「俺は政治家になれるかな?」と父親に言ったときの回答。
1年程前、橘家一同は祖母の家から橘家本部に向かっていた。
我が家はこう見えて、圧倒的体育会系だ。年下が車の運転をする。当時の免許所持の最年少は俺。よってドライバーは俺。歯向かうことはできない。
2時間半ほどの運転。助手席には父上。
父上に関することは以前一度述べたが、かなり真面目で働き者だ。
こちらの記事を読めば分かる。
その時も、いろいろと教えを説かれる。父上はそれを洗脳と言っていた。キモい奴だろ。
一方的な会話では気が滅入るので、俺からも話題を振る。
「俺は、将来社長になりたいんやけど、父さんはそんな野心はないん?」
父上は答える。
「父さんはそんな器ではない。責任重いは嫌だ。」
なるほど。やはり歳を取れば保守的になるのか。ここから俺の怒涛の質問が始まる。
「俺は将来、校長先生にもなりたいんだが、どうすればいいかね?」
「漁師になろうと思ったらどうすればいいのかね?」
俺が矢継ぎ早に投げかける質問に全部真面目に答えてくれる。
「俺は政治家になれるかな?」
俺は別になるつもりは、さらさらないが適当に質問する。言うならシャク稼ぎだ。それに対しても父上は真面目に答える。
「政治家になる方法は大きく分けて2つある。
1つは世襲。もう一つは国家公務員になることだ。」
んー。なるほど。
「智は世襲は無理やから、政治家になりたいなら国家公務員になりなさい。そしてキャリアを積みなさい。」
この辺から俺はニヤける。こいつ何でも知ってるな。
「ある程度キャリアを積んだら都道府県のどこかの副知事に出向する。副知事は選挙はないから。」
へー。
「そこから知事のポストが空くまで人脈を広げる。そしてポストが空いたら選挙に出て、人脈を使いまくって、晴れて知事になる。それからキャリアを積んだら国会議員に出馬する。これが一般的なルートやな」
相槌を打ち、俺は、
「なるほどな。そこそこだるいな。まぁ、ならんけど」
俺はふと思う、父上は一度政治家でも目指したのか。それともある程度の歳になるとそのような内容すら常識になるのか。どのような経緯でそんな知識を得るのだ。その時の俺にはわからなかった。
月日は経ち、1ヶ月ほど前、父上と電話することがあった。電話がかかってくる時は大概酒に酔っている。
コロナの影響もあり、俺は引きこもってるという旨を伝えた。父上はコロナの影響はなく毎日仕事だと言った。
俺は、
「父さん、土日何してるん?」
と聞くと、
「レーザーの勉強してる。」
マジで意味がわからなかった。なぜ勉強してるのかと問うと、
「暇やから。特に意味はない。ボケないため。」
なるほど。俺は笑った。そりゃ、政治家になる方法も知ってるはずだ。
そして俺はコイツには一生敵わないとかも知らないと思った。
貧乏学生の食費に費やします。