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 人間は相互に依存しながら生きています。
 そして、円滑な相互依存の関係を維持するためにみんなで意見を出し合って、対話をしながら社会の運営をしていくことが民主制の本質だと思います。
 さらに国家の共同体運営を目指すために、国民全般で公的機関の業務を担う、国民公務制について検討していきたいと思います。

 公務員の給与水準が民間より高く、けしからんという意見をよく聞きます。確かに一理ありますが、公的部門は必要、そこで働く人たちも必要で、公務員の存在そのものを否定するのではなく、利権をなくして、コスト含めて効率を向上させる必要があります。
 地方自治体含めて公務員の数は約290万人、人件費は27兆円、一人当たり人件費年間900万円強ですが、国民公務制を導入し、例えば時給1500円、一日8時間の賃金を1万2千円払うとして、単純計算で一人当たり人件費は年間約240万円で済みます。同じコストで公務員の人員を3倍以上に増やすことも計算上可能になって、財源を理由に公務員の人数を抑制する必要もなくなります。
 ITなどを活用して、今の業務を効率向上させ、必要な分野に人的リソースを投入していくことも可能になります。
 
 国民公務制の対象は、選挙で選ばれない公務員と裁判官になり、これらの雇用の機会を、国民全般に開放する。判事・検事に関しては、司法試験に合格して、司法研修を修了した人という条件はつきますが。
 具体的には、いまある所定の選考を経て採用された公務員と裁判官には、勤続年数を制限して(例えば10年)、さらに単年度の雇用契約にする。それとは別に、公的部門の雇用を国民一般に開放、一定期間の公務を義務つける。ただ、ハンディキャップのある人には、勤続年数制限を緩和するなど配慮することも必要でしょう。
 そうすれば、公的部門の雇用の流動性を高め、利権を排除することが期待できます。公務員の労働組合の政治的影響力を弱めることもできます。
 直接民主制と合わせて、この国民公務制を導入すれば巨大な共同体社会が実現する、どういうことかと言うと、国民が選択した政策を、国民が公務員として実現していく、そして、国民と政府の相互依存の関係を強化できます。
 さらに、多様な働き方、例えば半日だけ公務に就く、週2日だけ公務に就くといった柔軟な勤務が可能になれば、公務の傍ら、資格取得の準備をする、起業の準備をするといったことが可能になります。休日に公務につくことを認めれば、行政サービスの向上にもなります。
このように、公的部門の雇用を国民全般に開放すると、行政と国民の相互依存関係が強まり、行政全般が透明化、簡素化を促す、人員を削減せずに行政コストが削減できるといったこと以外に、セーフティネットとしても機能する、公務で職業キャリアが中断されるので社会全体で雇用の流動性が高まる、など副次的な効果も期待できます。
 
 公務に対する報酬の水準に関してはいろいろな意見があると思いますが、前に述べた1500円の時給というのは、今の最低賃金より高水準で、公務の時給を高めに設定すれば、人材が集まりやすい、民間の賃金もつられて高くなる、その分民間部門の効率向上を促すといった影響もあるでしょう。
 逆に、公務に対する報酬を低く抑えると、人材が集まりにくい、民間の賃金も低く抑えられる可能性があります。いずれにせよ、景気の動向や地域性を勘案して柔軟に決めていくしかありません。

 いかがだったでしょうか。

 それでは、最後にこちらもよろしくお願いいたします。
 
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新田たつふみ記

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