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「SDGs」待ったナシ!

column vol.286

今週、ANAホールディングスがグループ全体の二酸化炭素(CO2)排出量を、2050年に実質ゼロにする目標を発表。

中間目標として、30年度には飛行機が運航時に出す排出量19年度よりも減らしそれ以外の排出量も19年度より3分の1以上減らすそうです。

〈朝日新聞デジタル / 2021年4月26日〉

ちなみに、気候変動については日本で大きなストライキがありましたね。

若者による「ハンガーストライキ」

気候変動に危機意識を持つ若者らが集まり、2030年の温室効果ガス削減目標を大幅に引き上げ、「62%」とするよう日本政府に求めました。

〈HUFFPOST / 2021年4月23日〉

菅首相は温室効果ガス排出量を2013年度比で『46%』削減を目標にしましたが、それでは足りないという考えです。

抗議活動はアメリカ政府主催の首脳会議(サミット)に合わせて22日の夜から実施。高校生や大学生など若者らが中心に東京・霞が関の経済産業省前に集まり、抗議のスタンディングを行いました。

「NO YOUTH NO JAPAN」の代表を務める能條桃子さんは

「311の後、もっと日本が気候変動対策にもちゃんと取り組み、火力発電に移行せず再生可能エネルギーで頑張っていこうとしていたら、いま私たちはこんな風に声を上げる必要はなかったと思います」

と、この10年を総括。

さらに、食べないことで抗議を示す「ハンガー(飢餓)ストライキ」を実施するアクティビストもいて、古着ショップ「DEPT」代表のeriさんと、気候アクティビストでモデルの小野りりあんさんは、4月19日からの5日間、水と塩のみを口にして意思を表明しました。

eriさんは

「気候変動によって影響を受ける人は、若者やマイノリティーの人たち影響を受けやすい国に住む人たちです」

と指摘。

SDGsに向けてのうねりは新世代の波によって大きく、確かな形となって社会に広がっていっています。

「SDGs貢献度」で企業価値が決まる時代に?

人、地球環境、社会への配慮を軸に就職先を探す「エシカル就活」もその事象の1つと言えます。

〈AMP / 2021年4月21日〉

2019年に創業したサステナブル・ラボ株式会社は、気候変動対策やダイバーシティなどサステナビリティやSDGsを軸にした企業の社会課題解決の取り組みをスコア化した非財務ビッグデータ「ESGテラスト」を有料公開しています。

同社は

「経済的価値と同様に企業の社会貢献性が重要視され始めている。社会価値を重視しない企業は、10年後には淘汰されるかもしれない」

と主張。

欧米に比べて遅れをとっていると言われる日本ですが、代表の平瀬錬司さんはこのように話します。

「先進国の企業に比べて、日本企業のSDGs貢献度が著しく遅れているとは思いませんが、『開示』『説明責任』に対する考え方は非常に甘いと思います。例えば、先進国の企業は産休育休の取得率、職階ごとの男女比率、事業により排出される温室効果ガス量などが比較的開示されているのに対し、日本企業はほとんど開示されていません

不都合なことは隠したい…。とはいえ、そうも言えなくなっている現状です。

開示することが評価される時代

昨今は企業対顧客、企業対株主という図式が崩れ、企業と顧客・株主が一緒に価値を創造していこうという共創関係ができつつあります。

そのためには、人間関係を作るときと同じように自社の内側を開示する必要があり、満足な数値に達していなくても、さまざまな内部情報を開示してステークホルダーを巻き込みながら、達成を目指すマインドが求められるということです。

ビジネスの現場は、ファンマーケティングという考えが徐々に浸透し、顧客(株主も同様)との共創関係がイメージしやすい時代になってきています。

それをもう一歩進めてSDGs分野にも視野を広げなければなりません。

そこで、サステナブル・ラボでは各企業が自社の現在地を把握できるための「ESGテラスト」を提供。SDGs推進度をスコア化した非財務ビッグデータをもとに明らかにしています。

スコアの基準はエネルギー気候変動ダイバーシティ労働者の権利働き甲斐・働きやすさリスク管理などの14テーマ。

公式サイト上では、各テーマ別・業種別に東証一部上場の2000社のトップがランキング形式で紹介しています。

ランキングでは、「今現在のランキング」「前回のランキング」が掲載されており、データは随時更新されているそうですが、情報開示をしただけで圏外からトップ10にランクインする企業もあるとのこと。

ヤマハ株式会社は「水」のランキングで前回1471位でしたが、現在は2位にランクインしています(2021年4月21日時点)。

取り組みとともに透明性が求められる時代。そんな状況が顕在化したような今回の事例でした。

まさに「SDGsは待ったナシ!」。若者から感じる強い意志も含めて、よくよく考えさせられました。

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