GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えりから考える自衛隊

アニメで考える社会問題
本日は「GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり」を通して自衛隊について考えていきましょう。

「GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり（以降：GATE）」は2015年と2016年にそれぞれ放送された自衛隊と異世界をテーマにしたアニメです。

ある日、銀座に異世界と地球を繋ぐ門「ゲート」が出現しました。
そこから突然、モンスターを引き連れた軍勢が現れ、民間人を次々と虐殺していきました。
その場は自衛隊と警察の奮闘もあり何とか鎮圧され、何名かを捕虜にすることで事態は収束しました。
数か月後、日本政府はゲートの先にある世界、通称「特地」に自衛隊を派遣することを決定。
主人公の「伊丹耀司（いたみようじ）」を含む自衛隊が足を踏み入れることになります。

この作品の特徴的な描き方として、自衛隊・異世界兵・異世界人の目線で自衛隊の描かれ方がかなり変わってきます。
自衛隊目線だと、日本人や難民を守るために命を懸けて戦い、まるで正義の味方のように描かれていますが、異世界兵の目線だと、あまりにも戦力差に打つ術もなく返り討ちに合い、多くの異世界人の兵士の血が流れました。
生き残った兵士も自衛隊に恐怖し、まるで悪夢を見ているかのように描かれています。
確かに、見たこともない兵器で遠距離から打たれたり爆弾で吹き飛ばされたりされたら恐ろしいですよね。戦力差の度合いで言ったら戦国時代初期と現代くらいの武器レベルの差がありますから、勝てるわけがありませんね。
　異世界人の目線では、自衛隊がもたらす地球の技術に常に驚きを隠せず、最終的にはその恩恵を受けて生活するようになります。
異世界人にとっては何もかもが新しく、また行き過ぎた技術です。
逆に、異世界人の一部は魔法を扱うことができ、それらがゲートを超えて日本に来た時に起こるギャップもあります。
私としては異世界の技術と地球の技術によって起きる矛盾や問題を描写していればもっと面白いのになと思いました。

では、本題に入りましょう。
自衛隊は、言わずと知れた日本国における実力部隊です。
一応、世界で定義されるところの軍隊とは意味合いが異なっていると国の見解としてはあります。
確かに武力行使を行うという点は世界の軍隊とはあまり変わらないように感じますが、「自衛権を行使し国の防衛を担う」ということに特化しているという点は自衛隊の唯一の特徴です。
日本は第二次世界大戦に敗北し、ポツダム宣言を受諾しました。
その内容に「武装の解除」が含まれているため、公的な軍隊を持つことが許されていません。
自衛隊は、法律における「集団的自衛権の行使を行うための最低限度の実力」としての位置づけ、「日米同盟の強化」、「国際平和協力活動」、そして「国際社会における多層的な安全保障協力の推進」などを名目に存在を認められています。

そんな自衛隊ですが、時折司法の場で「違憲」か「合憲」かで議論がされているのはご存じでしょうか？
それは、自衛隊が前述した「武力」に当てはまるかどうかです。
日本は憲法9条により「戦力の不保持」を約束しています。
国の主張として「憲法9条は自衛権の否定までしているわけではないため、自衛隊は憲法に抵触しない」としています。
しかし一時、自衛隊が憲法に抵触するとして違憲判決が出た事例があります。
それが所謂「長沼ナイキ基地訴訟」です。
そこの第一審判決では「自衛隊は憲法第9条が禁ずる陸海空軍に該当し違憲である」とし、「世界の各国はいずれも自国の防衛のために軍備を保有するのであって、単に自国の防衛のために必要であるという理由では、それが軍隊ないし戦力であることを否定する根拠にはならない」とする違憲判決を出しました。
つまるところ「自衛のための実力が軍隊として扱わない理由にはならない」ということです。
しかしながら、この判決は第二審では「本来は裁判の対象となり得るが、高度に政治性のある国家行為は、極めて明白に違憲無効であると認められない限り、司法審査の範囲外にある」として、第一審の判決を支持しない判決を下しました。
第三審でも第二審の判決を支持し、結果的に本裁判では自衛隊の違憲性は認められませんでした。

では実際のところ、自衛隊は必要なのでしょうか？
国を守るための最低限度の実力とはいえ、銃や爆弾を扱う部隊なのは確かです。
一歩間違えれば戦争にだって行けるほどの実力を有しているのは確かです。
裁判では違憲性は証明されませんでしたが、本当にそうなのか。
考えるべき要素は多々ありますが、総じて私は自衛隊は必要であると感じています。
確かに大小問わず戦争や紛争が起きているとはいえ、第二次世界大戦後の世界は比較的安定しています。
とはいえ、いつ戦争がまた起きるかもわかりません。
隣の中国やロシアが急に攻めてこないとも限りません。
もしかしたら、北朝鮮が日本に向けて核ミサイルを売ってくるかもしれません。
今はたらればですが、今後それが確実になることもあります。
そんな中で自衛隊が居なければ日本はどうなりますか？
容易に想像がつくと思います。
また、仮に自衛隊が解体されたとして、誰が日本を守ってくれるのでしょうか？
残念ながら言葉による交渉は、最終的には軍事力と核の保有数を基準にしたパワーバランスでは無意味です。
であれば、自衛隊は日本を守る最終防衛線としていてもらわなければいけないわけです。
また、国内における有事の際でも自衛隊は力を貸してくださいます。
それが功を奏しているのかはわかりませんが、日本における自衛隊の評価はかなり高いです。
以上のことから、自衛隊は日本において必要な存在であり、代替えの自衛手段がない以上は、我々国民はお世話になるべきなのです。

私たちがこうして安心して生きていけるのは、自衛隊があってこそなのは間違いありません。
感謝と尊敬の念は常に頭の片隅にでも持っておくべきなのではないでしょうか？

今回はここまで。
次回もよろしくお願いします。