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立科WORK TRIPのこれまでとこれから

こんにちは。立科町に移住をしてきて、立科テレワーカーに在籍してから2年目を迎えるまさおと申します。立科WORKTRIPについての取材を進めているうちに、この町の良さをより実感するようになって参りました。

今回取材したのは、立科町企画課 企画振興係主任の上前知洋さんです。上前さんは、私たち立科テレワーカーにとっても、とても馴染み深い存在であり、いつも重要な支援の窓口として活躍されている方です。そんな上前さんから見た、立科WORKTRIPはどのように映っているのか。その背景について、今回、インタビューに答えていただきました。

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ふるさと交流館芦田宿。立科町町民の交流スペース。立科町テレワーカーのワークスペースとしても活用されています。今回、インタビュー取材の場としても利用させて頂きました。

まさお おはようございます。今回、取材の協力に応じていただき、ありがとうございます。

上前さん とんでもないです(笑) 
まさお  早速なのですが、上前さんはどのような経緯で立科WORKTRIPに関わり、取り組むようになったのですか?自己紹介も兼ねてよろしくお願いします。

上前さん はい。平成29年の頃から、住民の皆さんの雇用を作る仕事に携わってきました。全国から仕事を貰ってきて、住民のみなさんに業務にあたっていただくという仕事です。子育てやバイト、介護の隙間に仕事をする等、みなさんそれぞれの空いた時間を柔軟に使って仕事をしていただきたいという趣旨で、テレワーク事業というものを始めました。

ところが、そうなるとまず、全国から仕事を取ってくる必要がある。しかし、今ほど、テレワークが普及していなかった状況の中では、理解を得ることが難しかった。せめて企業とつながる機会が欲しかったため、新しい働き方にチャレンジしている企業さんと繋がり、かかわりを持てた企業の方達に、立科のテレワーク事業にご理解・ご賛同をいただければ、良い協力関係が築けるんじゃないかと思いました。

では、どうやって企業さんと繋がろうか?そのきっかけづくりの一つが、開発合宿の誘致ではないかと思いました。

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上前知洋さん(立科町企画課 企画振興係主任)立科町テレワーク事業で、立科町と企業をつなぐ橋渡しに大きく貢献している。

まさお そうだったのですね!立科町の住民の雇用と、企業との懸け橋の手段として始められたという事ですね。実際活動をはじめてみて、どんなことに気づかれましたか?

上前さん 初めは、立科WORKTRIPの情報サイトを作って、そこに宿泊施設さんの情報を掲載しました。訪れた皆さんが開発合宿をするために必要な備品を貸し出すといったサービスで始めたのですけど、それさえ作っておけば、開発合宿をやってアプリを開発したり、プログラムを書き上げようといったニーズを持つIT企業さんや、元気のある若手のベンチャー企業さんに刺さると思ったんです。

そんな過程の中で、開発合宿の開催を誘致するWEB広告も出したんですよ。そうすれば、自動的に人が来るだろうと思っていました。でも実際はなかなか来てもらえなくって。初めの2年くらいは本当に、年に数件くらいの利用でした。1件、2件とか。

本当に、簡単ではなかったです。それがなぜなのかわかってきたのが、今年度に入ってからです。新型コロナ感染状況も拡大してテレワークというものが広く認知されて来た時に、欠落していた部分は何だったのか?という事が分かってきたんです。

それが何かっていうと、当時のWEBサイトは、WEBサイトにたどり着いても、そこで終わってしまっていたんですよね。こういうサービスがあるんだな。で終わり。しかし、実際に開発合宿をやりたい方々にとっては、「立科まで行くのにどれぐらいの時間がかかるのか」とか「どんなアクティビティがあるのか」とか「2泊3日のプログラムでやるとすれば、どうスケジューリングすれば良いか」等現地の交通事情、食事の事情、環境など合宿をとりまく情報を全く発信できていなかったんです。

そこで、令和2年度の開始時点から試みたのは、一般社団法人信州たてしな観光協会さんに現地のコーディネーターをお願いすることでした。まずは開発合宿に興味があったら問い合わせていただく。期間、日程、目的など、大雑把な情報を聞かせていただく事からはじめました。

その要望を受けて、コーディネーターがプランニングし、最適で効果的な合宿スケジュールを提供し、宿の調整も全部対応するというフローに変更したところから、利用者が目に見えて増えていきました。

まさお 町の方で、プランをガイドしたり補助したりすることで、WORK TRIPを使いやすくしたというわけですね。

上前さん  そういうことです。そのためにはマンパワーが重要でした。コンシェルジュが必要だったと、いうことですね。

まさお    上前さんの視点から、立科町が強く推せる強みとはなんでしょうか?

上前さん  いくつかあると思いますが、まず言われるのは首都圏からの近さ。そして、1400mの高原の自然。そこに山があり、森があり、湖がある。これらが揃ってあるところってなかなかないです。さらに季節ごとのアクティビティもある。宿泊施設もある。全部そこに揃っているわけですよね。それは非常に魅力的で、推せるポイントかなと思っています。

まさお   そうですよね。首都圏の方たちからすれば、2時間くらいのドライブで、深い自然が体験できる。そして。施設も揃っている。それはリフレッシュという点でいえば、最適な条件ですよね?

新型コロナウィルスが流行して、ライフスタイルが見直されてきている時代の流れの中で、こういった環境にいるということは、ものすごく恵まれていると感じたりもします。できれば地方に移住してみたいな、という方々が増えてきていると思うんですけど、立科WORKTRIPはその点でも、手軽にそんな希望を試してみることができる事業ですよね。

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冬の女神湖。凍り付いた水面に日差しが当たる様子も女神湖のもう一つの顔

上前さん 去年の夏に、プロモーション動画に出ていただくためのモニター企業を募集したんです。新型コロナウィルスが流行しているなか、どうやって募集しようか、キャッチコピーを考えるのにものすごく苦労したんです。
そこで、ライターさんが「自然に囲まれて」という言葉を入れてくれたんですよね。これがとっても良かったみたいで。
当初、私は全然わからなかったんですけど、応募してくださった首都圏の企業の方々にとっては「自然に囲まれて」という言葉が、当時の三密回避必須!の空気の中では、心理的に響いたようでした。

まさお アメリカと日本ではリモートワークの普及に10年の差があるといいますが、この新型コロナウィルスの流行に直面したことは、私たちにとっては、自然を見直す、自然のそばで働く、ということをあらためて考えるいい機会になったことも事実だなと感じます。そして立科町はその先駆けになりえる可能性をすごく持っている町だな、とも思います。ビジネスマンがそのような働き方に興味をもったとき、立科町のサービスという点では、どのような強みがあるのでしょうか?

上前さん 開発合宿やワーケーション体験イベント等の開催を告知するポータルサイトをつくっています。そこには、仕事をする場所になる宿泊施設の情報や、どんなプランで実施できるかのイメージ等、ワーケーションや開発合宿を実施するに当たっての、必要な情報を掲載しています。このような特化したWEBページを作っている自治体はなかなか無いのではないでしょうか。
もう一つは、プロジェクターやスクリーンなどの備品の貸し出し。
開発合宿、ワーケーションをするにあたって、仕事の効率が下がってはいけませんから、確実にクリエイティブな仕事ができるようなツールを観光協会様から無償で貸し出しています。このサービスを行っているところは他にはありません。機材の種別や型番まで、WEBページに載せています。

そうすれば、仕事を進める際に必要な環境が揃うかどうか心配する必要がありません。それは仕事の成果を出すための、立科WORKTRIPのひとつの強みという事ですね。

まさお 必要な機材を提供して頂けるとなれば安心ですよね。自分たちで持ち運ぶ手間も省けるし、安心して仕事もすすむ。機材を自分たちで用意して持ち運ぶストレスからも解放される。

上前さん その他にも、例えばアクティビティのなかで、星空観察を希望される場合は計画として夜に組み込んだり、あるいは、森の中を歩きたいという要望があれば、案内する人を調整する。それこそ、まさに、コーディネーターさんがすべてを調整してくれます。

まさお それは遠くから来られる方にとってはありがたいですよね。
自然の中を迷ったりして、時間を無駄にすることなく環境を満喫できる。
このコーディネーターさんも観光協会さんがすべて受け持ってくれるということですね。

上前さん それもひとつの強みです。WORKTRIPには、環境はもちろんテレワークにも熟知したコーディネーターさんがついているっていうことです。なんでも相談してください。

まさお 実際に、WORKTRIPにご参加いただいた企業の方からの評価はどうでしたか。

上前さん 概ね高評価です。1泊2日が短かった!といったコメントは度々ありますけど。。。

まさお 確か、前回の取材の際にも、集中力を上げるにはあと1週間くらいは滞在したかったというご意見がありましたね?

上前さん 私たちも受入れの経験が積まれてきましたから、”1泊2日だとみなさんのプロジェクトにとっては短いですよ!”といった提案ができるかなと、思います。

まさお 1週間単位で企業さんが来てくれると、ここで働いているワーカーさんとのつながりも広がっていくと思いますし、町としても、すごくありがたいですよね。ちなみに、それが実際に、テレワーカーさんに仕事が流れているのでしょうか?

上前さん まだ、当初の目的である、企業さんとつながるための開発合宿の誘致には至っていないという部分です。何度か立科WORKTRIPで、立科町に来てくれた方々に対して、こちらからアプローチをかけて行こうかなと思っています。やっぱり、一回来ただけで、なんで俺たちこんなに協力していかなきゃいけないんだという印象になるといけないんで。バランスを取りながら、様子を見ながら、やろうかなと思っています。

まさお リピーターさんを増やしていってという事ですね。

上前さん そういうのが一つと、建設コンサルタンツの方々が来ていただいたときに、アイディアソンみたいなことをやりましたけども、地元住民とのディスカッションや地域課題の解決のためにワーケーションをしにくる企業さんがいた場合には、ワーカーの営業チームとかが入って、議論するというようなコンテンツも今後、整えたいなと思っています。

まさお 確かに、ワーカーさんと企業さんが直接対面する機会があることでも、そこからつながりが広がっていきますよね。相互作用で人の輪が広がっていく。
ところで、実際に今問題となっている部分ってありますか?今後の方向性などもあれば、お聴きしたいのですけども。

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立科山。女神湖周辺から望める雄大な景観の一つ。

上前さん いまはコロナで止まっちゃっているので、ワーケーションを開催したいという企業がどれだけ全国的に広がっているのかというところが、つかめていないんですよね。そこは今後、コロナが落ち着いた状況を見ながら、どれだけニーズがあるのか判断していきたいです。また、ニーズを掘り起こす仕事や、立科町のこういった受け入れをやっているんだという事を広く周知する営業活動はこれからやっていこうと、思っています。

まさお 開拓営業ですね?

上前さん 旅行商品とは少し違うかもしれませんが、ワーケーション商品というか、開発合宿商品として、営業を企業に対してやっていく必要があると考えています。

まさお 営業実績を重ねて全国に認知していくというところですよね。

上前さん そのためにも、今やっている事業の精度を高めていくことかなと思います。

まさお 上前さんとしてはこの流れを楽観的に考えていますか?それとも、まだまだ課題が多いなと感じていますか?

上前さん いらっしゃった方の感想をお聞きしていると、非常に可能性があると思います。
今は、"オフィスで働かない”という働き方が、結構メジャーになってきていますよね。首都圏の企業なんかはもう、オフィスを契約しなくなっている。じゃあ、どこで集まるんだという話なのですけども、月に一回、全社ミーティングをやろうというときに、ここ来てもらえたらいい。ですので、明らかに需要は広がるわけです。そこをしっかり取り込んでいくという事を考えていくと、立科WORKTRIPの使い方っていうのは、私自身の思い描いている以上の可能性が広がっているはずだと思っていますのでで、可能性はすごく感じています。

まさお ましてや、会議するのに向いた環境っていのは、静かなところの方がアイディアとかもわきやすいじゃないですか。ものすごく、立科町はいいポジションにいるかなと、ちょっと身近な立場にいるものとして思います。では最後に、上前さん自身の志というか、最終的にどのような形まで立科WORKTRIPを成長させたいと思っていらっしゃいますか?

上前さん 立科町に住んでいる住民の利益を生み出すことが、僕の仕事の使命と思っています。いろんな利益があると思いますが、例えば、なかなか社会との接点がないとか、何かしらの事情で、自身の思うような活躍ができない方々が、自分を肯定できるような場面、機会を多く作ってあげるっていうことがひとつだと思うんです。ですので、この立科WORKTRIPでつながった企業と町の社会課題を解決していくような事業が生まれたらいいなと、思っています。もう一点は、この観光地としての素晴らしい自然を多くの人に体感してもらいたいし、そこで観光業を営む人たちが自信をもってお客を招いて潤えばいいと思います。その2点です。

まさお ありがとうございました。自分も立科テレワーカーの一員として、この事業がもっと大きくなってくれるとうれしいので一緒に成長して頂ければありがたいと思っています。

上前知洋さん、ありがとうございました。


今回の取材を振り返ってみて。

今回、上前さんには快くインタビューを受けていただきました。ありがとうございました。今回のインタビューのラリーの中に、立科町の強みがみえてきたような気がしています。
これだけ雄大な自然に囲まれつつも、首都圏にものすごく近い。近くにはリゾート地もあり、優れた考え抜かれたアクティビティと、優れたコンシェルジュの存在。仕事に没頭しつつも、気晴らしにガイドもつく。安心感と安定感の高いプランとなっている立科WORK TRIP。

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参道沿いに鹿を発見。立科町ではよくあるサプライズ。

そこには人との交流や可能性に満ちていて、たまに野生の動物に会うこともできるツアーはものすごく魅力的だなと感じました。冬の女神湖もまた、美しく。こういった環境ならば、集中して仕事に取り組める。気晴らしにはガイドもついて、贅沢な自然環境も散策できしまう。立科WORK TRIP。プロジェクト達成の集中拠点として、一週間ほど、立科町にSTAYしてみてはいかがでしょうか。

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