明 知(みょうち)
賢者は縁起の理法を観じて悟る…
甚だ.理解し難いもの…
衆生は.執着を楽しみ.執着に欣び.執着を喜ぶ…
そんな人々にとって.物事の縁性.縁起の理法は見難いもの…
闘争と.争論と.憂いと.悲しみと.慳貪と.慢心と.欺瞞と.悪口とは.何処から現れ出て来たのか…
それは.それらを愛し好む者の心に基づいて起こる…
世間に於いて.それらを愛し好む者は.何を縁として起こるのか…
また世間に蔓延る貪りは.何を縁として起こるのか…
また人が来世に対して抱く希望と.その成就とは.何を縁として起こるのか…
それらは欲望を縁として起こる…
世の中に於ける種々様々な.これらによる苦しみは.何処から現れ出たのか…
世の中に於ける種々様々なる苦しみは.執着を縁として生起する…
実に.それを知る事なくして.執着をつくる人は愚かであり.繰り返し.繰り返し.苦しみに近づく…
だから.知ることあり.苦しみの生起を観じた人は.執着をつくる事なかれ…
①人生は.多くの苦しみに満ちたものである…
②これらの多くの苦しみは.執着を縁として起こる…
③執着に基づいて.現実の種々様々な苦しみが現れ出るのは.生起の関係性である…
④そんな人間が執着をつくるのは.人間の真の実相を知らないからである…
だから執着の根底には無明(無知)が存するのだ…
⑤人間の真の実相としての苦しみの所為を観じた人は.執着をつくる事がない…
⑥即ち.明知があれば.執着の為される事はない…
⑦そうして執着が無ければ.苦しみも現れ出ないのだから…
如是語経典より…
よき戒めと.よき見解との.このニ法を成就せる者.その賢者は身壊して天界へ生まるる…