“推し活”マーケティングの時代
column vol.812
とある商業施設で、とある駆け出しアイドルの企画イベントを当社で行うのですが、109のエンタメ専用ポップアップストア「DISP!!!(ディスプ)」や、一昨日取り上げさせていただきました埼玉県発のスーパー「ベルク」など、小売業は積極的に「推し活」を取り入れています。
いや、小売業のみならず、今後はいかに「推し活」を取り入れるかが重要なのだと思います。
特に普段、推し活とは無縁の方には見ていただきたい話です。
有名な話としては、象印マホービンのステンレスマグに新色の「ライラックパープル」が加わったことではないでしょうか?
“推し活”の力で売れなかった色が売れた
この色が誕生したきっかけは、Twitter上の1つのつぶやきでした。
〈現代ビジネス / 2022年9月19日〉
King&Princeの岸優太さん(メンバーカラーは紫)のファンが、「象印のボトルにパープルがあったら即決なのに…」と投稿。
何と、その1年8ヵ月後、象印マホービンの公式アカウントから岸優太さんのファンに、「この度、シームレスせんにパープルが仲間入りしました」と連絡が入ったのです…(驚)
このことに、11万以上のいいねがつき、ニュースにもなりました。
もともとマーケティングの世界では、パープルはトレンド色としては取り入れられてきたものの、定番色ではありませんでした。
しかし、アイドルグループのメンバーカラーという視点からするとガラリと常識が変わります。
ちなみに、ジャニーズでは紫がメンバーという方がたくさんいらっしゃいます。
河合郁人さん(A.B.C-Z)
菊池風磨さん(Sexy Zone)
小山慶一郎さん(NEWS)
高木雄也さん(Hey! Say! JUMP)
高橋恭平さん(なにわ男子)
長野博さん(20th Century)
中丸雄一さん(KAT-TUN)
濱田崇裕さん(ジャニーズWEST)
深澤辰哉さん(Snow Man)
松岡昌宏さん(TOKIO)
松崎祐介さん(ふぉ~ゆ~)
松本潤さん(嵐)
宮田俊哉さん(Kis-My-Ft2)
村上信五さん(関ジャニ∞)
など
そして何と言ってもBTSのシンボルカラーが「紫」。
「推し色」はマーケティング上、見過ごせないものになっているのです。
“推し活”はマーケティング上の必須項目に
「推し色」を活用したカラーマーケティングは各方面で見られます。
コメダ珈琲店は、2022年夏の「カラフルクリームソーダ」として、ラムネ(青)・パイン(黄色)・メロン(緑)・スイカ(赤)・白桃(白)の5種類(色)のフレイバーを発売。
コメダ珈琲店HP
「#わたしの推し色クリームソーダ」キャンペーンを展開し、SNSへの投稿を促したことで話題になりました。
また、バンダイナムコアミューズメントと資生堂の研究所による「fibona × imagenica」は、アイシャドウのカスタマイズを通して「推し活」体験を提供。
「fibona(フィボナ) × imagenica(イマジェニカ)」プレスリリースより
参加者が、30色のアイシャドウの中から推しをイメージした4色をモニターで選びぶと、「imagenica」のシステムが、選んだ4色から連想される言葉を1つの文章として生成し、「クリアしおり」に加工。
参加者は、「本型のパレット」に入った4色のアイシャドウと「クリアしおり」を受け取ることができ、会場内にはフォトブースが設置されていたので、撮影を楽しむこともできました。
色以外でも「推し活」を取り入れたマーケティング例は多く、マイナビニュースの【Z世代を中心に「推し活」「推し消費」が加速! マーケティング施策に活用するポイントとは】という記事がとても分かりやすいので共有させていただきます。
〈マイナビニュース / 2022年9月27日〉
例えば、森永乳業はリプトンの紙パックドリンクの売上をテコ入れするため、「アイドリッシュセブン」とコラボ。
10代~20代前半の女性に人気のゲームから生まれた2次元アイドルを起用したことで、ブランドの認知度・売上の向上に成功しています。
また、ローソンでは2022年8月から初音ミクの15周年キャンペーンを実施。
挙げればキリがないほど、推し活は企業のマーケティング活動に浸透しているのです。
“推し活”きっかけの新しいビジネスの挑戦
最後は、「好き」過ぎて異業種なのに新しい分野のビジネスに挑戦してしまったという話で締め括りたいと思います。
荒川区にある南インド料理店「なんどり」の店主・稲垣夫妻は、「インド映画」への抑えきれない情熱によって、レストラン経営者なのにも関わらず、自ら映画を買い付けて配給・公開するという離れ業を成し遂げてしまったのです…(驚)
〈集英社オンライン / 2022年10月16日〉
その映画とは、10月1日から東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムで封切られたインド映画『響け!情熱のムリダンガム』。
公開してから客足が好調とのことです。
協力している映画宣伝会社「スリーピン」の原田徹さんは、
個人が映画買い付けの出資をすることはありますが、配給して公開まで持っていくというのは(日本では)初めてのケースかもしれません。
と、感心されています。
買い付けた映画を映画館に上映を依頼し、さらには集客や宣伝などあらゆる広報活動を請け負わないといけません。
普通はなかなか素人にできるものではありません。
しかし、パンフレットに溢れんばかりの知識を詰め込むなど、情熱でカバー。
費用もクラウドファウンディングを活用し、目標を100万としていたところ、159万3000円も集められたのです。
そして、作品は全国10館を超える劇場での上映が決まり、さらに増える勢いになっているそうです。
「好き」なコンテンツを享受する側から、提供する側にまわり、ファンだからこその強さで快進撃を繰り広げている。
そんな状況に妻の紀子さんは
「追っかけ人生の集大成です」
と表します。
まさに「究極の推し活」と呼べる挑戦に、非常にカッコ良いと思いました。
ということで普段、推し活に無縁の方には、この大きなエネルギーを感じていただくことができたでしょうか?
少なくてもマーケティングの世界では「いかに共感を生み出すか」ということが日々議論されていますが、この推し活から学ぶことはまだまだたくさんありそうです。
私も推し活に無縁な男なので、この辺はもう少し深掘って学んでいきたいと思います。
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