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「自信」の魅せ方
vol.182
渋谷のキャットストリートに70円でコーヒーを飲めるお店があるのをご存知でしょうか?
ただ、そのお店は自分でコーヒーを淹れたら70円なのですが、店員に淹れてもらったら700円。
とにかくセルフを促しているのです。
〈ITmediaビジネスONLINE / 2025年2月8日〉
…とはいえ、10倍の金額差をつけるなんて、なかなかです…
そもそも70円という金額で元がとれるのでしょうか…?
実は、このお店を運営しているのは「モンカフェ」を販売している片岡物産。
モンカフェといえば、1杯型のドリップコーヒーのパイオニアで、インスタントコーヒーの手軽さと本格的なドリップコーヒーの風味を両立させ、ドリップ市場を拡大させた立役者です。
一方、コーヒーカップの上でドリップできる独自のフィルターやホルダーに特許が付いていたのですが、20年経って特許が切れ、そこから大手メーカーの参入を招き、苦しい状況に。
さらには、ギフト需要が減少し、ますます苦しくなります…
そこで何とか、モンカフェの魅力を伝えたいと考えたのが、渋谷にできた「究極のセルフカフェ モンカフェ」だったです。
出店にあたって、同社では主に2つの課題を整理しました。
1つは、モンカフェが「高い」と思われていること。
しかし、実はそんなには高くはない。
モンカフェの「キリマンジャロブレンド」は8袋入りで430円。
一方、ある大手のコーヒーは9袋入りで430円。
1杯当たりの価格はモンカフェが54円、大手が48円で、確かに少し高いものの、ものすごく高いというわけではないのです。
そうしたことを商品により触れることで、誤解を解く。
そして、もう1つの課題が、フィルターの使い勝手です。
私たちが普段接するドリップコーヒーは、キリトリ線に沿って開封し、それを左右に広げるタイプ。
後は、本体をカップのふちにかけて、お湯を注ぐだけ。
しかし、モンカフェはフィルターの合わせ目を開き、しっかりと折り曲げるタイプ。
カップのフチをはさむようにしてセットして、お湯をかけます。
このフィルターが、「モンカフェを淹れるのは難しそう」という印象を与えているのです。
だからこそ、一杯70円のセルフドリップをカフェで体験してもらうことで、「そんなに難しくない」ことを知っていただく。
カフェ自体は売り上げ度外視でやっているのですが、とにかくより身近に感じてもらうことで、商品の購入につなげたいのです。
つまり、お店はPRの場としての目的が大きい。
ただ、こうしたチャレンジングな取り組みができるのも、商品への自信があるからでしょう。
そこがモンカフェのメーカーとしての魅力と言えます。
私もメーカー企業をクライアントに持ちますが、商品に自信がない企業ほど、施策に走りがちになってしまいます。
だからこそ、業績が伸び悩んでいるときこそ、商品に向き合うことが大切なのです。
商品に自信を持てるまでブラッシュアップし、その上で体験を設計する。
その大切さを今回の事例を通じて、改めて感じました。
そんなところを踏まえて、今後のコンサル活動に生かしていきたいと思います😊
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!