東川町財政運営計画をざっくり解説
東川町は近年、大型公共施設の建設が相次ぎ、財政規模も急速に大きくなってきているが、大丈夫なの?
借金や貯金の額は?この先はどうなっていくのでしょう?
先の9月議会で令和5年度の決算が確定しました。
それにより「令和6年度 東川町財政運営計画」なるものが策定されました。(4ページ 議員向けに毎年配布されます)
その一部の表やグラフを抜き出して、見てみることにしましょう。
東川町の財政はどのように推移してきて、この先どうなっていくのでしょうか?
また9月24日(火)の「おしゃべり会」では、これを題材に解説していきますので、自分の町のことをもっと知りたい方はお気軽にご参加ください。
町の貯金は増えている
基金とは、特定の目的のために積み立てる町の貯金です。
上の積立基金残高推移を見ると、H26〜H29年度にかけて下がって(基金が減って)いるのは、東川小学校や、せんとぴゅあの大型建設のため基金を切り崩したためです。
その後人口増や、留学生事業、地域おこし協力隊制度の活用、国からの補填がある有利な起債により国の交付税が増えたことで、財政状況が良くなり、基金への積み立てが順調に伸びています。
H15年度に20億円だった積立基金残高は、21年経過したR5年度には44億円と、倍増しています。
これは町民にとって大きな安心材料です。
今後の貯金はどうなるか?
R10年度までの将来予想を見てみましょう。
積立基金残高の伸びは今後穏やかなものになります。
棒グラフの緑の部分は減債基金で、町債(借金)の返済のために積み立てる基金です。
R7年度にかけて減債基金を積み増す必要がありますが、以降の大型の公共事業が減ることもあって大きく積み増す必要性はありません。
東川町は、近年積極的な投資を行う成長期にありましたが、これから先は安定期に入っていくものと思われます。
町の借金は増えたけど、実質的な負担は減っている
基金を貯金とすれば、一方の町債とは、町の借金です。
公共事業を行う際の資金を調達するためと、長期にわたって使用する公共施設は将来の世代も応分に負担すべきとの考えで、町債発行(借入)を行ない年数をかけて償還していきます。
上の表を見ると、H25年度あたりから増え、R4R5年度にかなりの山になっているのが見て取れます。
これはきとろん、そらいろ、ライスターミナル、天人峡の廃屋撤去など大型の公共事業が相次いだことによるものです。
しかし、棒グラフの水色の部分、交付税補填額とあるのは、借金したうちの国が補填してくれる額です。
なかには10借りると、8を国が手当てしてくれるという夢のような借金の仕方があるのです。(辺地債)
言い換えると2の手持ちのお金で、10の事業ができるのです。
きとろんなどはこれを活用しています。
それに緑色の減債基金、借金を返すためにあらかじめ積み立てている貯金を引いた額が赤色の実質負担額になります。
赤色の部分が年々減っていっているのがお分かりかと思います。
町債残高はH15年度に70億円だったものがR5には161億円に増えました。
一方、上述の交付税補填措置のある有利な起債と、減債基金への積立によって、赤色の町の実質的な負担額はH15年の39.7億円からR5の29.1億円と10億円減っているのです。
大型公共事業が落ち着いて借金も減っていく見通しに
将来の借金の見通しを見てみましょう。
R3年度以降、きとろん、そらいろ、ライスターミナル、天人峡の廃屋撤去と公園整備など大型公共施設工事が相次ぎました。
R7年度からは起債額が10億円台に落ち着き、R10年では町の実質的な負担分は7億円まで減る見込みとなっています。
東川町の将来負担を主要財政指標から見ると
実質公債費比率とは、大雑把にいうと借金を返す金額負担が財政全般においてどれくらい占めるのか?の指標で少ないほど良いのです。
将来負担比率は町が負っている負債が、将来的にどう負担になっていくかを示す数値で、これも小さい方が良いです。
双方の数値とも、R10年にかけて減少していく見通しになっています。
これまでにあげた基金残高推移(貯金)と、町債残高推移(借金)、実質公債費比率と将来負担比率の財政指標から見ると、東川町の今後はR10年度まで順調に進んでいくことが分かります。
ただし、そのためには人口を減らさないこと、留学生を減らさないことで町税や交付税を確保すること。R5の町税は9.9億円で国からの交付税は49億円。
ふるさと納税、企業版ふるさと納税など町外の方からの寄付金を増やしていくこと。 R5は20億円で町税収入の2倍。
両者の目的のためには、東川町が文化を基調とした魅力的な町であり続けることが大切です。
※「東川町まちづくりブック2024」を参照して書いています