文学トリマー 毎週ショートショート
"吾輩は猫である"
これほど洗練された文章はないだろう。
吾輩という一人称からは、それだけでその猫のキャラクタリスティックが連想される。
"私は猫です"
"俺は猫だ"
などとしてしまえば全く違った文学へと変わってしまう。これはプロフェッショナルの文学トリマーが関わったのに違いない。
これまで多くの文学がトリミングされてきたわけだが、この文章もいつかは名も知らぬ文学トリマーによって刈り取られることになるのかもしれない。どうか夏目漱石をトリミングしたような腕のある人の目についてくれれば嬉しいのだが。
そう考えてハッとする。
いや、むしろ逆なのだ。
私が目指すものはどんな専門の文学トリマーが読んだとして、どこの文章をもカット出来ないような文章を書く事である。
さあかかってくるがよいトリマーたちよ。
吾輩は猫ではない。
私はただの物書きである。
名前は既にある。
誰もこの文章を切る事はできないはずだ。
文脈によって繋がりがつくられているのだから。
(410字)
noteを昨日始めたのですが、
面白そうなので参加させていただきました!
ショートショートというスタイル、興味深いですね!楽しいです。