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「レンタル転職」という選択肢
vol.1388
今週、当社の情報分析会議で若手社員から「いいなぁ〜」という声が挙がったのが「マイクロリタイア」の話でした。
〈BAZAAR / 2025年2月12日〉
マイクロリタイアとは、数ヵ月または数年間、意図的にキャリアを離れるという行動のこと。
海外ではZ世代の間で広がっているそうですよ。
BAZAARで紹介されているイギリス・ケント州出身で保育士のローレン・カービーさん(21歳)は、18歳の頃から、保育園で働いてお金を貯めては仕事から一旦離れ、旅をするという生活を繰り返し、今では30ヵ国ほど訪れています。
日本で仕事を離れるというのはマイナスに捉えられがちだと思いますが、マイクロリタイアすることで得られるメリットもあるそうです。
マイクロリタイアのメリット
ローレンさんは30もの国で、その土地の人に触れたことで、内気な性格から自信に満ち溢れた女性へと変わったそうです。
そりゃそうです。
言葉も文化も違う場所で、見知らぬ人と触れ合う日々は、戸惑いも多いはず。
そうしたことを乗り越えることで、自信が芽生えるのはよく分かります。
また、世界各地の文化から育児に関する知識を学ぶことができ、仕事もより上手くいくようになったとのこと。
ローレンさんがマイクロリタイアを取り入れ続けるのには理由があります。
それはコロナの影響が大きくて、二度と海外に行けなくなるかもしれないと不安から、行けるうちに行っておこうと思ったそうです。
確かに、旅は人を大きく成長させます。
私もできれば年一では海外に行くようにしていますが、やはり異文化に触れることで自分を広げたいという気持ちが強いのかもしれません。
優良会社でも閉塞感は感じる
一方で、当社の若手社員の話から感じたのは、単純に毎日同じ職場で仕事をしていることから生まれる「閉塞感」もあるでしょう。
当然、若手ですから、自分で裁量を持って進められない部分はありますし、今、頑張っていることが将来どのようにつながっていくのかが見えないということもあるでしょう。
私が若かった頃は、「出世する」「給料を上げていく」というように頑張る理由が今よりかはシンプルだった気がしますが、令和の時代は、管理職になりたくない人も増えているようですし、出世やお金が自分を幸せにしてくれるかどうか分からないという思いが強くなっているような気がしています。
最近はホワイト企業であっても
「ゆるくて成長できるか不安…」
という理由で退職する若者が増えていると聞きます。
頑張らないと生き残れないかもしれないという焦燥感と、でも頑張ったところでどこに向かうんだ?という戸惑いが入り混じっている。
もちろん、いろいろなタイプな人がいる中で、ということが前提ですが、そんな戸惑いを持った人が多いような気がするのです。
個人的には、今回の若手たちの発言を聞き、閉塞感を感じにくいような会社にしていくために、変えるべきところは変えていきたいと思っていますし、ポジティブな休職制度の実現も検討していきたいと考えています。
一方で、休む、旅するだけではない、違う選択肢もあるかもしれません。
大人の職業体験に注目
それは、産経新聞の【大人も職業体験「大人のキッザニア」開催 宅配、ピザ作り…慣れない仕事にワクワク】という記事を読んで、そう思いました。
〈産経新聞 / 2025年2月20日〉
職業体験や社会体験ができるテーマパーク「キッザニア東京」は、普段は子どものためのもの。
しかし、2月13日と20日の2日間、「ららぽーと豊洲」にて、16歳以上を対象とする大人向けの職業体験イベント「大人のキッザニア」が開催されたのです。
就職を控える学生から、他業種に憧れを持つ社会人まで、参加の動機はさまざまだったようですが、確かに社会人でありながら、ほかの職業を体験できるというのは良い試みだと思います。
なぜなら、若い人からすれば、自分にとって今の職業が本当に正しい選択肢だったか常に悩んでいる可能性が高いからです。
かつて、【会社を辞めたいと思ったら】という記事のなかで、仕事旅行社の「大人の職業体験」を取り上げましたが、こちらの事例に通ずる話でしょう。
こちらは、普段の職場環境から離れ、全く異なる職種の仕事に従事してもらうこと研修旅行。
自分の仕事そのものを改めて見つめ直し、新しい価値観や向き合い方を発見してもらうことを目的にしています。
参加することで
「今までは仕事を当たり前のものだと思っていたが、仕事に対する見方が180度変わった」
「全く異なる職種の仕事に携われたおかげで、自分の仕事の意義や大切さを新たに実感できた」
「会社で働いていては決して気づけなかった、自分のやる気に火をつける源を発見できた」
などなど、改めて自身の仕事に対する意義や価値を発見する機会になっています。
こういうチャンスを会社で用意していくというのは、長い目で見ると必要なのではないかと感じるのです。
レンタル移籍ならぬ「レンタル転職」
…とはいえ、貴重な人財が一時的であっても不在になるのは、大変と思う経営者やマネージャーは多いのではないでしょうか?
そうした中、ヒントになるのが「相互副業」です。
パーソルキャリアは昨年7月から、企業間で副業人材を紹介しマッチングするプラットフォームサービスを本格運用を開始。
在籍企業と副業先企業とが連携し、会社が公認している副業のカタチを広めています。
〈BUSINESS INSIDER JAPAN / 2024年5月23日〉
このプラットフォームは、基本的に相互副業に同意した2社が参加。
それぞれの会社が副業で募集する人財の求人を掲載し、スキルがマッチした社員とシステム上でマッチングします。
つまり、2社でお互いに副業人財を出し合い、それぞれの会社の社員の成長を促そうという試みなのです。
実証実験では、明治ホールディングスと総合商社の兼松がペアになって参加。
そのときの手応えを、兼松の人事開発課長である塚本達雄さんは、このように語っていらっしゃいます。
「参加した社員からは、『普段何気なくやっている業務でも価値を感じられた。またお金をもらう副業として、客観的に自分のスキルをみることができた』という声があり、社員のスキルアップにつながった」。
やはり、副業で他社(他業種)の業務を経験することで、いつもの仕事を見直すきっかけになっている。
ここから発展して考えると、サッカーでよく見られるレンタル移籍のようなイメージで「レンタル転職」というものも生まれてくるのではないでしょうか。
出向は2社間の力関係がありますし、基本的には日常の業務の延長線上になってしまうので、一線を画すカタチが生まれると面白いかと考えています😊
いずれにせよ、どんな優良な会社に所属していても、毎日同じ環境で仕事をしていたら閉塞感を感じる人は多いと思いますので、1社で解決できないことを他社とアライアンスを組むことで、成し遂げていけると良いですね。
今回の気づきを今後の会社経営に生かしていきたいと思います。
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!