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「休めない人」のインサイト

column vol.1138

本日は「文化の日」祝日です。

皆さん、今日は一日ちゃんと休めたでしょうか?

もしかしたら、平日に終わらなかった仕事をこなした方もいらっしゃるかもしれませんね。

今、「仕事が楽しくてしょうがない」「もっともっと成長したい」など、その状況を楽しめている方は、もちろん良いでしょう。

逆に、不本意で避けたいと思っている場合は、これは解決しなければなりません。

そして本日、スポットライトを当てたいのは、その中間にいる方々です。

つまり、「休日でも仕事があるのだから、働かないといけない」と思っている方に寄り添いたいと思います。

実は休むことは「高度な技術」がいるからです。


休むことは「高度な技術」

この技術を教えてくださったのは、内科医・心療内科医・産業医・公認心理師の鈴木裕介先生です。

〈ITmediaエグゼクティブ / 2023年10月19日〉

鈴木先生は研修医時代、尊敬する先輩医師から「僕らの仕事は安定したパフォーマンスを何十年も維持する必要があるから、プロとして休む技術が必要なんだよ」と教えられたそうです。

…しかし、それは仰る通りなのですが、なかなか上手に休めないというのが本音…

だからこそ「技術が必要」というわけです。

まず「休む」という意味を振り返ると

「absent」(欠席・欠勤する)
「rest」(休憩・休養する)

という2つに分けられます。

例えば、一日仕事をしなかったとしても(absent)、ずっと仕事の不安が頭をよぎり、モヤモヤしていたら、それは休養できていないことになります(rest)。

ただ人は、「仕事しなかった日=休んだ日」と一緒くたにしてしまい、ちゃんと「休養をしたか」(心身の回復をしたか)という視点が抜けがちになります。

そこで「休む技術」の登場です。

「休む」ためには、大きく3つのプロセスがあります。

(1)休みが必要な状態だと自覚すること
(2)休むことができる環境を確保すること
(3)自分の状態にとって適切な休養活動を選択すること

「きちんと休む」「自分に合った本当の休みをとる」というのは、これらのプロセスを全て成立させないといけないのです。

「休むこと」の本質

とはいえ、成立させることは簡単ではありません

そこで、まずは「休むこと」について、改めて捉え直す必要があるのです。

鈴木先生は、その定義を

自らの「身体のニーズ」把握し、それに応えることで自分自身とのつながりを取り戻し心身が安全・安心を感じられる状態にすること

と定めています。

しかし、その考えに立ちはだかる感情もあります。

それが

・恐怖感
・抵抗感
・罪悪感

などです。

自分のいない間にトラブルがあったら怖い…(小まめにメールチェック)」「みんなが頑張って働いている中、自分だけ楽しんで良いのだろうか…?」といった思いです。

こうした気持ちは、人によっては「人の目を気にし過ぎている」と感じるかもしれません。

しかし、鈴木先生はこのようなポジティブな言葉で表現しています。

誰かの役に立とうとすること(気持ち)

人の目を気にしてしまうのも、人に貢献したい気持ちがあるからこそです。

そう考えると、休むことによって恐怖感抵抗感罪悪感を感じる人は、普段から人の役に立てている可能性が高い。

本来なら安心して休める人だと自信を持って良いわけです。

…とはいえ、なかなかそう思えないからこそ、逆に貢献意欲を上手に利用して、休むことは「良いこと」という意識に転換していくことが大切。

後輩に任せて不安と思う気持ちは「後輩の成長に貢献している」迷惑をかけていると思う罪悪感「自分が休むことで、他の人が休みやすい環境をつくり出している」と、休むことは「何かの貢献につながる」という発想転換です。

休むことによるプラス面を見える化し、自分を安心させていく。

そうすることで、ちゃんと「休養」できれば、心身共にエネルギーが満ち溢れ、結果良い仕事につながっていくことになるでしょう。

要は自分のインサイト(隠れた心理)を的確に見定め、プラスに転換していく。

それが「高度な休む技術」なのです😊

「休養」をマーケットにした新ビジネス

こうした考え方は、着実に世の中に広がっていると感じます。

そこで注目したいのが、鈴木先生が挙げた3つのプロセスの2つ目「休むことができる環境を確保すること」を捉えたビジネスです。

単なる「休暇」(absent)の提供に留まらない「休養」(rest)のサービスが生まれていると感じます。

例えば、仕事を強制断絶するための「脱スマホ」プログラムです。

やはり、旅行に行っても、ついつい合間にメールチェックしてしまう…という人は多いでしょう。

こうした顧客インサイトを捉えて、星野リゾートが運営するカジュアルスタイルのホテルブランド「BEB(ベブ)」では、今月1日から新しいプランをスタートさせました。

それが、「脱スマホステイ」です。

〈ねとらぼ / 2023年10月30日〉

こちらを提供するのは「BEB5軽井沢」「BEB5土浦」「BEB5沖縄瀬良垣」の3施設。

滞在前にスマホを鍵付きのケースに封印し「脱スマホへの意気込み」を念書に書き込むという徹底ぶり(笑)

宿泊中の思い出は、スマホでの写真や動画ではなく、仲間の絵や風景の絵を描いて残します

情報収集思い出のシェアもスマホでの検索やSNSではなく、ノートを使用

最近、「昭和体験」がトレンドですが、もはやこれはカメラ登場以前の旅の形を楽しめると言っても過言ではないでしょうか? 😆

脱スマホというテーマは、以前「スマホ断食サワー」も紹介しましたが

もはやポピュラーになりつつあります。

従業員の「休養」を叶える休憩所

他にも健康経営という視点で言えば、JTの「呼吸する休憩所」に注目が集まっています。

〈FNNプライムオンライン / 2023年11月1日〉

こちらは、人が1日およそ3万回行う呼吸に注目して従業員の「ひと休み」をアップデートするというもの。

ここの休憩所で主役になるのが、呼吸するクッション「fufuly」です。

ユカイ工学株式会社 / fufuly

この呼吸するクッションとは、呼吸誘導型のロボットクッションで、抱えてみると人間の呼吸のリズムと深さに同調し、膨らんだり縮んだりします。

このロボットクッションの動きで「呼吸の引き込み」が起こり、自然な呼吸でリラックスできるとのこと。

深呼吸を習慣化し、どこでも気分転換ができる新しい休憩体験が楽しめるというわけですね。

マインドフルネスも呼吸に集中しますが、ストレスを感じているとどうしても呼吸が浅くなるので、仕事を遮断し、自然な呼吸を取り戻すことが大切。

私も「fufuly」を一度体験したいものです。

〜というわけで、本日は休む技術とその技術を支える環境づくりについてお話しさせていただきました。

ポイントは「インサイト」

セルフケアも、マーケティングもいかに心を読むことが大切ですね😊

本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。

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