疑い深いということ。
「携帯代は自分で払いなさい」
父さんは電話越しに俺に言った。
ガソリン代、新幹線代、飛行機代、携帯代、それらもろもろを親のクレジットカードで切りづづけてきた圧倒的すねかじりで金食い虫の俺が遂に、携帯ショップに行き、支払いを自分名義に変更した。
大人の階段を少し上ったが、俺はまだシンデレラではない。
携帯ショップでのプラン変更や機種変更の相談。毎度のことだが、長丁場になる。
というもの、なんか搾取されているのではないかという気がしてならないからだ。疑い深いのはなぜなのだろうか。
明らかに瞬時に処理しきれない情報量を俺の脳にぶち込む店員。俺は惑わされない。大切なのは自分のペースを守ること。搾取はされないぞ。
一つ一つ疑問を潰していく。データ量は?キャリアをどうするか?どのような条件だと割引は効くのか?機種はどうするか?apple careは入るべきか?
最適解を見つけるためにひたすらディスカッションを行う。定員が雑談を入れるようになるまで、ひたすら、ただひたすらに疑問を潰していく。
店員が雑談を入れてくるようになれば、最適解は解けたようなものだ。
「店員さんはどんなプラン使ってるんですかね」
これを聞いて、同じようにすればいい。
結局、一番最初に提案されたものと同じだった。1時間返せ。
既に閉店した店内。俺しかいないお店をそそくさい様子で後にした。
貧乏学生の食費に費やします。