作品は遠い。訳も分からずその遠さに半ば茫然とせざるを得ない。

壱単位さん『交差点のは恐ろしい作品である。いや、キャプションを読んだ時点ですごいのが来たのは分かるのだが。背筋が寒くなるような研鑽の果てに書かれたような描写に固唾を飲んでいると、「鮮烈」が束の間花を咲かせる。そして帰っていくのだが、それは物理的な景色のいくつかが持たせる既視感にもかかわらず既に不可逆な道行きであるという感じがするのだ。

あと1、2回振り返りができたらいいですね。それでは~。



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辰井圭斗
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