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「エビデンスおじさん」にはならない
column vol.1149
自律性のある社員を育む
最近では呪文のように唱えられている言葉ですが、上司とは無意識のうちにそれを妨げてしまう場合があります…
私もその時は気づかないのですが、後から振り返ると「あの時のあの言葉が、あの人の主体性やモチベーションを下げてしまったかな…?」と省みることがあるからです…(汗)
そんな中、最近は自分がならないように気をつけている上司像があります。
それが「エビデンスおじさん」です。
〈DIAMOND online / 2023年9月25日〉
こちらは、ダイヤモンドオンラインで「組織の病気~成長を止める真犯人~」を連載している、プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役の秋山進さんが仰っている言葉。
エビデンスおじさんとは
「リスクは十分に検討したのか」
「エビデンスに基づいているのか」
という問いかけを連発し、「自分で考えず」「安全第一」で「挑戦しない」人と秋山さんは定義されています。
つまり、部下の失敗を恐れ、「間違いを犯すなよ〜」とプレッシャーをかけ、相手を萎縮させてしまう上司のことを言うわけです。
もともと、ダメな上司の3大NGワードとして
「過去の事例は調べたか」
「他はどうしているのか」
「○○さん(有力者)はどう言っているのか」
が挙げられていましたが、最近ではこうした言葉が良くないということが世の中で知れ渡り、代替される言葉として「エビデンス」が多用されているとのことです…😅
もちろん、部下が熟慮して仕事を進めるように促すことは大切だと思います。
ですから、そういう意味で私は必ずしも上記に出てきた言葉を使っちゃいけないとは思っていません。
一方で、言葉の裏側にある自分自身の心には気をつけたいと考えています。
「リスクは十分に検討したのか」という言葉を相手に投げかけたとしても
【A】
お前絶対失敗するんじゃね〜ぞ!お前が失敗したらオレが責任とらないといけないんだからな!
という想いがあるのか
【B】
挑戦する姿勢を応援したい。でも仕事の成否は個人だけのものではない。充分に考慮して進めて欲しい。もし、何かあったら助けられるように注視しよう
という想いなのかで、部下のやる気と成長は大きく変わると思うのです。
実際、リスクなんて挙げていけばキリがない。
秋山さんもPolitics(政治・法)、Economics(経済)、Society(社会)、Technology(技術)、4つの観点からリスクを洗い出す「PEST分析」を例に出していらっしゃいますが
一度やってみればわかるが、あらゆる事業活動には、多種多様なリスクがある。それらを全て挙げて、その発現可能性と影響度の大きさを考えると、何事であってもそう簡単に成功することはできないことが明確になる
と指摘されています。
例えば、リスクを十二分に分析して新店をオープンした途端にパンデミックに襲われたり、どこかの地域で紛争が起き、物価高に苛まれることがあるわけです。
ですから、「失敗するな」というプレッシャーは「何もするな」と言っているのと同じであるということは理解しないといけません…
そして、秋山さんはこのように続けます。
そもそも、リスクこそが利益の源なのであり、ビジネスとはリスクを取るところに存在する。ビジネス=リスクテイキングであり、それをどうコントロールするかが、上席にあるものの手腕の見せどころであろう。もし、完全なデータを基に極めて高い確度で成功が予測されるビジネスなのであれば、他の企業も間違いなく参入しているであろうから、すでにレッドオーシャンであるか、現在そうでなかったとしても、いずれ供給量が激増して、利益が生まれなくなるに決まっている。
…はい、仰る通りです…
とうことで、私は失敗を「投資」と考え、その回収を
「失敗しても挑戦し続ける心」
「失敗しても何とかする力」
を育むこと
と捉えるようにしています。
そのためには、いざという時は自分がフォローして「心を尽くせば何とかなる」ことを感じてもらう。
そんなことが大切なのではないかと思っています。
そうして部下が上司になった時に、自分以上にリスクが取れる人になってもらう。
会社とは人財の総和ですので、会社の価値向上は人財の底上げにかかっています。
「自分と部下の関係」「今この案件」という近視眼的な視点・狭い視野にならず、「組織全体」「未来視点」を持って、そうした勇気を持っていきたいと考えています😊
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。