見出し画像

再エネ推進と地域景観との最適解はあるのか?一般質問と、当麻町の事例を

12月12日の定例会で飯塚は2つの一般質問を行いました。
ここでは、当麻町のタイムリーな事例(後述)もあるので「ゼロカーボン推進と太陽光発電の地域活用について」の質問と、町長答弁の要約を記したいと思います。



質問の背景


この質問を行った背景を触れますと
・大規模な太陽光パネル(メガソーラー)は再エネの推進には欠かせないけど、景観的には好ましくないよね。
・それが家の前に建ったら嫌だし、地域の里山の風景が壊されるのも困る。
・でもゼロカーボンの推進、地球温暖化の抑制には現実的に太陽光発電が有効な手段だし、原発にも賛成できないし。
・そもそも都市部の電力を賄うために田舎にメガソーラーが出来るのって、地域住民にとっては迷惑しかないんだけど。
・では地域の電力を賄うための太陽光発電だったらどうだろう?
・地下水を電力で吸い上げる東川町では、ブラックアウトの例を持ち出すまでもなく他者に依存する脆弱性はリスキーであり、自賄いも必要では。
・景観や自然環境が損なわれない場所がどこにあるのか?
・そのゾーニングも含めて、地域電力を町は考えておく時期に来ている。

また当麻町ではメガソーラーの建設が進められていることが分かり、付近の住民たちが反対運動を起こす事態となりました。
それを受けて、当麻町はこのほど「町再生可能エネルギー発電整備の設置に関するガイドライン」を策定し、今後事業者に対し事前の環境保全対策や住民説明会の実施を求めることとしました。
このことは他町ではありますが、決して他人事ではありません。
東川町も事が起きる前に、どうすべきか考える必要があると思っての質問です。


議場での質問と答弁(要約)

飯塚質問
・東川町では、美しい東川の風景を守り育てる条例(景観条例)があり、一定の大きさの開発事業に対しては届出が必要とされているが、太陽光発電事業者の参入に対して一歩踏み込んだ規制を設けて、町づくりの中で統制が必要ではないか?

・都市に居住する人のための太陽光パネルが、地域の田園風景を損ねているのが実情で、地域住民にとって迷惑なだけの存在になるのも当然のこと。

・地域のエネルギーをなるべく地域で賄う地産地消型の地域再生エネルギー事業が、ゼロカーボンの達成にも求められる。

・東川町の再生エネルギー発電には、地元の資本が一定以上入っている場合のみ認めるといった制約と、地域再生エネルギー事業の推進が求められるのではないか?


町長答弁
・東川町には太陽光発電に関する具体的な規定がない。
・平成14年に景観条例を制定し、各種の開発行為にあたっては町に届出をするよう決めている。
・そのため、太陽光発電設備のような開発行為についても、一定の条件下では届けが必要となり、事業者と町が取り組みを行うきっかけが生まれる仕組みを持っている。
・事業者に対しても意見を伝えることが可能であり、一定の対応が行われてきた。

・10月に「東川町ゼロカーボン実行計画」を策定した際に実施した町民アンケート調査で、景観に大きな影響を及ぼすことが懸念される土地に設置する太陽光発電に対しては、導入に反対する意見が多く寄せられる結果となった。
・アンケートを踏まえ、再生可能エネルギー施設の整備に関しては条例制定やガイドライン等のルール作りが今後必要であるとの認識に立ち、それに基づいて今調査検討を行っている。
・関係団体、有識者等も含めた「東川町ゼロカーボン実行計画策定等懇談会」を設置し3回会議を持った。

飯塚再質問
・太陽光発電については町民の反対意見が多かったことから積極的に取り組む意思はないように見受けられた。
・新しいフィルム状の太陽光パネル(ヨウ素を主材とするペロブスカイト)の実用化に向かっている。現在のシリコン系の太陽光パネルに比べて、軽量で柔らかく、パネルに塗色を施せるなど景観や環境負荷が低いメリットがある。
・技術が進化している最中での導入推進は、時期尚早と考えているのか?
・長野県飯田市や新潟県中之条市など他自治体では、地域再生エネルギー会社を立ち上げ、事業者への支援を行いながら地域循環型の経済を回している事例もある。
・東川町においても、民間事業者が取り組みを始めた際に町がどのような形で支援を行うのか、また、今後の支援を目指しているのかを早い段階で明確にしていくべきでは。
・SDGsやゼロカーボンに向けた取り組みについて、町としてどのような考えを持っているのか、ここ数年の間に進展があまり見られない状況にある。
具体的な計画やスケジュールを。

町長答弁
・太陽光パネルの設置に関して東川町は完全に反対の立場を取っているわけではない。
・今後は景観を守りつつ、技術の進歩を踏まえ、景観に配慮したフィルム状の太陽光発電技術の理解として、開発の第一人者との意見交換も行った。
・景観やまちづくりへの配慮を最優先に、再生可能エネルギーの導入について慎重に検討していく。
・継続して会議を重ねながら、太陽光発電についてのガイドラインを、令和7年度中に制定をしていきたい。(この町長答弁は北海道新聞に掲載された)



当麻メガソーラーの現状報告会にて

当麻町では市街地から少し離れた田園地帯に大規模な太陽光発電のためのパネルが設置されようとしています。
その数は5000枚。
大雪山を見晴らせる里山の環境を気に入って、居を構えたり、別荘にする方々が静かに暮らすエリアです。
住民にとっては青天のへきれきだったようです。
付近の住民らが反対する会を発足させました。


11月17日に「当麻メガソーラーの現状報告会」が開催され、反対の署名約7200筆が当麻町長に手渡されました。
他人事ではないと思い出席してきましたが、住民の行政と事業者への不信感は相当なものでした。
一方、発電事業の許認可権は北海道にあり、当麻町は申請を受理する場のため、苦しい立場にあります。

ここでは詳しくは述べませんが、以下に簡略化した図を掲載しておきます。
これは決して他人事ではありません。
再エネの推進と、地域の景観との両立への道筋はどこにあるのでしょうか?

個人的なメモであり、公式なものではありません。
クリックで大きくなります。


12月23日には行政側(上川振興局と当麻町)による「地域と共生した再生可能エネルギー事業に関する理解促進説明会」が開催されます。
個別の事案については触れませんと通告されていますが、果たして歩み寄れるものがあるのか?注視したいと思います。