忘年怪異【毎週ショートショート】
その世界の住人は気付かない。
井の中の蛙は大海を知らず。
いや、時計自身が時間の意味など理解していないように、その世界自体が新しい年というものを忘却の彼方へと運ぶ。
忘年怪異だ。
しかし、外の世界の影響を受けないわけではない。本人たちの知らぬ間に世界感は歪んでいる。使っている言葉なんかがわかりやすい。外の世界の時代に沿って変化しているし、なんなら時事的なものを取り込むことすらあるのである。
あたかも、自我と身体の関係のようだ。
内なる心根はまだ子供の頃とさほど変わっていないと本人は思っているのだが、外見は老いていく。
その世界とは、そう、某青いロボットをはじめ、チビな◯子や海鮮家族の話など、枚挙にいとまがない。
彼らはいつの間にか時間をループしている。同じ年を繰り返しつつも、その年は外の世界によって形が変わっている。
それも全て忘年怪異のなせる技なのだ。
そう言っている自分が、果たして本当にループしていないのかは分からない。
もしかしたら貴方も…
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早速投稿させていただきました!
もつそんなシーズンなんですね…良いお年を忘れてしまう時期。さようなら2024年。